だからアイツはヤなんだ

日「去年の夏からちょっとワケあって入院しててさ、手術とリハビリで今まで休んでたんだ。木吉鉄平。193cm81kg。ポジションはC(センター)。よろしくね」

降・河・福「(この人が誠凛バスケ部を創った人……!?)」



話に聞いていた木吉を目の前にして、降旗たちは圧倒される。



リ「鉄平!もう大丈夫なのね?」

木「あぁ!もう完璧治ったよ。ブランクはあるけどな、でも入院中何もしてなかったわけじゃねぇよ」

伊「何か学んだのか?」



木吉の言葉に期待をした伊月は木吉に聞く。



木「あぁ。花札をな」



まさかのバスケと全く関係ない遊びが出てきて、全員が一瞬思考を停止してしまった。



日「だから!?」

木「面白いぜ」

伊「バスケ関係ねぇじゃん!!」

木「あー、あとこれだけは言っとかねぇとな。まあ創部した時から言ってたことなんだが、なけなしの高校生活三年間を懸けるんだからな。やるからには本気だ。目標は…もちろん…



どこだ!」



突然の意味不明な木吉の言葉に全員は?を頭の上に浮かべる。



日「は?」

木「いやI・Hの開催地でってどこだっけ?甲子園?」

日「毎年変わるしもう負けたわ!!今目指してんのはWC(ウィンターカップ)だろ!」

木「そうか!じゃあWCは今年はどこだ?」

日「WCは毎年同じだよ!!東京だ!!」

降・河・福「(バスケ部を創っ…え、ええええ〜〜〜)」



降旗たちは思っていた人物とは程遠い木吉に驚愕していた。
雪乃は昨日すでに木吉がどういう人物か知っていたため、とくに驚きもなんともしない。
火神は今の状況をあまり理解できていない様子だった。



木「山登るなら目指すのは当然頂点(てっぺん)だ…が、景色もちゃんと楽しんでこーぜ」



日向は長い溜息を吐く。



伊「どうした日向?」

日「いや…変わってねーなと思ってよ。だからアイツはヤなんだ」





小金井は体育館へと急いで走っていた。



小金「やっべ完全に遅刻だ。まさか古文のゴリ松の授業で寝るとは…不覚」



どうやら補習を受けさせられていた様子だった。



小金「ウィーッス。うぉっっ!!?」



小金井は体育館の扉を開けるとすぐ目の前で二人のディフェンスの上からダンクを決めたところだった。
ディフェンスだった二人は倒れこむ。
そこでリコは笛を鳴らす。



リ「ファウルよ、ちょっと火神君!!何やってんの!!強引過ぎよ、もっとまわり見て」



リコの言葉に小さく舌打ちをする火神。



小金「ちょっ…何?やけにピリピリしてない?」


伊「コガ…いや火神がな……最初は集中してるせいだと思ったんだけど…何か違うんだ今までと…プレイがやたらと自己中(ジコチュー)ってゆーか、むしろ入部したての時に戻ったみたいな…まるでまわりに頼ろうとしない。一人でバスケやってるみたいだ…」



雪乃は鏡の姿に思わず青峰を重ねてしまい、眉をひそめた。



リ「(ちょっと…どうしちゃったの火神君…)」

木「(………?確かに迫力はある…けどビデオで見たのとずいぶん違うな…)…なぁ火神君。ちょっといいか?」



木吉は火神に話しかけた。



木「オレも速く試合に出たいんだけどさ、上級生だからって戻ってすぐ出してくれってのも横暴だと思うわけさ。だからよ、勝負してくんねぇ?1対1。スタメンを賭けて」

火「は?」



木吉の突然の1対1の申し込みに火神は目を見開く。
それは聞いていた他のメンバーも同じだった。



伊「木吉!?」

日「だからヤなんだよ、あいつは!」



呆れてため息を吐く日向。



日「いつだって全力で、バスケバカで、ボケてて、そんでいつも何か企んでる」



木吉は日向の言う通り、何か企むように怪し気に微笑んでいた。





『だからアイツはヤなんだ』完