勝つために

リ「伊月君は見えるのよ。『鷹の目(イーグルアイ)を持ってるからね!」

火『「……!?」』

リ「彼は身体能力は恵まれてないけど、頭の中で視点を瞬時に変えられる。つまり物をいろんな角度から見られるから、常にコート全体が見えてるのよ。
大丈夫って言ったでしょ。日向君たちは万能じゃないけど、みんな一つは特技を持ってる。しかもそれを一年間磨いてきたのよ」



そのころ伊月はダジャレを言うが、日向にタヒねと言われショックを受けていた。



降「やっぱスゲェっす、先輩達…じゃあ小金井先輩と土田先輩も…!?」

リ「え…うん」



降旗の問いに歯切れが悪く答えるリコ。
その時、小金井がシュートを打った。



小金「うりゃー」

リ「小金井君は全範囲(オールレンジ)からシュートが打てるわ」

降・河「おお」



しかしシュートは外れた。



リ「けど成功率はそこそこ」

火「それけっこー普通じゃん!?」



火神の言葉にショックを受ける小金井。



リ「ちなみに土田君はリバウンドが得意」









どんどん試合は進む、今は第3Q残り2分11秒。





誠凛 正邦
49−54



誠凛のオフェンス。
小金井がドリブルをしていると、正邦の7番にドリブルをカットされてしまった。
ボールはサイドラインまで転がってしまう。



7「(…これは出る…!!)」



7番がルーズボールを諦めていると、小金井が後ろからボールに向けて走り出した。



7「なっ」

小金「とぉ、はっ、ん!?んぎゃー」



サイドラインを超える前に、何とかボールに追いつきボールをコートに返すが、勢いがつきすぎていて小金井は誠凛ベンチに飛び込んでしまった。



リ「小金井君!大丈夫…じゃなーい!?わあぁ、目ぇ回してる!?」



小金井は目を回して気絶していた。





リ「オイ小金井君!!小金井君!!」



審判の笛が鳴り、試合は一時中断された。



リ「軽い脳震盪だと思うけど、交代しかないかも…」

火「じゃあオレを出してくれ!…ださい!」

日「何言ってんだ、オマエはダメだ。その元気はなんのためにとっといてるか忘れたんか、だアホ!ちゃんとけりつけてくっから待っとけ!」

火「だからってやっぱジッとしてるなんてできねーよ!何か先輩たちの力に…」

『私もそう思います。だから4ファウルの人はすっこんでいてください」

火「ぶ」



日向に言われてもなお食い下がる火神に、雪乃が左手で火神の顔を抑えた。



火「なんだと雪乃、テメッ」



火神は雪乃の胸ぐらをつかむ。



『でても津川君にまたファウルしたら即退場じゃないですか』

火「しねーよ!ってかだからオレは津川にも仮があるんだよ!!」

『…じゃあ津川君は私が代わりに倒しときます』

火「なぬっ…」

『大丈夫です。火神君はゆっくり次の試合に向けて休んでいてください。勝ちますので』



雪乃の笑顔に何も言えなくなる火神だった。



日向はスコアを見る。
今は第4Q残り4分51秒。



誠凛 正邦
58−64



日「(あと5分…6点差か…)わかった…じゃ、一年同市津川は頼むわ、雪乃」



交代のブザーが鳴り、主人公はコートに入る。
津川は信じられないというように目をこすった。



津「あっれ…てっきり火神が出ると思ったのに。なんだー君だけ?火神とやりたかったんだけどなー」

『すみません、力不足かもしれませんが、借りがあるそうなんで返しに来ました。代理で』





『勝つために』完