03.待望の初デート


ついにきた、この日が…!

今日は待ちに待った松田さんとの初デート。まじで緊張しすぎてここ数日気が気じゃなかった。
メイク良し、髪型良し、この間買った服もいい感じ。そわそわしながら自宅待機していると松田さんからラインがきて、それだけで心臓が口から出そうになった。

「着いた」

うわあ…本当に来た…!高まる気持ちをどうにか抑えて家を出ると松田さんの車が見えた。

「よぉ」
「う、うす」
「はは、なんだよそれ。せっかく可愛い格好してきたのに台無しだな」
「か、かわいい…!そんなにかわいい?」
「ばーか。馬子にも衣装ってやつだ」

今日も松田さんの口の悪さは通常運転だ。このノリにつられて自分も口が悪くならないように気をつけようと心に誓った。こういう男ほど清楚な女が好きだったりするからな、うん。

「そういえば今日どこ行くの?」
「ん?ああ、着いてからのお楽しみ」

焦らし攻撃か、受けてたとう。でも、一体どこに連れて行かれるのかやはり気になる。定番だと映画館とか水族館あたりかな…松田さんってイケメンだけどデートのイメージ全然わかないから行き先が全く読めない。気になりすぎるから新一にラインで現在地教えて推理してもらいたい、という気持ちをぐっと堪えた。

途中コンビニに寄るとまた「好きなもん買え」と言ってくれる。緊張でお腹は空いていないし、とりあえず飲み物だけ買ってもらうことにした。

車に戻ると煙草に火をつけて再び車を走らせる松田さん。さっきから時間を気にしているみたいだけど、何か関係があるのだろうか。

「飲みもん取って」

そう言われて付属のストローをさしてコーヒーを渡せば「意外と気利くな」と一瞬私を見てにやりとする。死ぬほどかっこいいいいいい褒められたの嬉しいいいいいいい!!!と心の中で小さな自分が駆けずり回った。今日のこのデート、誰かに録画しといてもらいたい…!

運転する松田さんの横顔だけで白飯無限に食えるな、とか清楚とかけ離れたことを思いながら助手席で高まっていると車はとある建物の駐車場に到着した。

「よし、いい時間だな」

やはり時間が決められている何からしい。なんかのイベントホールっぽいし、誰かのライブとか?それにしても駐車場にとめてある車から降りてくる人の柄が悪めなのは気のせいだろうか。え、大丈夫かな…。

不安と疑いの眼差しを松田さんに向けると、「何びびってんだ、行くぞ」と手首を掴まれた。

松田さんのボディタッチに沸きながらも会場に入るとそこはボクシングの大会会場だった。え、ごめんまじで意味わからん。なんでここに私連れてきた?

ポカンと口を開けていれば松田さんは「なんだそのアホみてぇなツラ」と笑う。いや、サプライズで訳わかんないとこ連れてきといてお前こそ何言ってんだ。と口には出せないが内心突っ込まざるを得ない。

松田さんに連れられるまま指定席に座りとりあえずリングを眺める。私格闘技とか全然無知なんですけれども。

「格闘技とか観る?」
「全然まったく」
「ま、そりゃそうか。ってあからさまに期待外れって反応してんじゃねーよ」
「………」

だって、せっかくの初デートだと思ってずっと楽しみにしてたのに…なんだか空回りした気持ちになる。オシャレしてきた意味ないじゃん。いい雰囲気になる気がしない。こちとら緊張で連日無駄にお腹を壊しまくっていたというのに。というかそもそも、松田さんからしたら別にデートじゃなかったんだろうなと思い勝手にへこむ。

「知り合いが行けなくなったからってチケットくれたんだよ。意外と面白いぜ?」

まあ、確かに普段味わうことの出来ない空間だとは思うけれども。…松田さんの趣味を知れただけでも良しとするか。

いつまでも不貞腐れていてもしょうがないので、せっかくだし楽しむことにした。

選手が入場すると会場の熱気が一気に高まりちょっと恐怖さえ感じる。そして試合が始まるとまた歓声が上がり、殴り合っているのを息を呑んで見守った。

「うっわ、今の痛そう…!あんな顔殴られて骨とか歯って折れないのかな?折れたら慰謝料って請求出来る?」

素人なりにも試合にのめり込み思ったことをそのまま口にしていると「うるせぇ!」と怒られた。ここでも一試合始まりそうなんだが、どこかにグローブは余っていないだろうか。

殴り合いの喧嘩する人とか格闘技やってる人ってなんであんな痛い思いしてまでそんなことするんだろうって謎でしかないんだけど、試合が終わって選手が家族とハグして泣いてるのとか見てたら気付けば私の目からも涙がこぼれていた。

「お前なんもわかってねーくせになに泣いてんだよ」
「だっで…みんな色々背負って戦ってたんだなって…思っで…」
「感情移入しすぎだ、あほ」

松田さんは呆れて引いていたが、頭をポンポンしてくれた。

「…落ち着いたか?」

ずびーっと鼻をかみながら頷くと、人気の少なくなった会場でリングを見つめながら松田さんは語りだした。

「親父が元プロボクサーでさ、俺も憧れてボクシングやってたんだよ」
「すごい!松田さんもやってたんだ…!」

それは絶対にかっこいい。習っていたのはいくつくらいの時なんだろう。チビ松田がボクシングやってても超絶可愛いだろうし、学生松田がボクシング部に所属していたら絶対マネージャーになる。イケメンな上に強いって最強かよ…!

「おー。だからなんかこういうとこ来ると思い出すっつーかさ」

多くは語らないが、松田さんは穏やかな目でリングを見つめていた。きっとお父さんやボクシングに大切な思い出があるのだろう。偶然だろうけど、そんな場所に連れてきてもらえたのがなんだか嬉しくなった。

「私もやりたいな、ボクシング」
「お、やるか?まあお前みてーな根性なしはすぐ根をあげんのがオチだろうけどよ」
「根性なしって決めつけないでよ」
「部活もバイトもしねえで喫茶店でオレンジジュースばっか飲んでるやつに根性なんかねーだろ」
「うるさいなぁ…!」

松田さんの腹に一発決めてやろうと拳を振りかざすもさすが現役警官、反射神経の良さで軽く手でパンチを受け止められてしまう。くそぅ。

「…さすがボクシングやってただけのことはあるわ」
「はっ、お前のしょべえパンチなら誰でも躱せちまうけどな。おら、遊んでねぇで行くぞ」

相変わらず意地悪な松田さんと喧嘩しながら駐車場まで歩いているとパトカーがとまっていた。「何があったか見てくっから先車乗ってろ」と言われ、受け取った鍵でロックを外すと松田さんの車に乗った。

待っている間暇なのでさっき試合していたボクサーのSNSをチェックしていると、しばらくして松田さんが帰ってくる。

「わり、待たせたな。知り合いに捕まってちょっと遅くなったわ。当て逃げだってよ」
「あらら、可哀想に」
「ま、俺の車じゃなくてよかったわ」

そう言ってのんきに笑う松田さんに「なんてやつだ」と軽蔑の眼差しを向けていると、にやにやしながら松田さん側の窓ガラスをコンコン叩く女性警官。さっき言ってた知り合いってこの人…?まさかの女だったとは…!

松田さんは「げ。」と嫌そうに言葉を漏らしながら渋々窓を開けると「なんだよ…」とだるそうにその人に言った。

「いいもん見ちゃった」と楽しそうに揶揄う女性警官に「宮本、てめぇ誰かに言いふらしやがったらタダじゃ済まねえぞ」と睨みつける松田さん。女性警官の名前は宮本さんというらしい。彼女ではなさそうだが、仲は良さげだ。いいなぁ、松田さんと同じ職場。どんな関係性であろうが毎日松田さんに会えるのは羨ましいでしかない。

「松田くんがギャル好きとはねぇ、意外と年下好きだったか」

私ってギャルなのか?結構頑張って大人清楚意識したつもりなのだが。

「はじめまして、松田くんの同僚の宮本由美よ。よかったら彼女さんの名前も教えて…」
「うるせぇな、そんなんじゃねーって。つーか邪魔なんだよ、お前仕事中なんだからさっさと戻りやがれ!」

そう言ってシッシッと宮本、もとい由美さんとやらを邪険に扱うと強制的に窓を閉め車を走らせた。

「ったくあの女、人のことつけてきやがって…」
「いいの?あんなきつく言っちゃって」
「いいんだよ、いつもこんな感じだから。警官になる女なんざ気の強えーのばっかだしな」
「ふーん…」
「あ?なんだよ」
「私も警官目指そっかな」
「はっ、やめとけやめとけ。お前にゃ向いてねーよ」
「だから決めつけ良くない!」
「はいはい。あ、そういや仕事で思い出したわ。ちょっと欲しいもんあるから付き合えよ」

そう言って連れてこられたのはこの間新一と行ったのとは別のショッピングモール。松田さんは一体何を買いに来たんだろう。もはや金魚のフン状態の私はとりあえず松田様の仰せのままについていった。

服か雑貨辺りを想像していた私の予想は外れ、着いた先は工具を豊富に取り扱っているお店だった。

「ここ?」
「そーそ」

付き添いといえどはっきり言ってまったく興味のない部類なのだが、松田さんの目は見たこともないほど輝きに満ちていた。オモチャを目の前にした子供というか、財宝の山を見つけた海賊というか…こんな鉄の塊がそんなに好きなのか?松田さんもなかなか変わっている。

「ここ品揃えいいって聞いて来てみたかったんだよ」
「ほえ〜」
「お前その興味のなさ少しは隠せよ」
「だって死ぬほど興味ないもん」
「ま、わかりやすくていいけどよ。いい子にしてたらなんか美味いもんでも食わしてやっから、ちょっと付き合え」
「はーい」

正直まじで何がいいのかも何に使うのかもよくわかんないんだけど、松田さんの少年のようにはしゃぐ姿がすごくかわいいから全然見ていられた。いつもサングラスに煙草咥えてワイルドな雰囲気全開なのに、こんな風にはしゃぐ瞬間もあるんだなぁって。1ミリも興味なかったものが、好きな人の好きなことなら知りたくなるから不思議だ。しゃがみこんで部品を吟味する松田さんの隣にしゃがんで私も近くにある工具を手に取ってみたりする。結構カラバリも豊富なんだなぁ。

「あ、それも新しいの買おうと思ってたんだわ。お前どれがいいと思う?」
「ピンク」
「ふざけんな、俺がピンクの工具なんか使えるか。黒だな」
「じゃあ聞くなよ」
「あ?」

そこからまた小競り合いが始まるも、松田さんはお目当てのものをゲット出来たからかすぐに機嫌を取り戻していた。この時ばかりは私も工具達に感謝である。

モール内にあるレストランに入り、食べたいものを決めると松田さんが私の分もまとめて店員さんに注文してくれた。別に普通のことかもしれないけど、松田さんだからかこういうことさえもかっこいい。店決めもスマートだったし、たぶんどこでも良かっただけなんだろうけれども…好き。

「あんなにいっぱい工具とか部品買って、仕事で使ったりするの?」
「今はほとんど趣味みてーなもんだけどな。ガキの頃から分解とかすんのが好きなんだよ、前は爆処…爆弾とか専門の部署にいたし」
「えぇ、すごい…!意外と器用なんだ?」
「フン、まぁな」

得意なことを褒められて口角を上げる松田、かわいいかよ…!!こんなかわいい顔を見られるのならいくらでも褒めちぎりたい。…そう思ったのも束の間。

「お前は見るからに不器用そうだよな」

そう鼻で笑われ、「松田さんはいっつも一言余計なの!」とまたぷりぷりしてしまった。清楚系女子への道はなかなか厳しそうだ。

食事も終えてモール内をぶらぶら歩いていると私の目を引くものを発見した。あ、あれは…!!!

「松田さん、あのお店見たい」
「ん?」

松田さんの腕を引っ張ってお店のほうへ向かうとお店を見た松田さんは心底嫌そうな顔をした。

「お前1人で行ってこいよ、俺はその辺見てっから」
「いいじゃん、さっき松田さんの趣味に付き合ってあげたでしょ」
「…つってもよ、いい歳した男が入んのはきちーって」
「ピチピチの私と一緒だから大丈夫!はい、れっつごー!」

ため息をつき観念したかのような松田さんを連れてきたお店はここ、ちびかわショップ!!!

「これ今人気なんだよ、ちびかわ」
「ちびかわ?なんだそれ…」
「なんかちびでかわいいやつだよ」
「は?意味わかんねぇ」
「あ!みてみて!これちびかわ達が警官の格好してる!かわいい〜!!!」
「お前、さっきの工具店とテンション変わりすぎだろ」
「いや、それを言うならあんたもでしょ」
「あ?誰があんただこら。お、この白くて丸いやつ泣いてんじゃん。さっきのお前そっくり」

そう言って馬鹿にして笑う松田さんにイラッとしながらも、好きだから心のどこかでこういうのも悪くないと思ってしまっているのが悔しい。

「うるさい。松田さんはこのうさぎのやつね、キャラが似てるから」
「は?俺のどこがこいつに似てんだよ」
「うさぎもよく「ハァ?」って言うし、破天荒だし」
「なるほどな。そんでこのちびすけをよくいじめてるわけか」
「まあ、そんな感じ。…ってかほんとに松田さんがうさぎに見えてきた」

今度は私が1人でケタケタ笑っていると松田さんが眉間に皺を寄せて片手で私の顔をむぎゅっと掴んでくる。ちょ、ブスになるしメイクがよれるからやめて…!

「大人を揶揄うんじゃねぇ。帰んぞ」
「えー、ちょっとこの2つ買ってくるから待ってて!」
「買うのかよ…」
「うん!せっかく警官ちびかわ見つけたし、今日の記念にしたいもん」

へへっと笑ってレジに向かいお会計をしようとすると、バッグから出した私のお財布を制して松田さんが2つとも買ってくれた。ああ、好き…大好き。

「いいの…?」
「まあ、色々付き合わせちまったしな」
「やったぁ!ありがと、松田さん!」

松田さんと一緒にいられただけでも幸せなのに、欲しいものまで買ってもらえるなんて嬉しすぎる…!絶対絶対大事にしようっと。

車に乗るやいなや早速警官ちびかわのマスコットを袋から取り出すと、運転席のほうへ身を乗り出す。

「お、おい…!お前何やって…」

突然の私の行動に動揺する松田さん。ふっ…お可愛いこと。

「はい、これ。警官うさぎは松田さんのね」

一度さした車のキーを手に取りマスコットのチェーンをくっつけて渡すと、松田さんはまた嫌そうな顔をした。

「こんなもん付けて持ち歩けるかよ」
「無くさないし、かわいいし、似てるからいいじゃん」
「良くねぇ!」
「せっかく松田さんが買ってくれたから両方セットで持っていたかったけど、お揃いもかわいいかなって」

そう言ってえへへと笑うと、「帰ったら外すからな」と言って松田さんはそのままキーをさしてエンジンをかけた。

なんだかんだで今日はすごく楽しい1日だった。またこんな風に一緒に出掛けたりできるのかな。松田さんはこう見えても忙しい身だろうし、職場でも絶対モテるだろうからなぁ。このまま時間が止まって、今日がずっと終わらなければいいのに。

松田さんの煙草の匂いと、少し開けた窓から入ってくる夜風にあたりながら余韻に浸っているとスマホが震えた。取り出して確認してみると、蘭からだった。

「ダチからか?」
「うん、蘭。今日新一と夢の国デート行ってたから、写真送ってきてくれた」
「ガキのくせに生意気だな」
「この間新一の誕生日に私がチケットあげたの。見てこれ、めっちゃいい感じじゃない?」

蘭が送ってきた新一とお城の前で撮ったツーショットを松田さんに見せると、運転中だからか興味がないのか一瞬横目でチラッとだけ見て、「へぇ…」と呟いて終わった。

「リアクション薄っ。まあ、松田さんはこういうとこ興味ないか」

せっかちそうだからまずアトラクション並んでる間にイライラして帰るとか言い出しそうだなぁ。絶対耳とかも一緒につけてくれなそうだし。想像がつきすぎて思わずくすっとしながら蘭に返信を打っていると、松田さんが話しかけてきた。

「やっぱそういうとこのがよかったよな」

あれ…もしかして私が羨ましがっているとか思ったのかな。まあ確かに松田さんと行けるものならどんだけ待ち時間で喧嘩になろうが耳をつけてくれなかろうが全然行きたい。でも、私は今日のデートがすごく嬉しかったのだ。確かに行く先々でつまらなそうな顔を見せてしまったから、そういう風に思われても仕方ないかもしれないけれど。

「ううん、今日めっちゃくちゃ楽しかったよ?正直最初は普段の自分と接点ないとこすぎて戸惑ったけど、松田さんのことたくさん知れて嬉しかった!松田さんじゃないと連れてってくれなそうなところに行けて知らない世界も知れたし、一言余計だけどなんだかんだ松田さん優しいし、そういうとこ好きだなぁって。それに…」

思い返すと楽しかった感情がぶわっと溢れてきて、伝えたいことが口からぺらぺら出てきて止まらなくて、ついマシンガン気味になって嬉しい気持ちを言葉にしていると、話している途中でまた顔をむぎゅっと掴まれた。

「…もうわかったから、落ち着け」

私が強制的に黙らされると、松田さんは視線を前に戻す。もしかして、照れてる…?そんな大したこと言ったっけ。勢いで思ったこと言っちゃったから自分じゃよくわかんないけど…松田さんの胸の内が気になってじぃっと見つめた。

「ジロジロ見てんじゃねぇブス」
「ブ、ブス!?」

聞き捨てならん。いくら照れ隠しであったとしてもこの暴言は可愛くないぞ、松田。

「急に素直になりやがって、調子狂うだろーが。ったく事故るわ…」

ぶつくさ言いながら運転する松田さんの横顔を見て、「やっぱかわいいかも」とすぐに思ってしまう私は盲目になってしまっているのかもしれない。

「そっちはどうだった?」という蘭からのメッセージに「最高に幸せだった!」と返事を打ち、今日のことを思い返しながら通り過ぎていく街並みを眺めるのであった。

・・・

数日後

「陣平ちゃん、なーに見てんのっ」
『テケテケテンテンテンッ!ちびかわー!』
「あ?なんでもねーよ」
「ぶっ…!え、ちょ、なんでもありすぎっしょ…え…大丈夫…?」
「萩、お前これ知ってっか?」
「いや、人気だから一応知ってはいるけど…陣平ちゃんとちびかわはやべーわ。ウケるー」
「うっせ…つーかこのうさぎのどこが俺に似てんだよ…」

また、警視庁内女子の間でも「ねぇ、松田さんのアレ見た?」「うさぎマスコット?」「ギャップ萌えだよねぇ」「いや、あれ完全女できたっしょ」「えーショックー」などとざわ…ざわ…しているなんて、当の2人は知るよしもなく。あまり突っ込むと機嫌を損ねるので程々にいじりながら、萩原は垂れた目の端を更に下げて微笑ましく見守るのであった。