烏丸side/17 玉狛支部2












「ああーっ! はじめちゃってるの!?」

 
 もう!急いで掃除終わらせたはずなのに間に合わなかったわっ!


廊下から聞こえる声だけで、誰もが分かる。

小南先輩のお出ましだ。







「みて名前! これあげる」

「うそ! かわいー!!」

「でしょーー?」

「ありがとうございます!桐絵せんぱい!」



向かいの席で、名前と小南先輩が会話に興じている。

二人は中学の時に先輩後輩だった事もあるのか、とても親しげに言葉を交わし合っていた。



「でも、なんでペアでなんですか?このマグカップ……なにか意味が?」

「名前、とりまると暮らし始めたって聞いたから」


「誰に?!?」



誰だ、そんなこと言ったの。



「迅よ? え、そうなんでしょ?」



俺は顔を横に向け、隣の席の迅さんをみつめる。



「迅さん……」



彼は笑いながら俺の肩を叩いた。



「いや〜、別に黙っておくことでもないだろ?」


「ふたりで暮らすくらいなら、もう玉狛に来なさいよ。べつにネイバー恨んでるわけでもないんでしょ」


小南先輩が不満そうにくちびるを尖らせる。


「そうなんすけどね」


エビフライを飲み込んだ迅さんは「ダメだな、」と切り出した。



「転属させんのは太刀川さんが許さない。サイドエフェクトなくてもわかるわ」

「名前、あいつに溺愛されてるもんな」

「ほほう?じんがサイドエフェクトなしにだんげんできて、レイジまでいうくらいとは……。それで、『できあい』ってなんだ?」

「陽太郎にはまだ早い」



「それも存分にあるんすけど、出水先輩たちにもあれはあれで色々お世話になってるんで…」

「ここまで良くしてもらってるのに、申し訳ないです…本当に」


俺たちは「いつもありがとうございます」と頭を下げた。

どっと笑いが起きる。



「真面目なんだからもー」

「全然それはいいんだよ。レイジさんの大事な弟子だからね。お祝いするのは当たり前だよ〜」 

 
「あ、そういえばさ、この前言ってたやつが、レイジさんが使ってた学生鞄出てきたんだよな。京介使うだろ?」

「はい。ありがたいっす」

「だってレイジさん。良かったね」

「中学生が使うにはちょっと、と思ってたが、いまのおまえなら持っても変じゃないと思う」
 

帰りに渡す、忘れてたら言ってくれ。


俺はこっくりと頷いた。
 





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