XとYの解を求めて
真っ白なぺーじ

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むかしむかしあるところに――。

物語の始まりは大体そう。
何か語るものがあって言の葉は紡がれる。
だがこの物語には語るべくものが存在していなかった。

本にはしおりが挟まっているはずなのにそのページを開いても何も書かれていない。
試しに前のページに戻ってみるがやはり何もない。
何も書かれていない空白のページだけが存在する。ありえない。
物語は誰かの想いが綴られるものだ。
何も存在していないなんてありえないことだ。
それが無いということは今までそれが存在していなかったことになる。可笑しい。
本に挟まれているしおりは何かの標であったはずなのに……一体この栞は何を意味するのか……今の彼女には何も分からない。

ただ空虚な世界に置いてけぼりにされた彼女は求めずにはいられなかった。

ただ一つでいい。
この世界を彩る何かを――。

彼女は求めて手を伸ばす。

最初に掴んだのはかけがえのない大切な――……。


20180413


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