デイドリーム・ビリーバー2

「めーは映画すき?」

いつもならもう寝るか寝ないかぐらいの時間帯。夜中特有のドロドロとした恋愛ドラマをお酒と流し見して、瞼も段々と重くなってきていた。
彼女はリモコンを操作し『映画:ロマンス』の欄をひたすらにスクロールする。

「あんま観ないけど、洋画より邦画かも」
「パッとしなくない?」
「まー、段々眠くなってくるの多い」

透子は評価の数が多い適当な映画を再生し始める。顔立ちの整った女優と俳優による、美しい退屈が延々と流れていく。
暇なので彼女の観察をしていると、同じように退屈そうにしていたが、段々と世界に浸っていっているようだった。
真剣な瞳に、映画が映っている。
そしていい雰囲気になったふたりが、そろそろキスをしそうなシーン。合わせるように透子の長い髪を耳にかけて、その頬に唇を落とす。

「邪魔しないで」
「む」

こちらを見もしないで、クッションを顔に押し付けられてしまった。機嫌を損ねてしまったかと、少々反省しつつ大人しくソファに座り直す。
仕方ないので、終わるまで映画でも見ようか。