そんなタマではないだろう

伊「(よしっ…!!かかった!!…日向はピュアシューターだ。それはつまり足が速くないから…中に切れ込まず、スクリーンやカットでマークを外してからの3Pがほとんど。
けど近年のバスケで外しか打てない選手は勝負にならない。だから習得戦の後、ひたすら練習して、ドリブルスキルも向上させたんだ)」

火「(まだお世辞にも速いとは言えねー。けど初めてのパターンで、今日のプレイもノーフェイクの3Pのみ)」

日「(相手の頭にはシュートしかない。抜ける!!)」



日向が桜井がフェイクにかかったと思い、ドリブルの態勢に入った。



桃「知ってますよー*そう成長する(なる)と思ってたから」



日向がドリブルをつこうとした瞬間、桜井が腰を素早く落とし日向の抜ける道がなくなってしまった。



日「!!ぐっ…!?」

伊「(初めて見せるパターンだぞ!?そんな情報(データ)はないはずなのに…!?)」

緑「情報(データ)にない手できた場合、普通なら対応できない。だが桃井は集めた情報(データ)を分析してその後、相手がどう成長するかまで読んでくる…!!」

桃「その人の身長・体重・長所・短所・性格・クセ…全部集めて分析・解析、絞り込み…最後の秘訣は、女のカンよ*」



桃井は笑みを深めた。



伊「一度戻せ、日向」



日向は伊月にパスを出す。
リコは愕然としていた。



伊「…っく」



伊月は攻め込もうとするが、パスもドリブルでもすべて読まれてしまっていた。



伊「(ダメだ、どのパターンでも読まれている…攻めきれない…!!)」

観「残り5秒!!」



24秒タイマーも5秒を切ってしまう。



リ「そんぐらいやってくると思ったわ。甘いぞ小娘!」





リコは口元に笑みを浮かべた。
ボールは日向に再びわたり、ドリブルで抜こうとした。
しかししっかりと桜井がディフェンスについている。



今「(さっきと同じじゃ。抜けへんで!?)」



桜井の背中に何かが当たる。



リ「『このままで行く』って言った理由はもう一つあるわ。もっと単純な…つまりそれは…女のカンよ!」



リコは髪を耳にかけ不敵な笑みを浮かべる。



リ「彼女は女のカンでも、次何するか分からない!」



桜井がぶつかったのは、雪乃だった。
雪乃は桜井にスクリーンをかけブロックし、日向はその間にドリブルで抜きさり中に切り込んでいく。



桜「(スクリーン!?えええ!?」

桐「なぁ!?(マークしてたのにいきなり消えたぁ!?)」



雪乃をマークしていた桐皇の選手は、突然消えた雪乃に驚愕する。
中に切り込んでいった日向に諏佐がヘルプに入ったが、その瞬間フリーになった火神に日向はパスを出し、火神は背面ダンクを決めた。
雪乃は口元を緩める。





桐皇 誠凛
21−15





桃井は目を見開いた。



観「っしゃー火神!!」

観「つかさすが、いい仕事するぜ雪乃!」



誠凛のプレーに観客も沸いた。



桃「(…もー)」

原「っちゃあ〜、やっぱ一筋縄ではいかないもんですね」

桃「大丈夫ですよー(あいかわらず読めないなー)」



特に桃井は慌てることもなく、また笑みを浮かべてコートを見守っている。



桃「こうなると思ってましたから(けど…だからユキちゃんて好き!)」

日「っしDFだ!」

伊「一本止めるぞ!!」



DFに戻る誠凛の選手たち。
火神もDFに戻ろうとした瞬間、左足に小さな痛みが走る。



火「っつ!(……!?)」



火神は一抹の不安を抱いた。





『そんなタマではないだろう』完