やろーか
試合は流れていき、誠凛ボール。
日向はボールをもらった瞬間3Pを放つが、体制が崩れていた。
日「(やべ、体流れた…!!)リバン!!」
ボールはリングに弾かれ、そのボールを若松が獲る。
そのまま桐皇の選手達は一斉にゴールへと走り出す。
観「うお、速ぇ!桐皇カウンター!!」
伊「(まずい…7番190cm、6番193cm…火神が抜けてインサイドが圧倒的に不利だ…!!リバウンドが取れない…!!)」
大「誠凛も11番(雪乃)を中心に得点を重ねてはいるが」
緑「残りの二年生4人は桃井のせいで読まれている。やはり火神の抜けた穴は大きい…!」
黄「…いずれにせよ、まずいっスよ、点差が開き始めた……!」
残り5分
桐皇 誠凛
38 29
火「くっ…(頼む…もう少しこらえてくれ…!)」
土「落ちつけ火神!もっとみんなを信じろよ」
火「…分かってますよ…!桐皇は全員一丸で倒す!」
表情を歪ませる火神に土田が声をかける。
すると火神は意外にも冷静に答えた。
その時、火神の足にテーピングをしていたリコの手が止まる。
リ「できたわ!とりあえずこの試合はこれで問題ないはず…行っていいわよ!」
火「っし…!!」
リ「…すまないわね…」
火神は交代を告げようと勢いよく立ち上がり、ユニフォーム姿になった時、火神の下で跪いているリコから小さな声の謝罪が聞こえた。
リ「本当は万全でない選手を出すなんてやりたくないけど…火神君がいないと勝てないわ…全員一丸のバスケって言ったけど、そもそもそれはある人が教えてくれたスタイルよ。私だけの力じゃまだ未完成で、みんなの力を引き出しきれてない…
あげくケガしてる火神君に頼る始末…自分の無力さに腹が立つわ…!」
リコは唇をかみしめ、悔しさで体を震わせている。
火神はそんなリコに呆気に取られていた。
火「え…と誰?」
リ「は?」
火「練習メニュー作って、スカウティングして、ベンチで指示出して、マッサージにテーピング…むしろちょっと仕事しすぎ。ドーンと構えてくんねーと!つかそもそも『すまない』で送り出されてもテンションあがんねーから…です」
火神の不器用な励ましに、ベンチメンバーも微笑む。
リコはフッと笑うと、立ち上がった。
リ「…生意気言ってくれるわねー!バカガミが!行ってこい!」
火「ウス!」
オフィシャル「誠凛メンバーチェンジです!」
青「そーそー張り切ってくれよ、少しでもオレを楽しませられるようにさ」
コートに戻ろうとした火神は突然、肩に重みを感じると同時に、自分の真横から青峰の声が聞こえた。
突然現れた青峰は火神の肩に腕をまわして不敵な笑みを浮かべている。
火「……!!テメェ…青峰!!」
青峰の登場に火神は、驚きながら回された腕を振り払った。
火神の声にコート内にいる選手達も青峰の存在に気づく。
今「やっと来たか、まったく…早よ準備して出てくれや!!」
青「えー?つか勝ってんじゃん。しかも第2Qあと一分ねーし」
スコアとタイマーを見ると残り約50秒、スコアは誠凛が10点ビハインドで負けていた。
そのことにさらにやる気を失う青峰。
原「だめです、出なさい!」
そんな青峰に原の一喝が入る。
青「ま、いーけど……」
絶望的な状況でさらに追い打ちをかけるように青峰が現れたことによって、誠凛メンバーに緊張が走る。
青「じゃあ…ま、やろーか」
青峰は来ていたジャージを桃井に投げ、とうとうユニフォーム姿を露わにした。
『やろーか』完