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 ──孤爪孤爪孤爪……こ、こ、こ……孤爪研磨、あった! 3組!

 ドキドキしながらクラス発表の掲示を目で追う。自分より先に孤爪くんの名前を見つけて喜ぶ。そして、恐る恐る3組の女子名簿に自分の名前が無いか確認した。

 ──え、まじ……?

 何度も何度も同じ名簿を見返す。

 ──え、私ってミョウジナマエよね? で、ここに書いてあるのもミョウジナマエ。まさか同姓同名だったりして。

 私は全てのクラスの名簿を端から端まで見て、確認した。同姓同名はいないようだった。

「え、じゃあ私……3組?」

 ぼそっと呟いたそれは、クラス発表に沸き立つ群衆の中に溶けて消えた。

「ミョウジさん」
「こ、づめくん」
「クラス、同じだったね」

 声をかけられて振り向くと少し口角が上がっていて機嫌が良さそうな孤爪くんがいて、なんだか王子様みたいで、私は目が離せなくって、ドキドキしすぎてよくわからなくなった。

 ──ああ、孤爪くんってやっぱりかっこいい。

 頭がふわふわしちゃうのはきっと春の陽気のせい。

「嬉しいな」

 孤爪くんが私の目をしっかり見てそう言った。孤爪くんが、私と同じクラスになれて嬉しいって言ってる。なんて幸せな新学期なんだろう。
 神様、ありがとう。来年は多めにお賽銭投げます。

「私も嬉しい! 一年間よろしくね、孤爪くん」

 本当は一年なんかじゃ物足りない。来年も同じクラスがいいし、もっと本音を言うと恋人になってずっとそばにいたい。色んな孤爪くんを見て、知って、たくさん愛してあげたい。ちょっと重いかな、なんて。

 孤爪くんはなんと教室まで一緒に行ってくれた。優しい。優しすぎてなんかよくわかんない、泣きそう。幸せすぎて逆に情緒が安定しない。

 教室までは他愛もない会話をした。孤爪くんに「春休みなにしてたの」って聞かれたから、ずっと孤爪くんのことしか考えてなかったよ!──って言いたいのをぐっと堪えて、「友達とデズニー行ったり買い物行ったよ。あとはバイトとか」って答えた。「孤爪くんは?」って聞き返したら、やっぱり部活三昧だったらしい。

「孤爪くん、今年も部活忙しいだろうけど、頑張ってね!」
「うん、ありがとう」
「えっと、孤爪くん、あのね」
「なに?」

 もじもじする私を不思議そうに見ながら、孤爪くんは小首をかしげた。
 私はスゥと小さく深呼吸して、意を決して言った。

「もしよかったら、絶対プレーの邪魔しないから、孤爪くんのバレーしてるとこ……応援しに行きたいな」

 ずっと言いたかったことを思い切って伝えたあとは、反応が恐くて鞄を持つ手にギュッと力が入った。

「……うん、いいよ。練習試合とか、来て」

 ドキドキしながら待っていると、孤爪くんがそう言った。

「本当?!」

 思わず少し大きい声になってしまって、すぐに「あっごめん」って言った。なんかがっついてるように見えるかな、恥ずかしいな。たぶん私今、顔赤いし。
 孤爪くんはそんな私を見てクスリと笑った。そして、「本当だよ」って言ってくれた。

 ──優しいな、孤爪くん。大好き。

 二年生は同じクラスになって、念願だった試合も見に行ける。ずっと夢見てた二つが今日の朝だけでどっちも叶って、嬉しさよりも驚きと感動のほうが勝っている。嬉しいけど、なんか信じられない。

 同じクラスってことは、毎日朝から夕方まで──は大袈裟すぎるけど──、孤爪くんと会えるってわけで。今までよりも髪型とかメイクとか、色んなこと頑張って可愛くならなきゃって自分の中で強く誓った。

 ──そういえば孤爪くんに可愛いって言われたことないな……言われたいな。

 夢が二つも叶ったというのに、新しい願望が芽生える私は強欲なのかもしれない。




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