勝てねェぐらいがちょうどいい

火神がゴール下でシュートを打つが、黄瀬にまた止められてしまった。



火「ぐっ」

審「アウト・オブバウンズ!!白ボール(誠凛)」



そのボールはラインの外に出る。



黄「…そろそろあきらめたらどっスか?今のキミじゃ『キセキの世代』に挑むとか10年早えっスわ」

火「なんだと……!?」

黄「この試合、もう点差が開くことはあっても縮まることはないっスよ」



黄瀬と火神が話しているのを雪乃は気づいた。



黄「チームとしての陣形(フォーメーションや戦略以前にまずバスケは『体格(サイズ)のスポーツ』。誠凛(キミら)と海常(ウチ)じゃ5人の基本性能(スペック)が違いすぎる。
唯一対抗できる可能性があったのはキミっスけど、だいたい実力はわかったっス」



黄瀬は火神を瞳に映す。



黄「潜在能力(ポテンシャル)は認める。けどオエrには及ばない。キミがどんな技をやろうと、見ればオレはすぐ倍返しできる。どう足掻いてもオレには勝てねぇスよ。ま…現実は甘くないってことスよ」

火「く…っ」



火神は悔しそうな顔をした。



火「クックック…ハッハ…ハハハハハ……!!」



かと思ったら突然大声で笑い始めた火神。
そんな火神にみんなは驚いた。





火「ワリーワリー、ちょっと嬉しくてさァ…そーゆーこと言ってくれる奴久しぶりだったから」



火神の言葉に黄瀬は不思議そうな顔をする。



火「アメリカ(むこう)じゃそれがフツーだったんだけどな」

黄「え!?アメリカいたの!?」



火神が帰国子女ってことに驚く黄瀬。



火「日本(こっち)帰ってバスケから離れたのは早トチリだったわ。ハリ出るぜ、マジで。やっぱ人生挑戦してナンボじゃん」



火神に不敵な笑みを浮かべた。



火「強ぇ奴がいねーと生きがいになんねーだろが。勝てねェぐらいがちょうどいい。まだまだ!これからだろ!聞いてねぇゴタク並べんのは早−んじゃねーの?…おかげでわかったぜ、オマエの弱点」

黄瀬「!?」



すると火神は周りを見渡し始めた。




火「自分から言い出しづらかったのもちょっとわかるわ。見ればできる?見えなかったら?」



0火神はちょうど近くを通った雪乃の首根っこを掴んだ。



『(な…なに?)』

火「そもそも元からウスいのが前提じゃ、やれって方がムリな話だろ。いくら身体能力が優れてるオマエでも、カゲを極限までウスめるバスケスタイルだけはできない」



黄瀬は眉をひそめた。



火「…つまり雪乃(コイツ)だろ!オマエの弱点!」

『…痛いです』


火神は雪乃の頭手を乗せ、ぐしゃっと撫でた。





『勝てねェぐらいがちょうどいい』完