「――あーーっ!たく…どうなってんだよ!?」
むしゃくしゃした感情を地面に転がっている瓦礫に向かって吐き出す。大きな音を立てて崩れるそれに、煩さを感じまたイライラを募らせる。
そんなレノを黙って見ているルード。そしてその隣で、彼らとは異なった感情を抱くイリーナ。
「社長とまだ連絡とれねえのかよ?」
「あぁ…」
「っシンバもどこいったんだよ!?」
「あぁ――」
海底魔晄炉以来、レノはシンバと連絡を取り合っていなかった。主任に呼び出された彼女を何の疑いもなく送り出し、今もてっきりその人と一緒にいるものだと思っていたからだ。
しかし今、その主任とも連絡がとれず、ましてや彼女とも連絡がとれない。その上社長であるルーファウスの行方もわからなくなっている始末。…彼がイライラするのも無理はないが、
「…先輩、シンバさんは、」
遠慮がちにイリーナが口を開く。
「……きっと今頃――」
イリーナはまだ、あの事を彼らに話してはいなかった。
彼女はここにはいない。けれども、彼女はきっと無事だという確信はあった。きっと今頃向こう側の景色にいるだろう。彼女はその景色の中に、戻ってしまったのだから。
…否、もしかしたら、自分がそれを知る随分前から、彼女はその景色に染まってしまっていたのかもしれない。あの時の表情は、何か張り詰めていた空気から抜け出せたような開放感に包まれていた。その張り詰めていた空気が神羅―タークスで。抜け出せた開放的な空間が、クラウド達の元だとしたら。
「…シンバは生きている」
「!」
「あぁ。アイツは死ぬタマじゃねえよ」
平然と、何食わぬ顔で二人は言った。…そんな二人を見たら、喉まで出かかっていたその言葉は行き場を失って自然と消えてしまって。
「そんなこの世の終わりみたいな顔してんじゃねえよ」
イリーナのたどたどしさに、二人が疑問を抱く事もなかった。ウェポンの襲撃。社長の失跡。主任とシンバとの跡絶。一度に起こった問題に、彼女が混乱しているのもワケないと思い込んでしまっていたからだ。
「…きっとみんな無事だ。信じるしかない」
「…そう、ですよね――」
だから、もう言いだせなかった。彼らの優しさ、気遣いに触れたら。彼らが信じてきたもの、レノの想いの丈を測ったら。
「…探しましょう!先輩っ!」
そんな酷な真実。
イリーナには、言えなかった。