改めて思いました

アップが終わり、誠凛と正邦はそれぞれの控え室に戻った。



正邦高校控え室―――



正「どうだった春日。あいつらの印象は」



正邦の選手が、春日に話しかけた。



春「上級生はやっぱ力尽けてそうだよー。あと一年の火神が要注意かも〜」

岩「じゃ、同じ一年だし火神は津川にまかす。今のおまえならどんな奴でも止められんだろ」

津「ほい!やった!楽しくなってきたー」



言葉の通り楽しそうに津川は立ち上がった。



春「うっわ出たよ津川スマイル…てか世界中見渡してもオマエだけだよ、笑顔でDFする奴」





誠凛高校控え室―――



正邦とは違い、誠凛メンバーは緊張のためか誰一人口を開かない。



リ「(んー…やっぱりみんなちょっとカタいわね…)」



リコは何かを思いついた。



リ「全員ちょっと気負いすぎよ…元気でるように一つごほうび考えたわ!次の試合勝ったら、みんなのホッペにチューしてあげる!どーだ!!」



リコはウィンク(^_-)-☆をしながら言った。
その瞬間、控室にはさらに静かになった。



伊「ウフッ*ってなんだよ…」

小金「星だしちゃダメだろ…雪乃なら喜ぶけど…」

水「………」



三人の言葉にリコはショックを受けた。



日「バカヤロー、義理でもそこは喜べよ!そりゃあ俺も雪乃からもらいたけどよ…」



日向は慰めているつもりではあるが、リコにとってはとどめだった。



リ「ガタガタ言わんとシャキッとせんかボケー!!そりゃあ私だって雪乃ちゃんからキスもらいたいわよー!!
去年の借り返すんだろが、えええおいっ!?一年分利子ついてえらい額になてんんぞコラー!!!」

『(!?何の騒ぎですか?)』



リコは涙目になりながら叫んだ。
雪乃は丁度着替え終わったのか控え室に入ってきて、この騒ぎにびっくりした。
水戸部がリコを宥める。





日「わりーわりーわかってるよ…」



日向は苦笑をした。



日「…おっしゃ!!…行く前に改めて言っとく。試合始まればすぐ体感するけど、一年はちゃんと腹くくっとけよ」



日向は真剣な表情になった。



日「正邦は強い!ぶっちゃけ去年の大敗でオレらはバスケが嫌いになってもうちょいでバスケやめそうになった」



日向の言葉に雪乃は目を見開き、ほかの一年生は表情が暗くなった。



日「うわ!暗くなんな!立ち直ったし!元気だし!寧ろ喜んでんだよ!去年とは同じには絶対ならねー。それだけは確信できるくらい強くなった自信があるからな!」



日向の笑顔に二年生も笑顔になった。



日「あとは勝つだけだ!いくぞ!」

全「オオウ!!!」



コートに向かおうとしたとき、雪乃がいることに火神は驚いて飛びのいた。



日「うぉっ!?雪乃いたのか!?…?どうかしたか?」



いつもと違う雪乃に火神は不思議そうに尋ねた。



『……火神君は、バスケを嫌いになったことありますか?』

火「は…?いや…ねぇけど…」

『私はあります』

火「!」



火神は目を見開いた。



『理由は違うと思うけど…気持ちはわかります。今はあんなに明るいけど好きものを嫌いになるのはすごく辛いです』



雪乃は悲しそうな表情になる。



『緑間君と話した時、過去と未来は違うと言ったけど、切り離されてるわけじゃありません。この試合は先輩達が過去を乗り越える大事な試合だと思うんです。だから…』





誠凛と正邦のスタメンがセンターラインに集まる。



アナウンス「それではこれよりAブロック準決勝第一試合、誠凛高校隊正邦高校の試合を始めます」



ジャンプシュートの定位置へセットする。



火「(………オレはバスケ嫌いになったりとかはねーし。全部は理解できねーけど…最後の言葉だけはわかったぜ」





『だから…改めて思います』





リ「さぁ…行くわよ!死にもの狂いの対王者二連戦!最初の王者正邦!!」



ジャンプボールのボールが高く上げられる。





『この試合絶対…勝ちたいです』






火・岩「おお」



火神と岩村がボールに向かってジャンプした。



誠凛vs王者正邦の試合が始まった。





『改めて思いました』完