烏丸side/15 キスがしたい









言葉が邪魔だと思うときはいつも、注意深く目を覗く。



名前は目を丸くして、じっと見つめ返してくる。


もともと表情は控えめだが、名前が俺と同じように思っているとは、微塵も思えなかった。


俺はため息をついて、目と目だけじゃ伝わらないことを嘆いた。

うつむく。



ふと、腕が伸びる。名前の手が俺の頭を撫でた。
 
 
そして名前は小声で、
 
 
「かわい〜〜」
 

そう言ってもさもさと撫で続ける。


不服だ。眉をしかめる。



「俺がなに考えてるかわかったのか」


名前は頷いて、にんまりと笑うと「わかる」と言う。


「じゃあ」と切り出す俺を、しぃっと人差し指を立てて名前が小声で制した。


「誰かに見られてるかもわからないのに」


それもそうだが。

したいものはしたいんだ、というぼやきを引っ込めて、代わりに「学校出たら絶対にしてやる」と、俺は犯行予告めいたことをつぶやいた。

諦めの言葉の代わりに、短く息をつく。
 
 
「今日はレイジさんとこいくだろ?」
 
「うん、気合入れてもらおう」


壁の時計を見ると、もうすぐ予鈴がなりそうな時間を針が指していた。

先に名前を教室へ返し、一分を数えてから 俺も玄関を後にした。









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