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「あ、爆豪おはよー」
「…おー」
「なんか元気ない? 珍しいね?」
「べつに」
「昨日、先帰ってごめんね」
「は? どうでもいいわ。好きに帰れや」
「よかった〜、なんとなく気にしてたんだ」
「お前こそ、一人で勉強したかったんじゃねーのかよ」
「べつに?楽しかったよ」
「そーかよ」
昨日の今日で、朝からミョウジに話しかけられるのは想定外だった爆豪は、内心物凄く動揺しているのを悟られないようにするのに精一杯だった。トイレに行くフリをしてその場を離れた。
爆豪は物凄く寝つきがいいのだが、昨晩は“ちょっと甘い感じの石鹸の匂い”が気になって気になってなかなか眠れなかった。どうしようもなくなって、自慰行為をしてようやく眠りにつくことができた。(これは墓場まで持っていく秘密だ)。
そんなことがあったので、まともにミョウジの顔を見れるわけがない。
そもそも、自分の中にある恋愛感情を認めたことで、今まで以上にミョウジを意識してしまっている。爆豪は自分の童貞臭さに嫌気がさした。
*
期末テストに集中する為に、爆豪は鬼の精神でミョウジのことを考えないように努めた。おかげで一週間ほど目もあってなければ会話もしていない。
元々そんなに会話する仲でもないし、何も不自然ではない。けれども、爆豪はそろそろミョウジと話したいと思っていた。少しでもいいから、近づきたいと思った。
テスト明けの土曜日、機会は訪れた。
「おい爆豪、お前も来い!」
「行ってたまるかかったりィ」
林間合宿に備えてクラスメイトでショッピングモールに行くらしい。切島に誘われたが、爆豪は一蹴した。集団行動は苦手だし、なによりアウトドアが趣味なので必要なものは全て揃っている。
「ナマエもいこー」
「うーん、行きたいけど…私もう全部揃えたんだよね」
「えーはや!」
「ナマエちゃんいないとつまんなぁい」
「どうしようかなぁ」
女子の会話が聞こえてきた。ミョウジはショッピングモールに行くか悩んでいるようだ。チャンスだ、と爆豪は思った。しかしあの女子の群れに突っ込む気にはなれない。早くしないと、ミョウジがショッピングモールに行ってしまう。私服姿のミョウジを他の奴らが見て自分だけ見れないのは嫌だと思った。
「明日ショッピングモールに行く皆! ちょっと集まってくれ!」
飯田がロボットのような動きでクラスメイトを収集した。わらわらと飯田の元に人が集まる。
──ナイス飯田。
爆豪は一人になったミョウジに近づいた。
「おい」
「えっなに? どうしたの爆豪」
ミョウジは驚いた様子で、爆豪を凝視した。
そりゃそうだ。一週間くらい碌に接触してない奴に急に話しかけられたんだから。爆豪は少し緊張したが、それは意地でも表情に出さない。ポケットに手を突っ込みながら、爆豪は続ける。
「お前明日ひまなら俺に付き合え」
「え」
「ショッピングモールいかねぇんだろ」
「今迷ってるとこ」
「12時に○○駅西口な」
「決定なの? まぁいいけど…」
「遅刻すんじゃねーぞ。あと誰にも言うな」
爆豪は言いたいことを言い終えると、さっさと鞄を持って教室を出た。
しばらく無心で歩いて、校舎を出たところで立ち止まった。物凄く汗をかいていることに気づいた。今爆破したら相当の威力が出るだろう。あと心拍数もやばい。
久しぶりに話したが、やっぱりミョウジのことはまともに見れない。目を合わすのが嫌で、でも目を逸らしながら話すのも童貞っぽいので、眉間あたりをガン見しながら話した。
明日の約束をとりつけたはいいが、予定は空っぽだ。映画でも観るか、いやそれはベタすぎるな。待ち合わせしてその後どうしようか考えながら、爆豪は家路についた。
そういえば、連絡先しらねぇ。
爆豪はその夜、待ち合わせ場所にミョウジが来てくれるのか少し不安になった。
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