とれました
第1Q4分経過―――
誠凛のシュートは外れてしまった。
若「おらぁ!!」
水「……!!」
若松が水戸部とのゴール下の競り合いを制し、リバウンドをとる。
水戸部は目を見開いた。
若「っしゃコラ、どっっ……せーい!!!」
そして若松は腕を振り上げ、前を走っている今吉に思いっきりパスを出した。
今「毎度どんなかけ越えやねん」
伊「(…とめる!)」
今吉は愚痴を言いながらもシュート体制に入る。
しかし伊月もブロックをしようと、今吉を止める。
伊月が止めたかと思ったが、今吉は伊月の横の隙間からシュートを放った。
伊「(なっ…ダブルクラッチ!?)」
そのシュートは綺麗にゴールに吸い込まれていった。
その華麗なシュートに会場はざわついた。
今「おおかた青峰が遅れてくるて聞いて、できるだけ点差つけようとか思ってたんちゃう?まあスマン、こちらの言い方が悪かったわ。前座言うても、青峰と比べてっちゅー話や。
キミらよりは強いで、たぶん」
桐皇 誠凛
10− 4
リ「(強い…!ここまでとはね。これでまだ青峰君いないなんてまいっちゃうわ)」
小金「うお!?やっぱり?」
降「センパイ、何見てんすか?」
小金「予選トーナメントの桐皇のスコア」
降旗も小金井が持っている予選トーナメント表を見る。
小金「108対91、151対72、131対81」
降「スゲェ、全部100点ゲーム!?」
決勝トーナメントまでのすべての試合、桐皇は100点以上のスコアを挙げていることに降旗は驚愕の声を上げる。
リ「そ、つまり正邦とは真逆のチーム。超攻撃的よ」
その時、観客のどよめきが響いて、慌てて3人もコートを見る。
桜「スイマセン!」
桜井が3Pシュートを放る。
日「(くっそ、ブロックしづれー!!跳んだと同時に放ってくる…!!!つーか謝るぐらいなら打つな!)」
火「ぐっ(しかもこいつら…)」
リバウンドを跳ぼうとする火神だったが、桐皇の選手にポジションをとられてしまう。
桜井のシュートはゴールにはじかれた。
桜「あぁっ」
しかし火神を抑えていた桐皇の諏佐によってシュートを押し込まれてしまった。
火「(こいつら…味方のケアは最小限で譲り合うような連係プレーは全くしねえ。OFもDFもとにかく一対一。自分でボールを取りにいって自分で決める…個人技でひたすらガンガンきやがる…)」
伊「なるほどね、ある程度予想してたけどやっぱり…そーゆースタイルすか」
伊月は今吉に話しかける。
今「…せや、ウチのチームは全国から選手を集めとる。一人一人実力はある分、自が強くクセもある。ここ数年色々試したんやけどな、お手手つないで仲良うやるより、このやり方が一番しっくりくるわ。お互い同じ攻撃型チーム。面白くなりそうや」
伊月にボールが渡る。
伊「面白いかどうかはともかく……同じってのはどうかな?誠凛(ウチ)のスタイルはあくまで、全員一丸の攻撃なんで」
火神が今吉にスクリーンをかけ、伊月がそれを利用して今吉を抜く。
今「むっ…」
若「っだオラァ!!」
若松がすぐさまヘルプに入るが、その瞬間に伊月は水戸部にパスを出す。
水戸部もそのスキにDFの桜井を振り切った日向にすぐさまパスを出した。
日「一対一の勝負はともかく…」
そして日向の3Pは決まった。
日「試合にまで負ける気はねーぞ。主将にも言っとけ、謝りキノコ」
クラッチモードに入っている日向。
桜「ええ!?スイマセン!(てゆーかボク何も言ってないのに!)」
今「ははは、何言ったっか聞こえんかったけど、なんか伝わったわ、プレーで…」
桐皇はリスタートを早めにし、パスをもらった今吉はすでに前を走っている若松にロングパスを出した。
観「うお、またロングパス!?速ぇ、つか先頭の6番(若松)、C(センター)だろぉ!?」
若松の速さに観客も驚愕する。
今「個人技スタイル(ウチのスタイル)と連携重視(ソッチのスタイル)、どっちが上か決めよか」
伊「あと…全員一丸とはいったけど、よく忘れられる奴がいるんすよ」
いつの間にか若松の横には雪乃が並走していた。
若「うぉ速!!(…いわけじゃねぇ!?動き出しが早かったのか…つか…どっから沸いたテメコラァ!!)」
雪乃はパスカットしようとジャンプをしたが、明らかにボールははるかに上だった。
リ「でも低−い!!」
火「ったく、慣れねーことすっからだアホ!」
だれもが雪乃のパスカットをあきらめた瞬間、雪乃の横から火神が飛んでパスカットをした。
その火神の高さに全員は唖然とする。
『とれました』