a tale 4



「ふぅ…」


重苦しかった空気がローの吐いた息によって一蹴された。みなの目の前に横たわる今だぐったりしたそれは、荒い呼吸を繰り返すもしっかりと腹部を動かしている。
あれからどれくらいの時間が経ったのかはわからないが、それはなんとか一命を取り留める事ができていた。

真っ赤に染まった被毛はシャチによって綺麗に拭き取られ純白とシルバーの輝きを取り戻しており、そこにいた誰もがそれを見て綺麗だと、そう思っていた。


「船長、説明願いますよ」


とりあえず経緯は聞いておかないと。


「…海賊に追われていたんだ。だから助けた」


あの非道極まりない船長がましてや動物を助けるとは。この人の気まぐれ加減はハンパないなと全員が思った。


「…この被毛見ろよ。珍しいだろ?」


ペンギンは今一度目の前の獣に目を向ける。
…確かに、銀色の模様をした虎など見たことない。ホワイトタイガーはあるが、奴らも普通の黄色い虎と同じで模様は黒である。


「確かにな」


珍種はオークションで高値で売れる。その海賊たちはきっと生け捕りにして金と引き換えるつもりだったのだとペンギンにも容易に想像できた。


「だから持って帰ってきた。以上」


いや、だから説明少なすぎるだろ。と誰もがツッコもうとしたが、満足気な船長の顔を見たら何も言えなくなってしまった。

…もしかして船長は、その海賊たちと同じ思考を持っているのかもしれない。この船は今そこまで財政難ではないが、そういう賭け事がどちらかというと好きなタイプである。
売るには怪我などもってのほか。体調もその容姿も万全でなければならない。…だから助けたのか。とペンギンは勝手にその思考を進ませていたのだが。


「元気になったらどうするの?」


食べるのか。とベポが問う。クマが虎を食べるところを見てみたい気もするが、なんだか下剋上のようで恐ろしい。というかそっちの発想にしかいかないのか。と食欲旺盛な隣の獣にシャチは呆れた目を向けた。


「もちろん売り飛ばすんだろ?」


確信したような声色でペンギンが言えば、ローは誰が売るかと即答した。予想外の答えに驚いたペンギンは目を丸くしてローを見やる。
食べない。売らない。ましてや野生になど戻さないだろう。そんな事までして助ける理由をこの人が持ち合わせているとは思えない。

…だとすれば、答えは一つ。


「まさか――」


ニヤリ。とローは笑った。
その笑みを見て、ペンギンはガクリと肩を落とした。


「飼うぞ」





新しい家族が増えました。


「ベポ…世代交代だな」

「ええっ!?」




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