跳んでみて
合宿最終日、体育館にブザーが鳴り響く。
審「試合終了――――!!82対91で秀徳の勝ち」
誠・秀「あっしたァ」
練習試合を3試合行ったが、全敗してしまった誠凛。
中「合宿中3試合やって3勝か…ふーむ…んー」
高「やっぱアレじゃないっすかー…?予選の時はマグレ的な…」
緑「………」
中「負けた理由をマグレで片付けるのは感心せんなー、高尾、走ってこい」
高「ぎゃすっ!?」
中「それにやったお前らが一番わかってるはずだ。誠凛(むこう)に負けた予選の時より、勝った今回の3試合の方が手強かった」
それは秀徳の選手全員が痛感していることだった。
中「(しかも…木吉と火神抜きでこの強さ…このままいくと冬は…心してかからねばならんな…)」
リ「はいっ、しっかり冷やすのよ!」
リコが持ってきたのは巨大なバケツに中には大量の氷。
選手たちはそのバケツの中に太ももまで入れ、足を冷やす。
『アイシング(リコ流)』
筋肉痛・疲労蓄積の軽減
小金「けど結局…試合は全敗か〜。オレらまさか下手になってる?」
木「…そんなことねーさ、成長してるぜ確実に…自信持てよ!オレ達は強いぜ…!」
1「(決まらねぇ〜この人はいつも決まらねぇ〜)」
木吉はカッコいいことを言っているつもりだが、バケツに下半身を突っ込んでいる姿はあまり決まっていなかった…。
アイシングも終わり、合宿所に帰ってきた誠凛。
日向と木吉は部屋の窓際にあるテーブルでお茶をしながら話をしていた。
日「は〜体いて…」
木「いやぁやっぱ王者は強いな」
日「まぁ…こんなもんだろ。むしろ勝った時はでき過ぎてた。正直これが本来の実力差だろ」
木「けど合同練習は良かったと思うぜ。いろいろ刺激になったよ」
日「まぁな…考えさせられたよ(それに…)ちょっと試したいこともあるしな」
火神は一人、合宿所の近くにある駐車場に1つだけ置かれているバスケットゴールで練習をしていた。
リ「ずいぶん熱心ね」
そこにリコが現れる。
火「あ、いや……ただ片したゴールがあったんでつい…・・ってだけす。ってゆーか…結局こん合宿、オレだけずっと砂浜走ってたんすけど…」
リ「あれ?そうだっけ?」
結局、合宿中の秀徳との合同練習の間もずっと買い出しに走らされていた火神。
火「しかも帰ったらいつも試合終わってるし!ったく、なんのためにこんな…」
リ「もう…何よ、自分のことまだ気づいてないの?」
火「え?」
リ「じゃ、教えてあげるわ。ちょっと跳んでみて」
日「そういえば火神(アイツ)の練習はなんだと思う?ただの筋力アップ…じゃないだろ?」
木「んやってることはそれだと思うけど…たぶん火神(アイツ)の本当の力を引き出すためじゃないかな」
日「え?」
火神とリコがいるゴールの通りからちょうどコンビニに買い物に行っていた高尾が、鼻歌を歌いながら通った。
ちょうどその時、火神がリコに言われた通りゴールに向かってジャンプをしたため、高尾は驚く。
高「(うぉっっ、誠凛のカントクと火神…?何してんだ?…つーか)」
思わず茂みに隠れた高尾はゴールのアクリル板に目をやる。
アクリル板には火神が触れた指のあとがついており、その跡はリングの遥か上についていた。
高「(リングよゆーで超えてんじゃん。やっぱすげーな火神(アイツ)の跳躍(ジャンプ)力は…)」
リ「疲れてるし今はそんなもんね…じゃ今度は逆で跳んでみて」
火「え?」
高「(…逆?)」
木「アイツの跳躍(ジャンプ)力にはムラがあると思わないか?」
日「そういえばそう…だな」
木「アイツは利き腕の右手ワンハンドダンクが得意なせいか、左足で踏み切ることが多い。だが…ここ一番で高く跳んだときは、右足で踏み切っている」
日「えっ?」
高尾のズボンのポケットから小銭が落ちた。
高「っと」
高尾が小銭に気を取られている隙に火神はもう一度跳躍したらしく、アクリル板を叩く大きな音が聞こえた。
火「ってぇ〜あっ」
リ「あーばか!強く叩き過ぎよ」
その時、高尾のすぐ後ろでゴールが倒れてきた。
高「(ぎょわぁっ!?なっ)」
ゴールが倒れてきたことに驚愕した高尾は、再びゴールを見て驚愕する。
『跳んでみて』