35.雪町の宿にて
北の技術大国、テノス。雪に覆われた街並みは他の国では見れない光景なので、思わず見入ってしまうほど。
蒸気機関車がぼうぼうと鳴く音が町中に木霊する。どうやらレグヌムと同じように駅があるようだが、それはそうだろう。テノスとレグヌムを繋ぐ線路が存在するのだから。戦争が起きる以前の両国の仲は良好だったことが窺える。蒸気機関も石炭輸送も互いの国あればこそ。些細なことがきっかけで拗れてしまい今の戦争が起こっているのが勿体ない。早く元通りになればいいのにと願うばかりだ。
「ここがテノスかぁ。話には聞いていたけど、寒い所だなぁ」
「そうだね〜……うう、さむい……」
「早く宿に行かないと風邪引いちゃうよね」
ミルファとルカがすっかり冷たくなってしまった手にはあっ、と息をかけながら話していると、後ろから大きなくしゃみが聞こえた。その主はイリアで、ガタガタと震えて縮こまっている。よくよく見れば、スパーダもエルマーナも同じように寒さを堪えており、何ともなさそうなのは普段から厚着をしているアンジュとリカルドだけ。
寒い寒いと騒ぐ薄着三人組を見て、リカルドとアンジュはやれやれと息を吐いた。
「とにかく、幸運なことに宿屋はすぐそこだし……行きましょうか」
「よっしゃ! ミルファ姉ちゃんおいで! はよご飯食べようやぁ」
「はは、エルってば……。でも、ここに来るまで何も食べてなかったからさすがに僕もお腹空いちゃったよ」
「そうね、歩きっ放しだったからお腹空いたわ」
イリアがお腹を押さえながらそう言うと、一目散にエルマーナがミルファの手を引いて駆け出し、宿へと向かう。
宿の中は暖炉の火で暖かくて、雪世界の中にあるのが嘘だと感じる。せっかちさんね、と言いながらアンジュは宿のカウンターに部屋を借りに行ってくれた。旅行客も多く居るのか、空いている部屋は少ないとのことで男女に分かれて部屋を使わせて貰うことになり、鍵をふたつ手渡される。
ごゆっくり、と穏やかに微笑む店主にぺこりと会釈をし、割り当てられた部屋へ向かう。ギシギシと音を鳴らしながら木目調の階段を上がると、部屋は目前。男女で隣同士の部屋だったので呼びに行くことがあれば楽でいいだろう。
「じゃあみんな一旦部屋で休みましょうか。お食事の時間になったら集まるのだし、今後の話はそのときにでも……ね?」
「そうだな。それが一番良いだろう」
「じゃ、部屋行こうぜェ」
割り当てられた部屋に入り、荷物を置いてベッドに腰掛けた。ふかふかの布団に埋まりたくなるが、今寝てしまえば夜更かし確定だ。明日寝坊してしまうことになるかもしれない。
眠気を飛ばすように頬をぺちぺちと叩いてみる。アイテムの整理など何かすることがあれば――と考えたところで思い出す。ハスタとの対峙でかなり服が損傷していることを。
がばっと赤いコルセットワンピースを脱いでみると、背中や袖口に刃物により切り裂かれた跡があった。早く服を縫い合わせないと、と鞄の中から旅先で買った裁縫道具を取り出して、いそいそと作業に取り掛かる。
チクチクと縫い合わせていると、エルマーナがひょっこりと手元を覗いていた。その隣では道具袋からのそのそと出て来たコーダがころんころんと転がりながら寛いでいる。
「へぇ〜! お嬢様やのに裁縫できるんや」
今度時間があれば教えてなと笑うエルマーナに、ミルファはいいよと笑いかける。年下の子たちと暮らしている中でエルマーナが最年長なら、裁縫も覚えないと大変だろう。自分に教えられることがあるならそれに越したことはない。
(エルちゃんは、お母さんとして今後も頑張って行くんだろうなぁ)
ルカに対しては特にそうだが、彼女は根っからのお母さん気質だ。大勢の子どもたちと接するのを大変だとは思っていないようだった。ミルファは自分よりも年下の子と接したのは旅を始めてからだから、まだまだ慣れていない。むしろ身長のせいで自分が年下に見られることはあったけれども……。
イリアとアンジュもミルファの手元を見て器用だと褒めるものだから、なんだか照れてしまって針を指に刺してしまわないか心配になる。裁縫を覚えたての頃――父や母に隠れてメイドや執事の手伝いをしていたとき、そんなこともあったなぁと思い出す。裁縫も、洗濯も、料理も。出来るようになったのは彼らが両親に隠し続けてくれたからだと言える。
思い出に引っ張られて手が止まってしまっていたので、集中して早く終わらせてしまおうとまた縫い進めているとアンジュがくすりと笑みを溢した。
「ミルファはお料理もできるし、花嫁修行は大丈夫そうね」
「そ、そうかな? でもまだまだ気が早いような……」
花嫁は女の子の夢とは言うが、そんな相手も居ないのでまだまだ考えられない。家に居る頃に政略結婚の話は進んでいたけれどミルファはもう家を出るつもりでいるので、それも最悪の形で破綻となるだろう。そう思うと申し訳なくて、心の中で小さく両親にごめんなさいと謝罪する。
ミルファの家は大家族で、本来家を継ぐはずだった兄たちは既に職についたりとそれぞれの道を歩んでいる。軍に属していたり、王立大学院に通っていたりと様々だ。未成年なのはミルファだけ。兄達と違い、政に使われる為だけに育てられて来たようなものなので家に居ても自分で叶えられる夢はない。都合の良い傀儡となるしか道はないだろう。
でも、そんなのは嫌だった。そういうものだと受け入れかけていたけれど、旅に出て自分にも出来ることがあると知った。自分で選択して、決めて、ひとりの人間として歩んでいきたい。それがミルファの願い。
「あ、もう終わった? 早いじゃん」
あっという間に繕い終えた洋服を全身が映る鏡の前まで移動して着てみる。くるりとワンターンして後ろも確認し、とりあえずは問題なかったので一安心と息を吐く。
とてとてとベッドまで戻りまた腰を下ろすや否や、エルマーナがぎゅうとしがみついて来たので「どうしたの?」と頭を撫でながら聞いてみる。気持ちよさそうに目を細めるその姿はなんだか猫のようで、可愛らしくてくすりと笑みがこぼれた。
「旅終わったら、みんな夢に向かって生きていくやろ? 寂しいねん」
今まで、心の中で考えはしても口にしなかった話。旅が終わりを迎えると、みんなそれぞれの道を歩むことになるだろう。グリゴリの里で話したような夢を目指して。そういうものだと言ってしまえばそれまでだが、簡単に割り切れるほど浅い関わりはして来ていない。別れる日を想像すれば、エルマーナがいうように寂しい。
看護師になるという夢を叶えるのなら、ミルファは短期でも看護学校へ通う必要があるし、イリアも校長になるというならそれ相応の勉強や学ぶ場所が必要になる。旅を続ければいいとは言えないのである。
「それになぁ。ミルファ姉ちゃん、変な男に引っかかれへんか心配やねんな」
「あ、わかる。言い寄られても気付いてなさそうだけど」
「否定はできないわね」
「え? え?」
言っていることがよく分からなくて彼女たちを見やるが、神妙な面持ちで深くうんうんと頷いている。わかっていない仲間はさきほどからミルファの隣でごろごろとしているコーダくらいだった。
どういうこと? と腕を揺すっても教えてくれないのでミルファは首を傾げるしかない。
「スパーダ兄ちゃんが何とかするしかないなぁ!」
「何とかって何よ?」
「それはスパーダ兄ちゃん次第やなぁ」
みんなが言っていることを理解できないながらに、スパーダにこれ以上迷惑を掛けるのは嫌だというのははっきりしているので、何とかすると意気込むが彼女たちの目が無理だろうと言っている気がする。そんなに自分は頼りないだろうかと肩を落とすが、ミルファは鈍感なのでその点において心配が抜けないのは仕方がないといえる。
嘘も詭弁というやつで、落ち込ませてしまったミルファを立ち直らせるためにまあまあと誤魔化して場を和ませ話を流そうとする。そのとき、そういえばと思い出したように手を叩いたエルマーナがニッとやんちゃな笑みをした。視線の先は男性陣の居る隣の部屋だ。
「例えばやけどぉ〜! スパーダ兄ちゃんがミルファ姉ちゃんに――」
「あ。こら、エル。その辺にしておかないと――」
「おい、ゴラァ! てめェら! メシの時間だぞ!!」
「や、やめなよスパーダぁ」
ドンドンドン! と乱暴に扉が叩かれる。ノックというよりもはや殴りつけているレベルだ。扉を壊しかねないノックと怒号の声の主はどう考えてもスパーダしか居ない。ルカの諌める声は掻き消されており何の抑止力にもなっていない。扉越しの様子にアンジュは、呆れたように深く溜息を吐く。
「……取り立て屋かっちゅーねん」
「ほら、やっぱり怒ってる。エルったら、わざとでしょう?」
「バレとったかぁ。はいはい、今開けたるさかいな〜」
「あんたゲンコツは覚悟しておいた方がいーんじゃない? こりゃ……。さ、行きましょミルファ」
「……う、うん……?」
よく分からないままにイリアに手を引かれて部屋を出ると、扉を開けたエルマーナがスパーダに頭をぐりぐりされていた。痛い痛いと逃げ出そうとするががっちりと捕まっているので逃げられないようだ。助けてあげないと、と手を伸ばそうとしたものの、ミルファの手はアンジュにそっと阻まれてしまう。
「今のはエルが悪いわよ? ああいうのは本人が言わなくちゃだめなんだから」
スパーダに激励を飛ばしたつもりなのだろうが、自分でどうしたいかを考えている最中の彼からすれば余計な手出しでしかない。応援してくれてはいるのだろうが、本人に言うことはないだろうと言いたい思いを拳に込めてエルマーナの頭を小突く。
意外にヘタレなんやなぁと言われ、スパーダはうるさいと突っ撥ねた返事しか出来なかった。
ふたりのやり取りを見ているミルファだが、さっぱり内容が理解できないし察することも出来ない。どういう意味なのか訊こうと思ったが、何やらスパーダが物凄く嫌がることのようなので聞かない方がいいのかもしれないと悟り口を噤んだ。話したくなったらきっと話してくれると信じて。
「あーん、ミルファ姉ちゃん慰めてーなー! めっちゃ痛いわぁ」
「よしよし〜痛かったね。スパーダったらやり過ぎだよぉ」
「ちゃんと加減してるっつの」
エルマーナを労わるようにこめかみや頭を撫でていると、食堂の方が賑やかな声が聞こえた。もう食事が始まっているようだ。
暖かい室内に、シチューの良い匂いが広がっている。食欲のそそられる香りにエルマーナもコーダも我慢できなくなっていち早く席に着くものだから、なんだか微笑ましくてくすくすと笑いが溢れた。
――この旅も終わりが近い。この暖かさから離れるときがやって来るだろう。だったら、今この瞬間をしっかりと楽しんで胸に刻んでおきたいとミルファは思った。思い出は未来の自分が頑張れる糧にもなると思うから、と。
◇
翌日、早朝。宿を出て信仰に関係する情報を集めるため町に繰り出した。当たり前だが、昨日と変わらずとても寒い。早朝なのもあるのだろうが、昨日よりも雪の積もっている積量が増えている気がするほどだ。
しんしんと降る雪に、銀世界。声は雪に吸われて聞こえ辛いと聞くが、そんな中でも町の人は朝から元気で活気がある。蒸気機関に石炭を乗せて運ぶ準備をしているようだった。
テノスの町は蒸気機関技術の最先端を担っているため技術者も多く、石炭掘りも盛んだ。と、リカルドの豆知識が語られるが、難しい話に興味はない! とお腹を隠しながらも主張するものだから、リカルドはやれやれと溜息を吐いてアンジュに任せるかのように視線を送った。その視線に気付き、彼女はこの土地の食べ物事情を語り始めた。
寒い地方なので郷土料理としてシチューが有名らしい。昨晩ご馳走になった、ごろっとした野菜がふんだんに入っていたシチューを思い出し、あれは美味しかったねと談笑が弾む。ルカはチーズスープが一番好きだが、テノスのシチューも好きになったよと笑った。
煮込み料理とテノスにしかないお酒も美味しいという噂があることを嬉々として話すアンジュに、エルマーナは「さすが食いしん坊ナンバーワンや!」と言う。アンジュは少し焦ったようにみんなに同意を求めるが、返って来た答えは彼女の思っていた通りの物ではなかった。みんな口々に食いしん坊だと思う人――全員がアンジュをご指名だったからだ。
指名しておいて何だが、ミルファはアンジュに対して食いしん坊というよりグルメな印象がある。そうフォローしようかと思ったが、部屋で夜遅くにひとりでこっそりとお菓子を食べているのを見たことを思い出したので黙りこくってしまった。
しょんぼりとするアンジュは自分でも抑えられない食欲が嫌だったが、食べ物がおいしいのが悪いと心の中で責任転嫁する。
「えーっと……と、とりあえず情報を集めようか。あ……でも上着ないと寒いよね、買いに行く?」
「それなら、俺が行こう。ガキ共は待っていると良い」
「わたしもお手伝いします。みんな良い子で待ってるのよ?」
リカルドと、少し落ち込み気味のアンジュが道具屋へ人数分の上着を買いに行ってくれた。その間待つだけというのも落ち着かないので、少しでも情報を集めた方がいいかと、冷えた指先を自分の息で暖めながら考えているとルカ以外の姿が見えなくなっていた。
「あれ? ルカくん、他のみんなは?」
「ああ……あそこだよ」
ルカの指差した方を見ると、スパーダとイリアとエルマーナとコーダで雪玉の投げ合いをしている。彼らは特に薄着だというのに元気に遊んでいるので、ルカもミルファも素直にすごいなと思った。
びゅんびゅんと飛び交う雪玉を見ていると、自分達が参戦したところでただの的に成り果てることは明白だったので見守ることにする。
もはや定番になりつつある、寒いねという言葉を交わし合う。人目がないような場所でなら天術で暖められたのにとミルファが言うと、ルカは確かにと頷いた。
天術を戦うために使ってはいるが、それ以外のことでも使えるはずだ。世の転生者への異能を持つ恐ろしい存在というイメージも次第に払拭されていくかもしれないと思うと、なんだか未来が明るい。
物語の魔法使いのように力を使ったら怖くないのでは? と考え、ミルファが魔法使いをイメージしてくるくるとポーズを決めてみる。どう? と聞くと、子どもみたいと言いたげにくすくすと笑われてしまったのでミルファは頬を膨らませた。
「ルカくんまでわたしのこと子どもっぽいってからかうの〜?」
「そ、そんなんじゃないよ! でも、いいね……魔法使い。僕は昔から物語の勇者に憧れてたけど」
「それは、やっぱりアスラさんの影響で?」
ルカはこくりと頷き幼い頃のことを語り出す。昔は夢に見るアスラのようになりたくて、彼のように振る舞っていた時期もあったらしい。周りから孤立してしまったり親を困らせてしまったから辞めたようだ。
筋骨隆々で唯我独尊。あのアスラの真似をルカが……と考えると違和感が強過ぎるが小さい子のおままごと遊びのようなものだから、正直可愛いとミルファはくすくすと笑った。
二人で昔話に花を咲かせて笑い合っていると――。
「……あっ! ミルファ危ない!」
べしゃりっ。
ルカの注意が飛ぶと共に冷たい塊がミルファの頭を直撃する。特に痛くはなかったが、とにかく冷たくて驚いてしまい目をぱちくりさせるしかない。当たった所に触れると溶けかけた雪がレースグローブに染みていった。
「わ、わわ……大丈夫?」
おろおろと心配するルカに大丈夫だよと笑うが、なぜかごめんねと謝られたのでミルファはまた目を丸くする。そして困ったように微笑むと大丈夫だよと優しく口にした。
「ルカくんは危ないよって教えてくれたんだから謝ることなんてないんだよ。何も悪いことしていないでしょ?」
「う、うん……」
彼は優しいが、自分に自信がない。悪いことの原因が自分にあると思ってしまう節がある。前に人の目を見て話さないからとアンジュに注意をされていたこともある。もっと自信を持ってもいいのにと思ったミルファだが、彼女もどこか似た面があるので結局似た者同士なのだろう。何かと一緒に居ることも多いので波長が合うのも頷ける。
「ミルファ姉ちゃんごめーん!」
「ったく……やり過ぎだぜお前ら」
「何よ、スパーダが避けるからじゃん!」
「スパーダのせいなんだな、しかし」
手や体に付いた雪を払いながら雪遊びをしていた彼らがこちらに駆け寄って来る。
スパーダはミルファの前に立つと、袖口で雪が溶けて濡れてしまった髪をぐしぐしと拭いた。袖が濡れてしまうと慌てるがスパーダは全く気にしていないようだ。
柔らかく微笑みながらありがとうと言うミルファに、彼は礼なんて要らないそっぽを向きながら言う。
「あらあら、スパーダ君優しいのね」
「……うっせ」
「あ、リカルド、アンジュ。おかえり」
ちょうどコートを着たリカルドとアンジュも戻って来た。
手渡されたコートは体を包み込んでくれるほどに大きくてもこもことしていて、暖かい。この上着を着ないままにテノスに滞在するのは難しいだろう。
全員がコートに身を包んだので、いざ聞き込みを始めようとした矢先、偶然住人たちの話が聞こえて来た。
アルベールが精鋭部隊を引き連れて町の外れにある遺跡へ向かったらしい、と。
行くなら兵士が配備されてない今だとは思うが、アルベールはリカルドを雇ってアンジュを自分の元へ連れて来るようにと行動していた人だ。もし鉢合わせでもしようものなら、大事になってしまうかもしれない。
油断はできないので慎重に動いた方が良いだろうが、一番見つかると危険なアンジュ自身がその遺跡へ行こうと言い出した。彼女は心配しないでと笑うけれど、やっぱり不安は拭えない。
「……極力、アルベールと遭遇しないように進む。それでいいな」
「ええ、構いません」
「ほな、はよ行こっ」
「わ、ま、待ってエルちゃん」
グイッと腕を引っ張られ、引き摺られるようにしてミルファは連れて行かれる。
町の外へ出ると辺り一面雪だらけで目印も何もないから迷ってしまいそうだと感じた。気を付けなければと思いながら、さくさくと雪を踏み鳴らして遺跡があるといわれている東へと進む。
「町の外はめっさ雪積もってんなぁ」
「うへー、上着あっても寒いな……」
「あ……これ、見てよ。かなりの人数の足跡がある」
「じゃあ、きっとあそこが遺跡ね」
みんなで顔を見合わせて頷き合い、さらに先へ進んで行くと、いかにも遺跡だという雰囲気の場所が見えてきた。石の造築物や並ぶ石柱はまるで門のよう。
各地を巡って来たが、信仰の集まるような場所はここで最後のはず。つまり記憶の場があるなら、創世力に関する重要なことはここで全て明らかになる――のかもしれない。
今度はどんなことを思い出すのかと考えて、大勢の足跡に自分の足跡を重ねながら遺跡へと足を進めた。