「主、連れてきたぜ」
暫く長く暗い廊下を歩き続け、金箔の飾りの付いた襖の前に着くと、少年は中に声を掛けた。すると、
「そう。入りなさい」
女性の声が聞こえた。声の感じからして十代半ばくらいだろう。かなり気の強そうな感じを受けた。少年はルシアに振り返り、頷くと襖を開けた。
そこには十数名程の刀剣男士達を侍らせた、黒髪で色白な美少女が座っていた。
「ようこそ《私の》本丸へ。見習いさん」
『ありがとうございます。暫くお世話になります』
「ふぅん、中々使えそうね。仕事、しっかりやりなさいよね、、、まあ!!」
「ん?」
その場に正座し、深々と頭を下げるルシアを見下したようにあしらっていたが、彼女の背後にいる三日月を目にしたとたん、目を輝かせほんのり赤面しながら駆け寄り、勢いよく彼に抱きついた。
「三日月さまぁ!!」
「、、、、あなや」
『、、、、あなや』←
突然の展開に三日月とルシアが呆然としていると、その審神者は体をさらに密着させ、うっとりと三日月を見つめながらすり寄り始めた。
「あああ!!三日月様、お会いしたかったですわあ!!私はこの本丸の主の霞と申します。さ、私の隣へ!!一期っどいて!!邪魔!!」
「主殿、、、」
「、、、五月蝿いな(小声)」
『ち、ちょっと待ってください。主様』
「はあ?あんたまだいたの?」
危うく拉致されかけている三日月を引き離すと、主、霞は嘲るような視線をルシアに向けた。
『主様、彼は私の相棒です。連れていかれては困ります』
「なに言ってんのよ。バカじゃない?」
「霞とやら、すまんな。俺はすで主の物でな」
「可哀想な三日月様。言わされているのですね!?私に任せてください、排除いたしますわ!!」
『排除って、、、私は見習いなんですが、、、』
「うるさいわね。三日月様を渡してさっさと母屋から出ていきなさい!!、、、死にたいなら話は別だけど?」
お目当ての三日月を目の前にし、すっかり興奮している霞を押さえつつ、会話をしようと試みるがさらりと脅迫され、怒りを通り越して呆れ始めた。そんなルシアに三日月が耳打ちした。
「主よ、俺に提案があるんだが、、、、」
『提案?』
「きいいぃっ!!私の三日月様から離れなさいよぉ!!!!」
『ふんふん、、、分かった、、、』
「ちょっと聞いてんの?!」
「ああ、、、すまんすまん。主よ、ではな」
『ああ』
三日月とルシアは軽く手を上げ、三日月は霞の元に向かった。
「三日月様!!来てくださったのね!嬉しい!!」
「はっはっはっ、、、さて、霞とやら。俺の主を試してみないか?」
「え、、、試す?」
てっきり三日月が自分の物になると思っていた霞は不意をつかれ、キョトンとした。それは周りにいる刀剣男士達も同じようだった。そんな周囲を一瞥すると三日月は、ゾッとするほど綺麗な笑みを浮かべた。
「俺の自慢の主がどれだけお主より優れているか、、、をな」
「え?え?」
「なあに、簡単なお使いみたいなものだ。お主は主に三つ要求をする。その要求を全て叶えれば俺は主の物。だが、ひとつでも主が叶えられなければ、、、俺はお主の物になろう」
三日月がそういった途端に、霞の目がギラギラしてきた。そして、無言で立ってこちらを見ているルシアに目をやる。
「面白そうね、、、三日月様がそうおっしゃるなら、、、、貴女も従うでしょう?」
『はい。もちろんお受けします』
「ふふふ、、、あはははははは!!なら、さっそく始めましょうか」
ルシアを嘲笑いながら、ひとつ目の要求を告げた。
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