大丈夫です

笠「ったくテメーがちんたら飲み物とか言ってっから始まってんだろが!」

黄「いて!」



会場には黄瀬と笠松が到着し、観客席から誠凛の試合を見た。



黄「…え?」



得点を見て黄瀬は驚いた。





誠凛 正邦
 0―12



黄「12対0!?えええ〜!?オイオイマジかよ」



ちょうどその時、コートでは火神がボールを持った。
しかし、津川がディフェンスがつき、とてつもないプレッシャーに火神はたじろぐ。



観「うおお、すげぇ圧力!!なんだアイツ!?」

火「(コノヤロ…!!DVDで見たけど生だとここまでかよ!?マジDFだけなら黄瀬並だ!!)」

津「…ははっ」



津川はうれしそうに笑っていた。



伊「火神持ちすぎだ!よこせ!!」



伊月が攻め込めない火神に見かねてボールをもらいに行く。
火神は津川に背を向け、ブロックしながら伊月に手渡した。

伊月のディフェンスの春日は、先読みして先回りする。
しかし伊月は裏をかき、逆方向に行きぬいた。



春「およっっ!?」



そしてそのまま伊月はフリーでレイアップシュートの態勢に入った、



伊「もらっ…」



しかし伊月の横から手が伸びてきて、シュートをブロックされた。
ブロックしたのは岩村だった。



伊「(完全フリーだと思ったのに…いきなり現れやがった!!)」

岩「甘いな、その程度の攻めでうちのDFは崩せない」

日「(守り固ってぇ…!!やんなるぜ、さすが東京最強の壁…ちょっとやそっとじゃヒビも入んねー!!)」

観「まだ誠凛点が獲れない!!」

観「すげぇえ」



津川のディフェンスに観客も沸く。



黄「なにやってんスか、も〜」

笠「んーこの前やって思ったけど、誠凛は基本スロースターターっぽいな。けどそこでいつも初っぱなアクセル踏み込むのが火神なんだが…そいつがまだこねぇからなおさら波に乗れてねー」





誠凛のオフェンスで通常通り火神のディフェンスは津川だ。



8「おい津川。ハリキるのはいいけど後半バテんなよ!」



正邦の8番の選手が津川に話しかけた。



津「大丈夫っスよー、思ったほどじゃないんで!」



津川の言葉に火神がキレた。



火「なんだとテメッ…」

津「ったっ」



火神は無理やりドライブしようとして、津川にぶつかった。
その瞬間、笛が鳴った。



審「チャージング!白10番!!」

火「なっ…」



誠凛ベンチではリコがキレかかっていた。



リ「あのアホは〜どんだけ頭に血が昇りやすいの!?」

小金「火神ー!!落ち着け!!」



雪乃が心配そうに火神に駆け寄ってくる。



『火神君、もう2コ目です』

火「……わってるよ!!(それだけじゃねー。やっぱコイツらの動き…なんかすげーやりづれー)」

日「(マジかよ、火神を止められるのなんて『キセキの世代』ぐらいだと思ってたのに…)」

リ「(パスもろくに出せないなんて…雪乃ちゃんとの連携もほとんど使えない!?)」



日向とリコもディフェンスの厚さに驚く。
伊月が雪乃にパスを出した。
雪乃はそのままタップパスを出そうと手を振りかぶるが、そこで気づいた。

パスコースが全員塞がれてしまい、だれにもパスが出せない状態だった。
慌てて雪乃はボールを持つ。



リ「(まただわ。パスコースがない…!!)」



リコは唇をかみしめた。



笠「正邦のDFはマンツーマン。…が、並のマンツーマンじゃねー。常に勝負所みてーに超密着でプレッシャーかけてくる。ちょっとやそっとのカットじゃ乗り切れねー。
いくらパスがすごくてもフリーがほとんどできないんじゃ威力半減だ」

黄「DF厳しいのはわかったスけど、んなやり方じゃ最後まで体力保たないっスよ」

笠「あいつらは保つんだよ。なぜなら」



そのとき、ブザーが鳴った。



オフィシャル「誠凛タイムアウトです」



リコがたまらずタイムアウトをとった。





『大丈夫です』