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「っ!わぁ!食べるっ!」
「違う。いただきますだろ」
「! イタダキマス!」
目の前に並べられた夕飯を見てキラキラと目を輝かせるノノ。そうして彼女が手に取るのは肉、にく、ニク。…やはりガッツリ肉食系。こうなると草食なベポは意外と可愛らしいのかもしれない。
「美味いか?」
「んまい!」
「違う。おいしいだ」
「! オイシイ!!」
いちいちノノの言葉に訂正を入れるのは彼女の目の前に座るペンギン。教育係に任命されその義務を着々と果たそうと必死なその様は、はたから見れば教育ママである。
「スパルタだな〜、ペンギン」
…そんな二人のやりとりを面白そうに眺めるのは、ペンギンの隣のキャスケットとノノの隣に座るシロクマ。
「つーかお前らも協力しろ」
「ペンギンお母さんみたいだな!」
「黙れシロクマ」
…そして、正しくない言葉を次々と使う男が一人。
「ノノ、これ食うか?」
「っ食う!」
そう言ってノノにこれまた肉を差し出す船長。…きっとこの人は自分をからかっている。自分がノノに訂正を入れるのを楽しんでいるに違いない。とペンギンは思った。
「まぁ、…そんなに正しい言葉教える必要ねえって!」
確信犯の船長に気づいてシャチがペンギンの肩を叩く。それはフォローなのか。ただただ面倒臭いだけなのか。…いや、きっと紛れもなく後者。
「男だらけだから仕方ねェさ。ノノは男勝りになるな」
「そっちの方が楽っすね」
教育しろと言ったのはどこのどいつだ。とペンギンが深い溜息を吐いた時。
「っぺむぎん!」
ノノがペンギンの名を呼んだ。ペンギンが振り返れば、ノノは何時の間にかその手に緑と黄色の物体を抱えていた。
「これ!食べる!」
ノノが持っているのはパイナップルだった。どっから持ってきたんだと思っていたら、厨房の奥からコックがやってきて。…あぁ、勝手に持ってきたのかともう一度ノノに目を向けると、彼女はそれを丸かじりしようとしていた。
「っノノ!待て!!」
「…オレでもそうやって食べるのは無理かなぁ〜」
「馬鹿言ってねえで止めろや貴様」
「…いや、ちょっと面白かったから」
本当に皆この破天荒娘に教育を施す気がないらしい。ペンギンは再度深いため息をつき、コックに頼んでパイナップルを切ってもらった。
「わぁ〜!」
そうして新たに差し出されたパイナップルを見て歓喜の声を上げたノノは、コックに笑みを向けペコリとお辞儀をした。それを見た周りの三人衆からは歓声が沸き起こる。…えらいじゃないか。少しずつだが、ノノも常識をわきまえるようになってきたのだろうか。
「そういう時は、ありがとうだ」
「? ありがと?」
「そう。ありがとう」
「! アリガトです!!」
可愛らしいお礼に、どういたしましてとコックも笑ってお礼を返す。
「よく出来ました」
そう言ってペンギンは、ノノの頭を撫でて褒めてやった。
ペンギンしつけ教室開講
「…ペンギンママ」
「黙れ」