2つ言っておくぜ

リ「へ?雪乃ちゃん先発(スターター)?」



リコは雪乃から言われた突然の申し出に目を見開いた。



リ「雪乃ちゃんには時間制限があるでしょ?控え選手(シックスマン)として戦況見て出してくって言ったじゃない」

『お願いします』

リ「なんでそんな血走ってんのよ」



リコは目を輝かせている雪乃に若干引いていた。



リ「…ま、初っパナからカマすのも嫌いじゃないし…いーわよ!…ただし、いきなり切り札みせつけるんだから、中途ハンパじゃ逆効果よ。第1Qで最低10点差はつけなさいよ!」



リコの言葉に雪乃は頷いた。




 
審「それではこれより、誠凛高校対新協学園高校の試合を始めます!」

全「しゃす!!!」



それぞれジャンプボールの定位置へセットする。



パパ「今日のテキもミんな小さイ…日本人ゴハン食べテる!?」



パパはセットをしながらも文句を言っていた。



パパ「しかもさっきハ子供、しかも女の子がベンチにいたシ…」

『子供じゃないです』

パパ「ワァッ!?てベンチじゃなくテ、スターター!?ナニソレ!?ってカ女の子が試合しテいいノ!?」

『許可とってますから大丈夫です』

日「(…もしかして試合の度に雪乃驚かれんのかよ…!?めんどくせーから次からあらかじめ言っとこう…)」



審判はボールを真上に投げた。
ボールを弾くため火神とパパが跳ぶ。
最初にボールに触れたのはパパだった。



日「うぉっ!?(マジかよ!?信じらんねー。火神が高さで負けた!)」



雪乃も少し目を見開いた。



火神「(っのヤロ…!!)」



ボールをとった新協学園がオフェンス。



観「おお、まずは新協学園ボールだ!!」



そしてボールはパパに渡った。



火「させねー。…!?」



パパはフェイクもドリブルもせずにシュート体制に入った。



火「(ノーフェイクでジャンプシュート!?なめやがって!!)」



火神がブロックをしようと跳ぶが、パパはその上からシュートを打った。



火「(……っ、高ぇ…!!)」



そのシュートは入った。



観「来たぁ!高い!!」

観「先制は新協学園だ!!」

パパ「チョロイね…」





日「ドンマイ!取り返すぞ!!」



日向はすぐにボールを出した。
伊月がボールを運び、自分のゴールへと攻め入る。
日向がボールをもらい、シュート体制に入る。



日「フリー!!もらった!!」


しかし少し離れたところにパパがおり、ブロックされてしまった。



日「!!?…マジかよ!?(あそこから届くんかい!?んな守備範囲どんだけ!?)」

パパ「ヨッと…」



そのままパパがボールを持った。



降「デタラメだろあんなの…やっぱりズリーよ、外国人選手なんて」



降旗がベンチで言っていたことを谷村が聞いた。



谷「誠凛さんってアレ?スポ根系?」

日「は?」

谷「いるんだよね、よくさー。『助っ人外国人ズルイ!』みたいな?別にルール違反とかしてねーし。強い奴呼んで何か悪いの?楽だぜー、アイツにボール回しゃ勝手に点入ってくし。
楽して勝つのがそんなにイヤかね?どう?」



谷村の言葉に日向は黙っていた。



日「楽かどうかは知んねーけど、そのポリシーなら逆に文句言うなよ?とんでもねー奴らなら誠凛(ウチ)にもいるし」

谷「は?」



日向の言葉に谷村は不思議そうな顔をした。



水「……」

火「大丈夫!っスよ」



水戸部はジーッと火神を見ている。
それに火神は気づくとそう言った。





試合は流れていって、残り6分





新協 誠凛
 8−3





パパはシュートを打つ。



谷「落ちた!!リバン!!」

パパ「ぐッ…」



中々シュートが入らないことにパパはイラついていた。



谷「(急に精度がガクッと落ちてる?…これは)」

リ「そう簡単には入らないわよ。なんたって…火神君がお父さん(パパ)に自分のプレイをさせてないからね!」



火神がパパにディフェンスについていた。



福「自分のプレイを…?」

リ「届かなくてもやりかたはあるのよ!水戸部君直伝のね!」





『2つ言っておくぜ』