まかせとけ

オフィシャル「第2Q終了です。インターバル10分後の開始です」






桐皇学園控え室―――



青「良、例のモン、ちゃんと持ってきたんだろーな?」

桜「はいっ…」



青峰は桜井に対して凄みながら、桜井にタッパをもらう。
タッパに入っていたのは、レモンのはちみつ漬けだった。
青峰はレモンを一切れ掴むと、口に入れる。



青「おう、あーうめ」

若「青峰テメ―、何食ってん…つか補給するほど出てねーだろコラぁ!!」


それに気づいた若松が真っ先に怒鳴る。



若「桜井もホイホイ作ってきてんじゃねーよ!!くれ!オレの方がよっぽど疲れてるわ!!」



桜井の手の中にあるレモンのはちみつ漬けのタッパを若松がぶんどった。
そして勢いよく食べ始める。



若「あーうめー!!!もーねーぞバーカ!!」

青「いんねーし、もう」

若「っだとコラぁ!!?」

今「ってか全部食うなや!!」



今吉は全部食べてしまった若松にショックを受ける。



桃「大丈夫ですよー、私も作ってきましたから」

今「あぁ、スマンの」



桃井もレモンのはちみつ漬けを作ってきたようで、タッパを開ける。
それに今吉も安心して、タッパの中身を見ると、そこにあったのはレモンが丸ごと入っていた。



今「桜井〜〜〜もうないんか!?」

桜「スイマセン、もう…」

青「あー、さつきはひでーよ料理」

今「てか料理以前のレベルやろ、コレは!?」

桃「え!?」









誠凛高校控え室―――





リ「前半お疲れ様!後半の逆転に向けてエネルギー補給よ!!はいっレモンはちみつ漬け!」



同じく誠凛高校の控え室では、リコが作ったレモンのはちみつ漬けのタッパを開けた。
しかし、そこには桃井同様レモンが丸ごと浮いていた。



日「切ってって!切ってって言ってるじゃん、いつも!!」



日向と小金井は号泣し、それを見た火神は唖然としていた。



リ「ちゃんと洗ったから皮ごといけると…」

伊「水戸部!ある!?」



いつもの光景らしく、ちゃんとしたレモンのはちみつ漬けを水戸部は作ってくれていた。



日「水戸部いてよかった〜」



リコはショックで壁の隅で体育座りをしていた。





火「?雪乃は?いんねーの?」



火神はベンチに座り、険しい表情をしている雪乃に話しかける。



『すいません、私はいいです』

火「………」



雪乃の言葉と表情に火神はじっと見つめる。



リ「雪乃ちゃんは前半出ずっぱりだったから、一度引っ込んでもらうけど…栄養補給はしなきゃダメよ」

『あの…後半も…このまま出してもらえませんか』

リ「え」





桐皇学園控え室―――



原の手を叩く音で、騒がしかった桐皇の控え室は静まり返る。



原「ホラホラ、まだなごむのは早いですよ。後半の話をしましょう」

青「あーオレパス。ちょっとそこで体動かしてくるわ」

若「青峰テメ―!!待てよ!!」



青峰は控え室の出口へと向かう。
それを若松が止めた。



青「後半はオレが全部決める。で、いーじゃん」

若「テメェコラ…」

原「…青峰君、分かっていればいいです。ちゃんとアップしてきなさい」

青「へーい」



青峰は控え室を出ていった。



若「監督!?」

原「あ、いやさすがに全部じゃないですけど、青峰君主体でいくってことです」

若「そうじゃなくって……」

今「若松…もう毎度あんまりゴネんなや」

若「主将(キャプテン)まで…」



青峰に対して毎回切れる若松に今吉は呆れる。



今「勝てば官軍言うやろ」

若「けどあんな態度…チョーシこきすぎっしょ!?」

今「別にええんちゃう?こいてても」

若「は?」

今「TV(テレビ)のインタビューとかで感じたことあらへんか?一流選手こいてる奴なんてザラやんけ。悪く言えば傲慢・不遜…けどよく言えば勝ち続けてきたゆえの圧倒的自身や。あ、カン違いすんなや?ワシは別に青峰のこと好きでも嫌いでもないで。
点さえ取れば人格なんてどーでもええ。勝ってる限り青峰(アイツ)が正義や。青峰がどんな人間でも試合に出れば文句ないわ。それが一番勝率が高いからな」



今吉の言葉に桜井は冷や汗を掻いた。



桜「(いつも思う…このチームは打算でつながってる……信頼とは無縁で根っこはバラバラだ。けどなんでだろ…負ける気が…しない)」





『まかせとけ』