約束しました

雪乃は頭に包帯を巻き、フラフラしながらオフィシャル席に交代を申し出に向かった。
しかしリコがその前に立ちふさがった。



リ「いやいやいや、何言ってんのダメ!ケガ人なんでしょ!てかフラついてるじゃない」

『?今行けってカントクが…』

リ「言ってない!たらればがもれただけ!」

『…じゃ出ます!』

リ「オイ!」



雪乃は断固として試合に出ようとする。



『私が出て戦況を変えられるならお願いします…それに約束しました。火神君の影になると』



まっすぐな雪乃の言葉にリコは言葉を詰まらせた。
それは他の誠凛メンバーも同じだった。
リコはため息を吐いた。



リ「わかったわ…!ただしちょっとでも危ないと思ったら、スグ交代します!」









同時刻、海常高校へと向かう一台のリアカーがあった。



通行人「(リアカー!?)」



通行人が通るたびにリアカーを見てびっくりする。



?「くっそー信号待ちで交代ジャンケンなのに…まだオマエ一回もこいでなくね?」



自転車の方に乗っている学ランを来た黒髪の男子生徒は、息を切らしながらリアカーに乗っている同じ制服の緑髪の男子生徒に話しかける。



?「そんなの…当然なのだよ。なぜなら今日のおは朝の星座占い、オレのかに座は一位だったのだから」

?「関係あんのソレ」



緑髪の男子生徒はお汁粉を飲みながら言う。
その左手の全部の指にはテーピングをされていた。



?「つーかわざわざ練習試合なんか見る位だから相当デキんだろな、オマエの同中!?」

?「マネっ子と…カゲ薄い女の子だな」

?「それ強いの!?しかも女の子!?」

?「それより早く!試合が終わってしまう!たぶんもう第4Qだよ!」

?「オマエが占いなんか見てただろが!!」



二人は言い争いをしながらも、少しずつ海常高校に近づいて行っていた。





第4Q、残り6分4秒





誠凛のオフェンス。
雪乃が戻ってきたおかげで、再び雪乃を起点にゴールを決めていき、点差はどんどん詰まっていった。



笠「慣れかかってたのにまた元のウスさが戻ってやがる…!第2Q・3Q丸々20分ひっこんでたから…!?」



誠凛 海常
80―82



そして日向がシュートを放った。



観「まさか…」

観「ウソだろ…!?」



そのシュートは綺麗にリングに吸い込まれていった。



観「同店…!?」



誠凛 海常
82―82



海「同点だぁ…!?」

海「誠凛ついに追いついた!!」



海常はここにきて追いつかれた事に愕然とした。



黄「(―――同点)」



その瞬間、黄瀬の目つきが鋭くなる。
それに気づいたのは雪乃と火神。



火「(コイツ…フンイキが変わった…!?)」



黄瀬は雪乃のディフェンスをいとも簡単に抜く。
しかし再び火神がヘルプに入る。



火「雪乃…」



雪乃が黄瀬のドリブルをカットしようと手を伸ばした。
しかし、すぐさま黄瀬はドリブルを切り返し、雪乃はカットできなかった。



火「『……!』」

リ「なっ…」



誠凛の全員が驚愕していると黄瀬はもう一つドリブルを切り返し、火神を抜いた。
そしてそのままダンクを決めた。



黄「オレは負けねぇスよ誰にも。雪乃っちにも」

火「(コイツ、ここに来て…まだ強くなんのか!?雪乃も見切ったってことかよ!?)」

日「やべえな…全員気ィ付けろ。こっから試合終了まで第1Qと同じ…」



点の取り合い(ランガン勝負)だ!!





それからは日向が言った通り、海常がシュートを決めれば誠凛も返し、シーソーゲームだった。
日向が苦しみながらもシュートを決めた。



誠凛 海常
98―98

残り15秒



観客「うわぁあ、また同点!?」

笠「っの…!!しぶとい…!!トドメさすぞ!!」

日「時間ねぇぞ!!当たれ!!ここでボール獲れなきゃ終わりだ!!」

海「おお!!!」



誠凛はオールコートマンツーでディフェンスをする。



『火神君、一瞬いいですか』



そんな時、雪乃が火神に話しかける。



『ここ獲れれば…黄瀬君にコピーされない手がもう一つあります』





『約束しました』