ふざけた奴ばっかりだ
第3Qが始まったが、雪乃はTシャツを着てベンチにいた。
それを観客たちも気づき始める。
大「む」
高「!雪乃、ベンチっすね。大丈夫かよ?」
緑「やむをえん…が、前半青峰抜きでも代えれなかったのに…とてもしのげるとおもえないのだよ」
黄「……そうっスね(確かに青峰相手に雪乃っち抜きはキビしすぎる…けど…オレはあの成長スピードを考えると何か起きそうな気がするんス。アイツなら、もしかしたら…)」
着せの視線の先には火神がいた。
観「うぉっ」
観「開始早々青峰だ!!」
桐皇ボールから始まった第3Q。
早速青峰にボールが渡り、再びエース対決に観客が湧く。
リ「(早々どころか…後半はまず間違いなくほとんど彼でしょーね!『キセキの世代』エースにしてスーパースコアラー…!!)」
伊「(何もできず雪乃をすぐ出すようなら、ガス欠で第4Qはジリ貧だ)」
日「(オレらじゃまず手も足も出ねー。頼むぜ!)」
『………』
誠「(火神…!)」
誠凛メンバーの期待が火神に向く中、火神は青峰との一対一に集中する。
青「(気合イイカンジじゃねーの。前公園でやった時とは違うってことか?けどまあ…)」
青峰はレッグスルーを一つ入れる。
青「(ムダだぜ!!)」
次の瞬間には青峰は火神を抜き去った。
伊「(まただ!!あの火神が全然ついていけない…!?)」
火「くそっっ(フェイクにかかったわけじゃねーのに…ついていけないっ。なんつーキレだ!!)」
すぐさま青峰の前に水戸部と土田がヘルプに入る。
福「ヘルプ早い!!」
河「しかも二人だ!!」
すると青峰は急停止をして、後ろに飛んでシュート体制に入る。
水戸部と土田もブロックに飛ぶが、手が届かない。
水・土「!!」
伊「(フェイダウェイ!?あのスピードから急停止して後ろに跳ぶか!?)」
日「(動作一つ一つにスピードのケタが違う…水戸部と土田がスローに見える!!目がついていかねぇ…!!)」
緑「運動において速さとは最高速だけではない。0→Maxへの加速力と、Max→0への原則力。すなわち敏捷性(アジリティー)。青峰のそれはオレ達(キセキの世代)の中でもズバ抜けている」
青峰はシュートを放るが、そこで何かに気づいた。
ほんの少しの差で火神が青峰の後ろから、ブロックしようと手を振りかぶっていた。
しかし、ボールには手が触れることはなかった。
火「…くそっ(だめかっ…さっきより一段と速ぇ…!!)」
青「(…っコイツ)」
青峰の目がほんの少し見開かれた。
しかし無情にもシュートが入ってしまう。
桐皇 誠凛
51−39
小金「うぅっ」
また点差が開かされたことに誠凛ベンチは唇を噛みしめる。
若「けっ、オレにだってできるわ、あんくらい…!」
今「(アカン…!!)」
桐皇が油断している隙に、火神はゴールへと真っ先に走り出し、日向も火神にロングパスを出す。
スキを突かれた桐皇、それは青峰もワンテンポ遅れてしまった。
桃「!!(速攻っっ!)」
降「ぶちこめェ火神!!」
火「(…くらえっっ!!)」
ダンクを決めようと踏み込んだ瞬間、いつの間にか追いついた青峰にボールを手から弾かれてしまった。
火「ぐっ!!?(まただ…!!どんなに速く攻めてもコイツは振り切れない…!!)」
青「なーにやすやすと速攻とった気でいんだよ?させねーよ(…それより火神…マジかよ?今の踏み切り位置…フリースローラインじゃねーか)」
青峰の心中では、火神の先ほどのジャンプの踏切り位置に驚いていた。
青「(レーンアップでもするつもりだったんじゃねーだろーな?オイオイ)…かはっ」
青峰は口元を歪ませる。
降「あぁ〜〜っくそっ惜しいっ」
福「けどよ、思ったより全然やれてるぜ!?この調子なら……」
『………(違う…彼のプレイじゃない…)』
降旗と福田はそこまで火神と青峰の差に違いはないと思い、盛り上がってはいるが、その隣にいる雪乃は険しい表情を浮かべている。
青「…やめだ!やっぱ性に合わねーわ。生真面目なバスケは」
急に青峰の雰囲気が変わった。
『ふざけた奴ばっかりだ』