君に贈る白い薔薇
ぷろぽーず


周りがざわつく。
その原因はなんなのか……答えは目の前にあった。
高身長で容姿も良いからその行為が似合うのか。
二宮が手にしている白い薔薇の花束……違和感が全くない。寧ろに似合う。
ここで可愛い女の子みたいに胸をときめかせキャ〜と喜ぶのが正解なのだろうか。
……別に私もドキッとしなかったわけではない。
二宮の天然ぶりも強引さも知ってるせいかなんか驚きの方が強く逆に頭が冷静になってしまった。
これって女としてどうなんだろう。
二宮の顔を見るけど彼の目は真っ直ぐ私を見ていて……うん、本気なのだけは伝わった。ありがとう。
状況を呑み込むにつれ徐々に心臓の音が大きくなっている気がするんだけどもう少し冷静でいたいので私の心臓は落ち着いて。
見てのは不分かるけど一応聞いておこう。

「これは?」
「見て分からないのか?」

いや、分かるけど!
今日がホワイトデーだからそのお返しでしょう?分かってるよそんなこと。
一体何本あるのか分からない白薔薇に目を向けて一本二本と数え始める。

「百八本ある。
現実逃避している暇があるなら俺を見ろ」

あらら、バレてる。
付き合い長いもんね私達。
だったら私の心境も察してほしい。
百八本って一度は憧れるプレゼントだよ?嬉しいけど恥ずかしい……そんな複雑な感情で悶々としているのに目の前で恥ずかしげもなく堂々と言っちゃうんだもん。
私の心臓が先程よりも大きく動くのが分かる。

「受け取れ」
「うん」

私の顔よりも大きい花束。それだけでも重量感あるのに実際に受け取ってみてその重さを体感する。

「初めて貰った」
「そうか」
「……似合うかな?」
「俺が贈った花束だ。アキ以外に似合う女はいないだろう」
「そりゃどうも……」

花束に顔を埋めるようにして顔を隠す。
もう周りに見られて恥ずかしいとか気にするのも面倒。
いや、余裕もないんだけど。目の前は二宮しか見えなくなる私ってやっぱり重症だ。

「にの……匡貴。一人で持って歩くのはあれなので……できれば支えて欲しいんだけど」
「ああ」

私の返事に満足したのか匡貴は優しい表情で返事をした。


20180325


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