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ルシアが妖精の元に向かうと、一振りの薙刀が置いてあった。
少し小振りな刀身に繊細なデザイン、、、
『ありがとう、ご苦労様だったな。こんのすけ、これはもしや、、、』
「はい!巴形薙刀でございます!!」
「マジかよ、、、」
『そうか、これが、、、』
感心するルシアと誇らしげな妖精とこんのすけ。そして驚きの余り、唖然とする獅子王。
暫く余韻に浸っていたが、ふと霞を思い出し、ため息をつく。
『持って、、行くか』
「そだな、、、あんまり待たせるとまたヒスるからな、、、、」
ヒステリックにわめく姿を想像し憂鬱になりながらも、報告に行こうとルシアが手に取った、その時だった。
ぶわっと大量の桜が舞い上がる。そして視界がハッキリしていくと、全体が白地に水色のグラデーションの背の高い男性が立っていた。
「薙刀、巴形だ。銘も逸話も持たぬ、物語のなき巴形の集まり。それが俺だ」
無表情で淡々とした語り口。人間味が薄い、、、とは聞いていたが、姿が整いすぎているのも相まってまるで人形のようだ。
『巴形、、、と呼べばいいか?』
「ああ、構わないぞ、主」
『あ、いや、私は違、、、』
「違うのか?俺を顕現したのは貴女だろう?」
『ま、まあそうなんだが、、、』
「ならば貴女は俺の主だ」
『、、、、はあ、、もういい』
「どんまい、、」
自分を主と言い張る巴形に、違うと訂正しようと頑張るものの聞く耳を持たない。その光景に、隣で見ていた獅子王が苦笑いしながら肩を叩く。
このまま押し問答を続けても仕方がないと半分諦め、とりあえず霞の元へ向かった。
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謁見の間の前に戻ってきた三人。目配せし、襖越しに声を掛けた。
「はあい、どぉぞ」
甘ったるい声が返ってきて、ルシアと獅子王は顔をしかめた。
『、、、上機嫌だな』
「気持ちワリ、、、」
「、、、入らなくていいのか?」
ため息をつきつつ、巴形に促され襖を開け入ると、そこには三日月の膝に乗り、首に手を回し甘えている霞と、綺麗な顔をあからさまにしかめている三日月がいた。それを見てムッとするルシア、うわぁと呆れきった獅子王とこんのすけに、相変わらず無表情な巴形。異様な空気の中、三日月がルシアの姿を見つけ、さっきまでの不機嫌な顔はどこへやら、、、ぱあぁと笑顔になった。
「おお!主か。待っていたぞ。ほれ、審神者よ。主が来たぞ」
「えぇ?んもう、邪魔しないでよぉ」
『主様、報告に来ました』
「あら、失敗の報告ね。ごくろーさま!!もう消えていいわよ、、って、、、、、え?」
失敗だと決めつけ、へらへら笑いながらこちらを見た霞は、巴形を目にした途端ピシッと固まった。
『ご希望の巴形です』
「は?な、なんで?私は何回鍛刀しても来なかったのに、、、、あ、さては何回もやったんでしょ!?絶対そう、、、」
「いえ、条件通り一回のみです。わたくしと獅子王様が証人です」
「ああ、確かにそうだったぜ」
「は、、、?こんのすけと、、、獅子王!?あんた、なんで見習いの味方すんのよ!!」
周りの刀剣達がざわめく中、案の定ヒステリックに叫び出す霞。そんな彼女を冷たい目で一瞥すると、獅子王はふいっとそっぽを向き、言い放つ。
「んなの、俺の勝手だろう?なんだよ、今まで眼中に無かったくせに、どうでもいい玩具がいまさら惜しくなったのか?」
「なっ、、、」
『おい、獅子王?』
「俺は、、、見習いの所に行く!!」
「なに言ってんのよ!!あんたは私の、、」
「俺はあんたのモノじゃない!!」
霞の言葉を遮り叫ぶ獅子王に驚くルシアと三日月。霞にとってもこの事態は予想外だったようで、暫し呆気に取られていたが、次第に顔が醜悪になり始める。
「ふぅん、あっそ!!まあいいわ、好きにすれば?それよりも、、、巴形、こちらに来なさい」
『呼んでるぞ?』
「、、、」
霞に呼ばれるが、当の本人は動こうとしない。ルシアが促すも無表情で霞を見つめている。そんな巴形に焦れたのか、霞が怒鳴り散らす。
「どうしたのよ!主の私の言うことが聞けないの!?」
『おい、巴形、、』
「、、、断る」
「はあ!?」
『な、、、』
今まで沈黙していた巴形が霞を一言で拒絶し、ルシアに抱きついた。彼の思わぬ行動に、拒絶された霞は勿論、抱きつかれているルシア、獅子王やこんのすけ、三日月に周りの刀剣達までもが驚く。
「ち、ちょっと!!何言ってんのよぉ!!さっさと来なさい!巴形!?」
『巴形、、、一先ず離れてくれないか?視線が痛い』
「、、、ん、、分かった」
「割りと素直なんだな、、、」
「主の頼みだからな」
「ふ、ふーん、、、」
「なんで?なんでなんでなんで??なんなのよおっ!!」
ヒステリーを起こし喚く霞に、巴形は平然と言い放った。
「俺は彼女に顕現された。だから主は彼女だ、貴女じゃない」
「な、んですって、、、?」
「納得いかないか?理由としては充分だろう?」
そう言うとルシアの後ろに回り再び抱き付く。それを見た霞の顔はまるで阿修羅だ。体をカタカタ震わせる彼女の背後で、三日月が羨ましそうな顔をしているのを見て、ルシアは心の中でため息を付いいた。
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