10.君を想う


なんとか終電に間に合い電車に乗っているとうちの学校の制服を着た男子生徒達がガヤガヤと談笑しながら乗ってくる。わー最悪…とりあえず存在感消しとこ、多分知らない人だけど。スッピン泣き顔部屋着という何とも最悪なコンディションの時に限ってうっかり知り合いに会ったりするんだよなー不思議なことに。なんて思っていると「名前っち?」とめちゃくちゃ聞き覚えのある愛称で呼ばれる。見上げるとやはり黄瀬がいて、いつの間にこんな至近距離にいたんだと驚く。こんなデカくて目立つやつが近くにいて気づかないなんて私のメンタルはやはり相当やられているらしい。

「あはは、なんスかその格好ーウケる」
「うっさい死ねチャラ男どっか行け」
「名前っちっぽいのがいたからわざわざ友達と別れて満員の人混み掻き分けて来たのにひどくないっスかー!」
「えー…つか怖っ。どんだけ私のこと好きなんだよ」
「あはは、てかどうしたんスか?青峰っちとなんかあった?」
「まあ、ちょっとね…」
「オレにも言えないこと?」

人を小馬鹿にして笑っていたかと思えば心配そうに覗き込んでくる黄瀬。え、かっこよ…じゃなくて!黄瀬に話聞いてもらいたいけど「大好き!ナカに出して!ヘイカモン!」て言って結局出されず終いにはあんなこと言われたとか恥ずかしくて言えない。穴があったら入ってもう一生出てきたくない。ああ…思い出したらまた病んできた。

「うん…」

なんて言おうか考えていると次の駅に着いてまた更に人がぎゅうぎゅう押し寄せてくる。金曜の終電ほんと嫌い…人が乗ってきたほうと反対側の扉に寄りかかっていた私を黄瀬が守るように立ってくれたおかげで私はすごく助かってるけど、黄瀬大丈夫かな。

「今日やばいっスね…名前っち大丈夫?」
「おかげさまで、私は全然…黄瀬こそ大丈夫?イケメンだから痴漢とか…」
「ないっスよ!!それに、もう次の駅なんで全然余裕っス」
「そっか。なら、いいんだけど」

てか…ドアに腕ついて立ってる黄瀬に壁ドン感を感じてドキドキしてしまっているのですが。だって壁ドンどころかほぼ抱き締められてると言っても過言ではないくらいの超至近距離にみんな大好き黄瀬涼太の胸板があるんだよ…!?プールで勃起した黄瀬に怒った時あったけどごめんなさい、友達なのに私も今ちょっと興奮してます。長身なだけに私の頭の上に腕ついてんのが様になりすぎてる。

電車が走っている間、頭上の黄瀬は何やら考え事でもしているのか物思いにふけた感じでドアの外を見ていた。

黄瀬の最寄り駅に着き、バイバイする気でいるとなぜか黄瀬が私の荷物を奪い手を引いて降りたので自分の最寄りではなく黄瀬の最寄りのホームに立っているなう。

「あ、あの…黄瀬さん?終電行っちゃったんすけどどうゆうおつもり?」
「こんな遅くにそんな無防備な格好で歩いてたら危ないっス。明日休みだし、今日はオレんち泊まってってもらうっス」
「別に襲われたりしないって。心配性だなぁ」
「もっと女の子って自覚持って欲しいっスまったく…」

お前はお父さんか。と内心突っ込みながらも心配してくれるのは素直にちょっと嬉しい。黄瀬はエナメルバッグからチームジャージを取り出すと私に羽織らせてくれた。

「ありがとう、ブカブカだけど」
「あはは!ほんとブカブカっスねぇ、でもなんか可愛い」
「黄瀬のだからそりゃおっきいよね。私ね、彼氏ができたらこーやってジャージとか服借りて着るの憧れなんだぁ。ま、今回は彼氏じゃないんだけど」
「へぇ、名前っちもそーゆー女の子っぽい発想あるんスね。黄瀬涼太のジャージ借りたとか全然自慢してくれていいっスよ!」
「あはは、うぜー」

黄瀬のウザさに笑っていると黄瀬が写メを撮り出した。ちょ、ジャージどうこうじゃなくてスッピンだからやめて!?とりあえずスマホを奪って強制消去。黄瀬がぶーぶーうるさいので後ろ姿だけ撮らせてあげた。ピース付きだ、感謝しろ。てか黄瀬いつから私のファンになった?

「ねぇ、今更だけどこんな時間にお邪魔しちゃっていいの?家の人に怒られない?」
「心配ご無用っス。玄関入る時だけ静かに入ってくれれば」
「御意」

黄瀬の部屋に入ると、「オレシャワー浴びてすぐ戻ってくるから楽にしてて」と言われ早速1人になる。よぉし、黄瀬のエロ本あーんどAV探しでもしますかね、ぐへへ…と部屋を探索するも一向に出て来る気配なし。青峰先生と違って抜かりないな…つまらん男よ。まあそんなもんなくても黄瀬は実戦しまくれるだろうしなあ、ははは。…あーだめだ、1人になると嫌なこと思い出してしまう。いかんいかん。

「名前っちお待たせー」
「いいえー」
「で?青峰っちと何があったんスか」
「いや、だからそれは…」
「話したらきっと少しは楽になるっスよ。もし名前っちが悪かったとしても、オレは名前っちの味方だから安心して」

黄瀬ってほんと優しいな。こんなかっこよくて優しくて更に聞き上手だなんて、そりゃみんな惚れるわ。青峰先生にも黄瀬の爪の垢煎じて飲ませてやりたいね!ほんと青峰先生って勝手。いきなりキスしてきたり特別扱いしてきたり、かと思えば実は幼なじみが好きでなのに私にも優しくしてきたり気持たすようなことしてきて…こんなに大好きにさせといて冷たく突き放すんだよ、ひどくない?

「黄瀬…私もう無理かも…」

さっきまでいつもみたいに楽しくやってたのにいざ話そうとすると涙がぼたぼた溢れ落ちて止まんなかった。泣いて鼻水垂らして多分史上最強にブスな私の話を黄瀬は真面目な顔して最後まで聞いてくれた。

「なんだ、名前っち全然悪くないじゃないっスか」
「でも…なんてゆーか愚かだよね。今考えてみれば、先生の言うことも、一理あるし」
「でもその一言余計じゃないっスか?名前っちの気持ち知ってるくせに」
「まあ…そうなんだけど。ねぇ、黄瀬はどうしたらいいと思う?」
「んー…決めるのは名前っちっスけど、オレは青峰っちはオススメしないっスね。このまま今日のこと無かったことにしたらまた青峰っちと一緒にいれるけど…でもそしたら絶対また傷つく日が来るっスよ」
「うん…そうだよね…」
「正直名前っちが傷ついた顔見るのつらいんス。できれば名前っちには笑ってて欲しい。あ、でも作り笑顔とかは嫌っスよ?いつもハッピーでいて欲しいって意味で」
「へへ…うん、わかってるよ。ありがとね」
「…とりあえず今日は遅いしもう寝よっか」
「うん」

1人で帰らなくて良かった。黄瀬の言う通り、話聞いてもらったら少し楽になれた気がする。

「…名前っち」
「ん?えっ、ちょ、黄瀬!?」

電気を消して何のためらいもなく一緒にベッドに入ったはいいけど、黄瀬が抱き締めてきたので当然私は驚いた。えっ何!?私襲われるの!?

「今日はこーやって寝よ。疲れたと思うし、考えるのは明日にして今は何も考えずに休もう」

な、なんだ黄瀬なりの優しさか。勘違いして申し訳ない…。私の中の男のイメージって青峰先生が基準になっちゃってるからすぐそっちのほうに捉えちゃうな、お恥ずかしい。黄瀬の腕に包まれて、黄瀬の優しい声に癒されて、少しドキドキはするもののなんだかすごく心地いい。こんな優しいハグもあるんだなぁ。

「うん、泣きすぎて目疲れちゃった。黄瀬、いい匂いする…」
「ちょ、嗅ぐのやめて!?」
「いいじゃん、私黄瀬の匂い大好き。すっごい落ち着く…おやすみ…」
「自由すぎ…」

泣き疲れた私は黄瀬の温かい腕に抱き締められてすぐに眠ってしまった。黄瀬癒し効果もあるとかいよいよ最強だなーとかくだらないことを考えながら。そのせいか、黄瀬に「名前っち」と名前を呼ばれてキスまでされる夢を見てしまった。青峰先生を想いながら他の男と一緒に眠りそいつとキスする夢まで見るなんて、私もなかなかサイテーな野郎だなと思った。まあでも夢は見たくて見たわけじゃないし、仕方ないよね。



翌朝目が覚めると未だ抱き締められたまま、すぐ近くには黄瀬の綺麗な寝顔があった。夢のせいかなんだか意識してしまってドキドキする。当たってる太腿にさえ変に意識するし、慣れてないってほんと困る。

それにしても黄瀬って肌綺麗だよね…まつ毛長いし。あ、目の下にクマができてる…

黄瀬って学校と部活とモデルの仕事掛け持ちしてんだよね。きっとめちゃくちゃ疲れてるはず…それなのに私ってば自分のことしか考えてなくて最低じゃん。もう何かあったらすぐ黄瀬に頼るのはやめなきゃな。いつまでも甘えてばっかじゃダメだよね。

「ごめんね、黄瀬…」

クマを指で撫でると「んん…」と黄瀬が起きそうになったので慌てて離した。わわわ静まれ心臓!変に意識すんなバーロー!

「ん…おはよ…名前っち」
「お、おはよう」

寝起きのガラガラ声萌えー…ておいこら。私はイケメンなら誰でもいいのか、と最近黄瀬にもいちいちときめく自分に呆れる。

「昨日は名前っちすぐ寝ちゃったっスよね。寝顔なかなか可愛かったっス」
「ばっばか!最悪!何見てんの!」
「えー今更?いつも授業中オレのほうに顔向けてよく寝てるじゃないっスか」
「それとこれとはまた違うの!」
「ふーん」
「何にやにやしてんのよ、むかつく」

頬っぺたの肉をぎゅっとつまむと「いひゃいっふー」とか言いながら私の身体をくすぐって反撃してきたのでそのまま戯れるとベッドが軋んだ。どうか黄瀬家の皆さんに誤解されませんように。

「あ、そーいえば昨日名前っちのスマホに青峰っちから鬼電来てたっスよ。名前っち起こすの可哀想だと思って出ちゃったんスけど」
「えっ…」
「オレが2人のこと知ってるって知られちゃったんスけど…やっぱまずかった?」
「…ううん、いいよ別に。ありがとね」

もう青峰先生とどうこうなれるなんて期待は抱かない。もともと教師と生徒だし、青峰先生は桃井先生が好きなんだし、いつも見つめてただけの人と少しの間でも楽しめたんだからむしろ有難いと思わなきゃ。甘い蜜を吸いすぎてきっと欲張りになってたんだ私。


「オレはいつでも名前っちの側にいるから。何かあったらすぐ頼って欲しい」

ぎゅっと抱き締められて黄瀬にそう言われ、嬉しい反面何度も電話をかけてきた青峰先生の姿が脳裏に浮かんで消えなくて複雑な気持ちになった。頭で自分にどう言い聞かせても、またどこかで期待して嬉しいと心が思ってしまう。こんなバカで愚かな自分は大嫌いなのに、完全にあの人を嫌いになれない弱さが自分を変えられずにいる。こんなんじゃ、きっとその内黄瀬に愛想を尽かされてしまう。

そんなことを思いながらもずるい私は黄瀬の腕を解けずにいる。するとドタドタと足音が近づいてきて勢い良くドアが開いた。

「涼太っ!!!!!」

声を荒げて黄瀬の名前を叫ぶ女の人はこの間スタジオで見たどの芸能人よりも美しく一瞬で「これが黄瀬の想い人か!」と察知した。まあ女の勘てやつさ。

服着てるし実際私と黄瀬の間には何もないのだけれどもなにせベッドの中で早朝から抱き合っている年頃の男女を見たら誰もが勘違いするであろう。私はとりあえず即刻ベッドから飛び降りて事情を説明した。

「あ、あのですね!私はこいつの友達でして決してそーゆー関係ではなくてですね!昨日は私を慰めるために優しくしてもらっただけで…と言うとまた誤解が生じるかもしれませんがとりあえず2人の邪魔をする気は一切ございませんのでどうかお気になさらず!!」
「「………ぶはっ!!」」

人がせっかく2人の仲を取り持ってやろうと必死に弁解してやっているというのに2人して爆笑してやがる。え?どーゆー状況?

「名前っち、それ、オレの姉ちゃん」
「うええええええ!?美人すぎない!?えっ女優かなにかですか!?」
「あはは、ありがとう。でも私普通の会社員よ。面白い子ね、涼太がまた私の化粧水勝手に使ったと思って怒鳴りに来たのにどうでも良くなっちゃった」
「あ、お褒めに預かり光栄です…」

女の勘ふつーに外れちゃったよおい。女子力の低いやつには女の勘なんてもの備わってないってことなのだろうか。

「涼太、あんたどうせまた部活か撮影でしょ?この子私が預かるから」
「はあ?ちょ、ふざけんなっ」
「いいじゃない、帰りはちゃんと車で送ってくから安心して?じゃ、あんたもさっさと支度しなさいよ」

お姉様のペースに為すがままの私はお姉様のお部屋へ強制連行。わーやっぱお姉様のお部屋なだけあってめっちゃシャレオツやー!そして黄瀬とはまた違った女子のいい香り…!もうお顔とお部屋と匂いで女子力の高さが伺えます。きっとさぞお強い女の勘をお持ちであろう、私のようなちんちくりんと違って。

「名前ちゃんだっけ。ごめんね強引に」
「いえ、全然大丈夫です」
「よかった。ところで本当に涼太とはただの友達?」
「え?そうですけど」
「そう。あいつが女の子家に連れてくるって珍しいからてっきり彼女なのかと思っちゃった。まああんなナルシスト嫌よね!ごめんね?」
「あはは、確かにナルシストですね!でも見た目以外にもいいところがたくさんあって、すごく人気者なんですよ」
「ふーん。名前ちゃんは好きな人とかいる?」
「いたんですけど、色々あって、よくわかんなくなっちゃって…」
「えーなんでなんで?どーゆー人?」

なんかお姉さんには隠し通せない気がして、青峰先生とのことを全部話した。学校の友達と違ってあまり関わらない人だからか気兼ねすることもなかった。あとはお姉さんが「きゃーそれやばい!」とか「あーうん、わかるよ…」とか絶妙な相槌やリアクションをしてくれるもんだから話していて気持ちが良くてむしろ前のめりになって語ってしまった。黄瀬家の人々ってなんか色々スゴイ。

「会ったことないけど、その青峰先生いいね!なんかすごい楽しませてくれそう!」
「そうなんですよお!自己中糞野郎なんですけど強引さと優しさのさじ加減が絶妙でずっと片思いしてた私なんてもう虜中の虜なわけですよ!」
「しかもそーゆー男ってタイミングまで良かったりするのよねえ…ほんとズルいわ」
「わかりますーっ!!」

それからしばらくガールズトークに花が咲き続けた。黄瀬と話している時も楽しいけど、女同士で恋バナしたことなかったからなんかすごい共感し合えてめっちゃテンション上がる。

「名前ちゃんが夢中になる気持ちすっごいわかるよ。でもね、その人との恋愛は大変だと思うの。人によって考え方とか恋愛の仕方は違うからあくまでも私の意見なんだけどね、私も昔は追いかける恋愛が好きだったのよ。でもその時は彼の一挙一動にいちいち左右されていつもイライラしたり不安で仕方なかった。それに比べて今の彼は容姿も財力もそこそこだけどとにかく優しくて真面目で、一緒にいるとすっごい安心できるの。心が常に穏やかで、今が一番幸せ」

確かに、今の私っていつも不安でイライラしてて、正直疲れる。それに比べて彼氏さんのことを話すお姉さんはすごく幸せそうで綺麗な笑顔を浮かべていた。

「女は愛されたほうが幸せよ。名前ちゃんにも自分を大事にしてくれる人と付き合ってほしいな」
「なんか、お姉さんが言うとすごい説得力あります。私もそーゆー人に出会えたらいいんですけど、お姉さんと違って私じゃなかなか…」
「涼太は?自意識過剰なところ以外はかなりの優良物件だと思うけど」
「黄瀬は、大事な友達ですけどでも…。それに青峰先生以上に人気のある黄瀬と私じゃ釣り合わないですよ」
「そんなの関係ないわよ。だって美男美女カップルなんてそうそういないし、イケメンの隣にいる女って案外パッとしないの多いじゃない。ま、私が男を顔で選んでた時はよく美男美女って騒がれたけどね」

ふふんと鼻高々に得意げな顔のドヤ姉さん。フォローしてんのかディスってんのかよくわかんないとことかその上本人悪気ないとことかやっぱ黄瀬と似てる。DNAってすげえ。そんでもって言ってることが自惚れじゃなく事実なんだから嫌んなっちゃうよね…ああ凡人つらい。

「お姉さん、今遠回しに私のことディスりました…?」
「あーごめんごめん!そーゆー意味で言ったんじゃないんだけどね!ほら、それに名前ちゃん自身涼太のこと完全に無しってわけじゃないんでしょう?」
「……はい。正直、最近黄瀬にときめいてしまう時があって、でも私は青峰先生のことが好きなのにってよくわかんなくて」
「涼太は名前ちゃんのこと好きだと思うわよ」
「…うええ!?いいいやいやいや!何言ってんですかそれに黄瀬には好きな子がいるって…」
「それが名前ちゃんってことじゃないの?」
「う、あ、え…いや、ないですよ…」
「あら、私の勘は結構当たるのよ?あと、涼太は誰にでもあんな風に優しいわけじゃないから。うちに連れてきたのだって、傷ついた名前ちゃん1人にしたくなかったのよ」
「…はい」

別に黄瀬が私を好きだと決まったわけではないのになんか身体中が熱くて心臓がドキドキして苦しい。でも仮にそうだったとしても、青峰先生がダメだから黄瀬に…なんてできないよ。調子良すぎ。まあ大丈夫か、そんなことあるわけないし。

その後は姉のターンと言わんばかりにお姉さんの恋バナを永遠聞かされ家に帰ったのは夕方だった。姉弟共にほんとよく喋るなあと思い出してはクスリと笑みが溢れた。玄関で靴を脱いでいると着信が鳴り、見るとディスプレイには「青峰先生」の文字。一瞬戸惑ったが出ることにした。

「今どこ?」
「家ですけど…」
「ふーん。じゃ今から行くわ」
「え!?いや、ちょっと待っ…」

有無を言わさず一方的に切られた電話。ほんと自己中糞野郎だ。私にも多少の落ち度があれどひどいのは青峰先生だと思うのですが。なんで私が怯えなきゃいけないの。怒られたらどうしようとかもし関係を切られたらとか…びびってる自分すごいダサいのはわかってる。でも青峰先生の口から関係を断つこと言われたらと思うと本当に怖い。いつかは終わる関係だとしてもそれが昨日の今日だなんて、心の準備が出来てない。だからといってきっと時間が経ったところで私の口からはとても言えないだろうし、向こうから切ってくれるならむしろ好都合なのかな。すっごくつらいと思うけど、諦めるしかないくらいまで傷つけられたら嫌いになれるかもしれない。

そう頭に無理矢理インプットしたのに、なんで私シャワー浴びて軽く化粧なんてしちゃってんだろ。あーもう…私も大概意思弱糞野郎だわ。