嫌だ!!
青「バスケに一発逆転はねぇよ。もう万に一つも…」
『…可能性がゼロになるとすれば、それは諦めたときです。どんなに無意味と思われても、自分からゼロにするのだけは嫌なんです。だから諦めるのだけは絶対嫌だ!』
雪乃は今にも気を失いそうだったが、目だけはタヒんではいなかった。
雪乃の脳裏にあるのは、帝光時代の青峰が変わってしまったあの時の場面。
その雪乃の目と言葉に青峰だけではなく、誠凛メンバーたちも目を見開く。
日「(ったく、そりゃ代えらんねーわ、一念坊主のやる気に、オレらが負けるわけにはいかねーよな)」
誠凛ベンチは静まり返ってしまっていることに日向は気づいた。
日「コラ、ベンチお通夜か!もっと」
小金「声出せ!最後まで」
日向がベンチを怒鳴ろうとした時、被るように小金井が降旗と福田の肩に腕をまわし、一喝を入れた。
小金「中の選手が諦めてねーんだぞ。黙ってみててどーすんだ」
一「…はいっ」
誠「ディーフェンス」
日「1点でも多く縮めるぞ、走れよ最後まで」
誠「ディーフェンス」
伊「当たり前だろ」
誠「ディーフェンス」
火「ディーフェンス」
火神も一生懸命声を出す。
青「…一つだけ認めてやるわ、諦めの悪さだけは」
しかし無情にも青峰は雪乃を抜き去り、雪乃は必死に手を伸ばすが青峰の背中は遠く、届かなかった。
誰一人諦めず
全員が最後まで戦った
それでも点差は開き続けた
火神は精一杯声を出していたが、口を閉ざす。
火「(次は…次は…勝つ!)」
涙は出なかった
その日、私達はそれほど圧倒的に
―――負けた
桐皇 誠凛
112−55
『嫌だ!!』完