心配すんな

審「OFファウル!!白10番!!」

火「なっ」



オフィシャル席から4の数字が書かれた札が挙げられる。



観「4つ…」

観「うわぁあ4つ目だー!」

観「誠凛のスコアラーがファウルトラブル!!」

観「まだ第2Qだぞっ!!?」

火「(こいつ…わざと…!!)」


悔し気に火神は津川を見ると、津川は不気味に笑っていた。



黄「バッカ…!!何やってんスか、もー」

笠「こりゃひっこめるしかねーな。残り一つじゃビビッてまともにプレイはできねー」

リ「バッカたれ」



リコも呆れていた。
雪乃は何も言わずにただ火神を見つめていた。

オフィシャル席に交代を申し出ているところを見た火神は焦った。



火「大丈夫すよこんぐらいっ!もうファウルしなきゃいいんだろ?いけます!」



火神の言葉に日向はため息をつく。



日「ま、ちょーどいいわ。オマエと雪乃はどーせひっこめるつもりだったからな」

火「…え?」

『………私もですか?』



日向の言葉に拍子抜けする雪乃と火神。



日「最初から決めてたからな。お前ら二人は前半までって」



正邦のビデオを見た時から決めていたようだ。



日「まぁ心配すんな。正邦はオレ達が倒す」



リコを含めた二年生の目には強い意志が感じられた。



火「そんな、なんでだよ…ですか!オレと雪乃が前半までって…」

日「理由はまぁ二つ…かな。一つは、緑間を倒せるのはお前ら二人しかいないからだ」



雪乃と火神は緑間を思い出す。


日「もしこの試合勝ったとして、秀徳に勝つには緑間攻略が必須条件だ。けど秀徳は予想通り、すでに緑間を温存している。消耗したお前らじゃ勝てない。この試合、二人がフル出場すれば正邦に勝てる可能性は上がる。
が、次の秀徳に勝てる可能性はない。二人を温存すれば正邦に勝てる可能性は大幅に下がる。…が、決勝リーグへ行ける可能性が数%残る」

火「いや疲れてても何とかして…緑間倒してみせますよ!それに」

『火神君…言う通りにしましょう」

火「なっ?」



未だに納得しない火神を雪乃が止めた。



『私は先輩達を信じます。それに大切なのはきっと…もう一つの理由の方です』

火「……!?」



雪乃は二年生の思惑を理解している様子だった。





その時、ブザーが鳴る。



オフィシャル「誠凛メンバーチェンジです!!」

伊「ったくバクチもいいとこだよ」

土「いやーひっさしぶりだわ出るの」

小金「んじゃいーとこ見せちゃおーぜ!土田(ツッチー)!!」



雪乃と火神と交代するのは小金井と土田であるようだ。



火「…ヤバくなったら出ます!」

小金「4ファウルが何言ってんだ!!」



雪乃は土田と、火神は小金井とハイタッチをして交代した。



8「…二人?」

7「一年両方ひっこめてきたか」



正邦の選手は不思議そうにしていた。



津「あーらら!いなくなっちゃったか〜。まぁちょっと物足りないけど…いっか!」



津川は日向のディフェンスにつきながら、声をかけた。



日「最近の一年はどいつもこいつも」



日向はため息をつく。



日「ガタガタうるせぇぞ茶坊主が。今からお前に先輩への口のきき方教えてやるハゲ」

津「ちゃぼっ…!?」



日向はクラッチタイムに入っており、津川は恐怖で体が固まった。



高「なんか向こうのコートが…ん?」



反対側のコートでベンチにいた高尾が誠凛のコートを見て気付いた。



高「オイオイ、誠凛一年コンビひっこめちまった。勝負投げんのか?」



高尾の言葉には答えずに緑間はじっと誠凛の試合を見ていた。
誠凛のコートでは日向がドリブルでゴール下に切り込む。
しかし、岩村もヘルプに入り、津川と二人でブロックするために飛んだ。



緑「…いや、むしろ逆だ。あの眼は、勝つ気だ」



日向はフリーになった水戸部にパスを出し、水戸部はダンクを決めた。
水戸部がダンクができることに驚いた火神だった。





誠凛 正邦
30−31





岩「さっきの話聞こえたが、まさか秀徳に勝つつもりとは…ウチもなめられたものだな」

日「あぁ、あんなん建前っすよ。もう一つの理由が本音だけど別に大したことじゃないんで。雪辱戦に一年頼って買っても威張れないじゃないですか……とどのつまり」





日「先輩の意地だよ」





『心配すんな』完