その頃、ルシアは鍛刀部屋にいた。
まずは巴形薙刀について知りたいと思い、こんのすけから貰った最新の刀帳に目を通してみた。
どうやら巴形薙刀というのは、最近実装されたばかりの刀剣男士らしく、まだ鍛刀数が少ないらしい。性質としては人間味が薄く、主に対して過保護なところがあり、主の見映えの為に傍らに控える、、、とかなんとか。
その忠義心は打刀のへし切り長谷部に並ぶほどらしい。
『ふーん、いかにもあの主が好みそうな性質だな』
「そうですね。命令には忠実で、逆らうと言うことがほとんどないそうで、、、良く言えば従順、悪く言えば言いなり、ですね」
『そうだな、、、、人間味が薄いとあるしな』
そこまで考えると鍛刀を躊躇ってしまう。恐らく無事鍛刀出来たら、あの主の事だ、無理矢理奪い取り、自分の手駒にするだろう。そうすれば彼もまた犠牲者となるのだ。
しかし、ここで鍛刀しなければ三日月は、、、?
彼は自分を信用して敢えて人質(刀質?)となった。彼の信頼を裏切りたくはないし、絶対に彼を手放したくない。そこまで考えてルシアは自分の気持ちに疑問を感じた。
(ん、、?何だろうか、、、この気持ちは、、)
実を言うとあの時、霞が三日月に抱きついた時、かなりイラっとしてしまった。まさか自分は、三日月を、、、、?確かに三日月は俗にいうイケメンで、自分を主と慕ってくれているが、それが恋慕かと言われると、、、
(いやいや、、、、無いな、、、多分、、、、)
彼の胸の内は当人しかわからない。しかも出会って一日、二日でそんな感情を抱く程、単純ではないはずだ。
ルシアは雑念を払うように軽く頭を振り、刀帳をパタンと閉じた。
『よし。巴形薙刀、、、鍛刀してみるか』
「審神者様、こちら薙刀鍛刀資材の平均値です」
『ありがとう、助かる。さて、、、勝負だ』
ルシアは手にした資材と依頼札を妖精に渡す。すると妖精が満面の笑みで、
―d(^-^)―
と返し、炉に資材をくべ始めた。その表情はまるで大丈夫!任せて!!と言ってくれているようだ。
時間はちょうど5時間。薙刀の鍛刀時間と一緒だ。
不思議な安心感を感じたルシアは、こんのすけに手伝い札を渡し、後は運に委ねることにした。
コンコン、、、
その時ふいにノックの音が聞こえた。
『誰だ?』
「あ、、悪い」
『お前は、、、さっきの?』
「入って、、、良いか?」
『ああ』
先程、案内をしてくれた刀剣男士だった。
ルシアが頷くと、遠慮がちに中に入ってきた。
『どうした?』
「いや、心配で、、」
『そうか、、、しかしいいのか?こんなところにいて。主にバレたら不味いんじゃないか?』
「大丈夫だ。あの女、、、主は、三日月とイチャイチャしてる最中だし。俺がいないことも気づいてないから、、」
『、、、、そうか』
どうやら霞は、すでに三日月を自分のモノと決めつけているようで、、、ルシアは顔にこそ出さないが彼女に対する怒りが沸々とわいてきた。黙りこくるルシアにその刀剣男士が話し掛けてきた。
「俺、獅子王。よろしくな」
『ああ、獅子王。こちらこそよろしく』
「っあ、ああ!」
お互い挨拶を交わした直後、鍛刀が終了した。
こんのすけがものすごいスピードでルシアに駆け寄ってきた。
「審神者様!!鍛刀、終わりました!」
『ああ、こんのすけ。ご苦労様。さて、、、』
ルシアが妖精の元に向かうと、こんのすけが獅子王に気付いた。
「これは、獅子王様!このようなところでお会いするとは、、、」
「お、おう、こんのすけ。邪魔なら出てくけど、、、」
「いえいえ。さ、審神者様の元に参りましょう!」
「へ?ああ、、、分かった」
獅子王は、かなり強引なこんのすけに後押しされながらルシアの元に向かった。
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