言葉が邪魔だと思うときはいつも、注意深く目を覗く。 名前は目を丸くして、じっと見つめ返してくる。 もともと表情は控えめだが、名前が俺と同じように思っているとは、微塵も思えなかった。 俺はため息をついて、目と目だけじゃ伝わらないことを嘆いた。 うつむく。 ふと、腕が伸びる。名前の手が俺の頭を撫でた。 そして名前は小声で、 「かわい〜〜」 そう言ってもさもさと撫で続ける。 不服だ。眉をしかめる。 「俺がなに考えてるかわかったのか」 名前は頷いて、にんまりと笑うと「わかる」と言う。 「じゃあ」と切り出す俺を、しぃっと人差し指を立てて名前が小声で制した。 「誰かに見られてるかもわからないのに」 それもそうだが。 したいものはしたいんだ、というぼやきを引っ込めて、代わりに「学校出たら絶対にしてやる」と、俺は犯行予告めいたことをつぶやいた。 諦めの言葉の代わりに、短く息をつく。 「今日はレイジさんとこいくだろ?」 「うん、気合入れてもらおう」 壁の時計を見ると、もうすぐ予鈴がなりそうな時間を針が指していた。 先に名前を教室へ返し、一分を数えてから 俺も玄関を後にした。 |