09.交わらないふたつの世界※


青峰先生から連絡が来たのはそれから2日後。青峰先生の家に行って散らかった部屋を掃除してご飯を作ってセックスして…私は家政婦兼セフレか、と自分で突っ込んだ。つら。少し前までは新婚みたいだのなんだのって浮かれていたのになんでだろう、最近黄瀬といるほうが楽しい。

そんな夏休みも終わり早数日が経った。私の鞄の中には黄瀬と一緒に買った青峰先生の誕生日プレゼントが入っている。誕生日当日の明日は土曜で休みだから今から渡しに行くのだけれど、なんだか気が進まない。他の女を好きで、私のことなんか都合のいい女としか見ていない男にのこのこプレゼント持ってく私って…。見返りを求めずただまっすぐ好きでいるなんて無理だったんだ。少なくとも私には。

「名前っち!」
「…あ、黄瀬」
「まだ教室いたんスか」
「あんたこそ、部活は?」
「いやぁ、名前っちちゃんとプレゼント渡せたかなーって気になって。明日っスよね、誕生日。あ、もしかして明日会って渡すとか?」
「ううん、特に約束してないから今から渡しに行くよ」
「そっか。早くしないと青峰っち帰っちゃうかもっスよ?あの人自由人だから」

太陽みたいな黄瀬の笑顔に心が穏やかになっていく。黄瀬の彼女になる人はきっと幸せだろうなぁ。てゆーか彼女いるのかな、そーゆー話あんまり聞かないけど。

「そーいえばさ、黄瀬って彼女いるの?」
「え!?なんスか急にー!」
「あんたモテるからさ、デート要員とかセックス要員はいそうだけど特定の彼女とかいるのかなーと思って」
「どんなイメージっスかそれ…。そんなんいないっスよ、今はバスケ上手くなるのに必死だし」
「そっか。私みたいな都合のいい女何人もはべらせてんのかと思ったよ、黄瀬かっこいいし優しいから」
「なに言ってんスか、コメントに困るんスけど…。まあでも、好きな子はいるっスよ。完全にオレの片思いだけど」
「え!そうなの!?黄瀬が片思いって…めちゃめちゃ美人とか?あ、この前スタジオで話してた女優さん?あーでもそれじゃあ両思いだしなぁ…芸能人?誰?」
「秘密っス。まあでもかわいいっスよ」

えーこんなに一緒にいるのに知らなかったなんてなんかショック。そういえば、最近はいつも私の話ばっか聞いてもらってたもんなぁ。黄瀬は上手くいってほしいな、私の分も。ああ、私も誰かにちゃんと愛されたい。

「そろそろ行ったほうがいいんじゃないっスか、オレも部活戻るし」
「うん、頑張ってね。また今度練習見にいくわ」
「青峰っち来るといいんスけどねぇ〜ほんと気まぐれだから…」
「違うよ、純粋に黄瀬の応援しに」
「え?」
「別にいいでしょ、じゃあね」

私だって青峰先生が全てじゃないんだから、たまには普通に友達の応援くらいするっての。まあそれくらい、ずっと青峰先生にハマってたんだろうなぁ。

黄瀬と別れ社会科準備室に行くと青峰先生が珍しく仕事をしていた。

「どうした?今日は呼んでねーけど」
「あ、あの。明日先生が誕生日って黄瀬に聞いて…これプレゼントです」

机に向けられていた視線がこちらに向く。ん…と伸びをすると椅子から立ち上がり私の方へ来てくれる青峰先生。

「そーいや明日誕生日か」
「そーいやって…自分の誕生日も忘れてたんですか?」
「この歳になると別に嬉しくもなんともねーからな」
「いやいや…まだ全然若いじゃないですか!」
「そーかあ?まだ16のお前に言われても嫌味にしか聞こえねーけどな」

はは、と笑うとプレゼントを受け取ってくれた。ソファに座ると容赦無くビリビリと包みを破られる。あああ…せっかく綺麗にラッピングしてもらったのにぃ…!

「ネクタイか」
「はい、学生のお小遣いで買ったものなんで全然大したものじゃないし、いらなかったら捨ててください。あ、でもせめて家でお願いします」
「はは、捨てねーよ。まあエロ本かAVのが良かったけどな」

最低だこの人。よくもセフレの前で、セックスしか取り柄がない女の前でそんなことを言えたもんだ。私は都合のいい女以下なのかと死にたくなった。

「ありがとな」

そう言って頭を撫でるとキスされた。こ、この!不意打ち王子め!!ずるいとわかっていても思わずキュンとしてしまう私は本当にどうしようもないバカ女だ。

「お前んちって親厳しい?」
「え?全然ですけど…」
「そっか、じゃあ今日オレんち泊まってけば」
「え?ええ!?いいんですか、私が先生の誕生日お祝いしちゃって!」
「明日休みだし、1人でいるよりいいだろ。DVDでも借りてゆっくりする?」
「は、はい!それ最高です!!」
「そーか?別にふつーだろ」

まさかの展開に浮き足立って家に帰ると準備しながら青峰先生の迎えを待った。慌しく準備を終えドキドキしながら待っていると先生から「ついた」とラインが来たので走って向かう。「じゃあ友達んとこ泊まり行ってくる」なんて親に嘘までついてしまった。私って悪い子だなあ、なんて内心浮れまくっている自分をどうにかしたい。冒頭で黄瀬といるほうが楽しいとは言ったものの全然青峰先生のこと大好きじゃん自分…と改めて痛感する。黄瀬、なんかゴメン。

車に乗り、某有名レンタルショップへ着くと「何がいいかわかんねーからお前テキトーに選んできて」とお金とカードを渡された。えええ、一緒にきゃっきゃしながら選びたかったのにぃ!なんか妄想と違う…と展開に少し不満を感じながら1人で寂しくお店に入る。まあ青峰先生らしいっちゃらしいけどさ。

家に着いてコンビニで買ってきたものを食べ終えると、青峰先生はシャワーを浴びに行った。隠すことなく堂々と置かれてあるAVを見て1人興奮する私。やっぱ巨乳ものばっかりだなぁ、わわわ、何これこんなすごい格好…わーきゃー!てなっていると「変態」と頭上から声がして取り上げられた。所有者であるあなたに変態呼ばわりされたくありません。

お前も早く入ってこいと言われシャワーをお借りする。先生が使ったばかりなだけあってまだ熱気が残ってていい匂いがして、ドキドキする。あながち変態説間違ってないかもしれない。

なかなか髪が乾ききらないので諦めてタオルを首にかけて出ると青峰先生が布団で眠っていた。

「先生、起きてくださいー!DVD観ましょうよー」

青峰先生の身体を揺すりながら嘆くと、半分寝ぼけながら「んー…じゃあDVDセットしろ」と言うので言われた通りにセットする。ええっと、私はどこで観ればいいんだ?布団の中入るのはちょっと緊張するし、かと言って1人で座って見るのも寂しい。

「来ねーの?」
「え!」
「ほら、来い」

布団を捲って来いと言う青峰先生に顔が熱くなる。カッコ良すぎかよおおお!とりあえず静まれ心臓…!

青峰先生の片腕が乗せられて後ろから抱き締められてる感じで観ることに。し、幸せ…!今観てる映画のヒロインより私今幸せ!!

「げ。恋愛ものかよ…」と言う青峰先生に、「だから一緒に選べば良かったのにぃ!」と反論すれば、「はいはいわかったから黙って見てろ」と頭を掴まれた。最初にやなこと言い出したの青峰先生じゃん!とプリプリするがやはり背中から感じる青峰先生の体温が嬉しくて黙って言う事を聞く。

しばらく観ていると主人公とヒロインがキスをし出して、しかも学園ものなのにちゅっちゅっとエロい音を出しながらやたら長いキスをするもんだから変に緊張してしまう。思わずゴクリと生唾を飲むと布団越しに置かれていた青峰先生の腕がごそごそと布団の中に入ってきて抱き寄せられる。

「何緊張してんだよ変態。いつもオレともっとエロいことしてるくせに…」
「な、ななっ何がですか…っ」

動揺しまくる私をよそに布団の中に入った腕は更に私のTシャツの中に侵入し、お腹を伝って胸にたどり着くとやわやわと揉みだす。

「映画飽きたなー…」
「せ、先生っ」
「シよ…」
「…や…だめっ…」
「えー…ダメなわけ?オレ今日誕生日なのにお預け食らわす気?」

低音イケボでそんなことを言いながらもちゃくちゃくと慣れた手つきでTシャツの中のブラを外すとスルリと抜き取った。

「名前」

関係を持ってから2人でいる時だけ青峰先生は私を下の名前で呼ぶ。その度に心臓がドキッと音を立てて、未だに慣れない。

身体を向かい合わされ、「プレゼント足りねーんだけど」と催促されても困ります…!近くにあった顔がもっと近づいて、身体がぴったりくっついて、そんな距離で「チューしてい?」なんて聞くのは反則だと思うのですが。青峰先生に誘惑されると、桃井先生とのこととか先生と私の今の関係のこととか悩んでることが全部どうでもよくなってしまう。

「い、いいですよ…?」
「はは、上からかよ。ま、じゃあ遠慮無く」

唇を重ねられた瞬間いつも思う、やっぱりこの人が好きだと。頭ではわかっているはずなのに私は好きと苦しいをいつまで繰り返すんだろう…と自己嫌悪に陥るけれど、この最高にときめく時間を自分から手放せる時なんて来るのかな…

リップ音をわざと立てていやらしいキスをしながら青峰先生の手はTシャツ越しにノーブラ状態の私の胸へ。むにむにと揉みながら舌を吸われ脚と脚が絡まってシーツが擦れる音が耳に残って…もう私の方も完全ヤル気スイッチONでござる!!!

Tシャツを捲って私の胸を露わにすると揉んだり舐めたり吸ったりを繰り返す。「あー…やべぇ…」とぼそりとこぼしたかと思えば起き上がって服を脱ぎパンイチになる青峰先生。私を抱き上げると対面座位スタイルに座らせまたTシャツを捲って胸を舐め始めた。青峰先生は興奮しているのか「ハァ…」とセクシーな吐息をこぼしながらしつこく私の胸を責めてきて、思わず腰が動くと青峰先生の硬いのが当たって私まで興奮してくる。

「おっぱい舐められて下も疼いてきた?」
「あっ…ちがっ」

そのまま押し倒されるとショーパンとパンツを膝まで脱がされて膝裏を持たされる。青峰先生やっぱり変態だ、こんなめちゃくちゃ恥ずかしい格好させるなんて…!

「ちゃんと自分で脚持っとけよ、いっぱい舐めて欲しかったらな」
「…あっ…はぁああっ…やぁあっ」

ヤバい、今私青峰先生にめちゃくちゃエロいことされてる。そう思うと余計に舐められてるところが熱くなって、青峰先生にジュッ…と音を立てて吸われる。青峰先生のこと言えないくらい私も変態だ、だって青峰先生の舌がすっごく気持ち良くてもっとして欲しいって思っちゃってる…

「気持ちいい?」
「…ゃぁっ…言えな…んあっ…」
「へぇ。じゃあもう舐めてやんない」
「えっ…?」

青峰先生は「イヤよイヤよも好きのうち」って言葉知らないんですか!!恥ずかしいけど…でももっとエッチなことして欲しい。

「ご、ごめんなさい…続きして欲しい、です…」
「じゃあ先にオレのこと気持ち良くして?」

恐る恐るパンツを脱がさせて頂くと青峰先生のムスコさんがかなりご立派に成長された姿で現れたもんだから直視していいのか戸惑う。

「早く」
「あ、あのっ…」

これってフェラってやつですよね?名前は存じておりますがそこはまだキセリョぱいせんに教わってないんです!!ディープキス以上にまったくどうしていいかわかんないんんですけれども…!

「初めてだから…わかんないです。先生、教えてください」
「…ったく。ここをこーやって持ってこう動かす。あーそう…いい…」

青峰先生のは握るとすごく熱くなってて、私でこうなってくれたんだと思うとドキドキした。いつもはされる側だけど、こうやって自分が先生を気持ち良くしてあげて先生の感じてるところを見られることがなんだか嬉しい。

「…先のほう舐めて」
「えっ……こ、こうですか?」
「んっ……ぁ…」

やばい、フェラハマりそう。もっともっと上手くなって青峰先生に気持ち良くなってもらいたい。そしたら青峰先生、私のこと一生手放したくなくなるかも!?よし、帰ったら黄瀬にAV借りて勉強しよう…!!

必死でご奉仕していると、顔を離され乱されまくった服を剥ぎ取られるとまた押し倒された。フェラで攻めるのもいいけどやっぱりこっちもイイ…!

おっぱいを舐めながら私のソコに指を当てるとゆっくり指を入れられる。

「はあっ…ん…」

グチュグチュと音を立てて中を混ぜられ声を我慢できなくなってくる。

「指、もう一本増やすぞ」
「ああっあぁあああっ」

指を激しく動かされおかしくなりそう。てかなんかやばい。

「せん、せ…!!ダメッ…」
「ハァ…あ?何が…」
「おかしくなりそ…あと、オシッコ出そう…トイレ行きた…」
「いいぜ?漏らしても」

ニヤリと笑うと逃がさないよう私を強く抱きしめて指を更に激しく動かす青峰先生。

「いやっああっもうっ…いやぁあああああっ!!」

ぎゅっと強く青峰先生に抱きついて叫ぶように声を出してしまう。だって我慢できないくらいすごいんだもん。

「ひどい、です…」
「あーあ、潮吹いちまったな」
「なんですか、それ…?」
「保体の授業は後な、とりあえずオレも限界だわ」

そう言うと青峰先生がググッ…と中に自身を挿れてきた。入り口から奥までを最初から激しく突き上げられてまた喘がされる。

「あっ…先生、激しっ…」
「好きだろ?コレも、オレのことも…」
「ああっ…好き…大好きっ」

青峰先生は満足気に微笑むとキスして舌を絡めてくる。ああ…気持ちいいしエロいし汗かいてる先生かっこいいしもう頭の中大好きしか出てこない…

「んっ…はぁ…気持ちいい?」
「…ん…気持ちい…」
「オレも…」
「あっ…青峰先生っ…」
「はぁ…イキそ…ナカに出していい?」
「えっ…」

青峰先生が耳元でそう呟く。色っぽいし嬉しいしすごいドキドキして…自分の中がきゅっと締まるのがわかる。

「いっいいよ…先生のっナカに出して…?」
「あー…もー無理っ…!」
「あっあっあぁあああああっ」

身体をぎゅっと抱きしめられて激しく突かれて私たちは果てた。青峰先生の精子は私のお腹にかけられていた。中出し、しなかったんだ。


「お前男に簡単に中出ししていいとか言うもんじゃねーぞ?子供できたら困んだろ」
「…聞いてきたのは先生じゃないですか」
「そーだっけ。まぁいいやなんでも。寝よーぜ」
「………」

こんな最低最悪なピロートークあります?天国から地獄へ叩きつけられた感すごいんですけど。確かに私はまだ高校生だし後先考えずに好きって気持ちだけでああやって答えちゃったのはやっぱ子供だなって思うけどさ。でも私は本気で青峰先生との子供欲しいし結婚したいって思ったんだよ?私の気持ち知っててひどいよ、デリカシー無いにもほどがある。…待てよ、もしかしてだからこそ私がこれ以上本気にならないように釘刺してきたってこと?だったら最初から生徒に手なんか出さなきゃいいのに…あーやば、青峰先生といるのに涙出るとか最悪だ。早くも爆睡中の青峰先生に気づかれないように布団を出るとシャワーを浴びた。身体が温まって行くのに反比例して心がどんどん冷え切って行く。割り切るかやめるか、ちゃんと決めなきゃ。とりあえずシャワーを浴びたら家に帰ろう。今日はどうしても、あの人の隣で眠りたくない。