オシャカにしたんで

誠凛 正邦
58−64





津「ははっ、火神の借りを…!?大室さん!マーク変わってもらえないですか?」



津川は正邦の8番の大室に話しかける。



大室「はあ?なんでだよ」

津「いやぁ、なんか代理人が返済に来たらしーんで!」



誠凛のオフェンス。
雪乃のディフェンスは津川がついている。



津「火神でないでキミだけってのはビックリしたけど、結局一年生出てくるなんて、やっぱ誠凛の先輩達ってちょっと頼りないね!」

『?』

津「だってキミら二人ひっこめたのは先輩の意地だってさっき言ってたよ。…で今キミいんじゃん」



雪乃は黙って津川の話を聞いていた。



『出してほしいといったのは私の方です。そもそも今までの試合ぶりを見てそんなこと思えるはずないです』



雪乃は先ほどの二年生達のプレーを思い出した。



『先輩には先輩の意地があるなら、後輩にも後輩の敬意があります。尊敬する先輩を支えるためにも私はキミを倒します』

津「ふーん」



津川は話すのをやめ、ディフェンスに集中する。
しかし津川の目が見開かれた。
津川の目の前にいたはずの雪乃が消えていたからだ。



津「はぁっ…!?(見失っ・・・なんで!?今いつの間に…!!?)」



津川が見失っている隙に、伊月からのパスをゴールした付近からパスを出す雪乃。
パスをもらった日向はレイアップシュートを決めた。



観「うぉおおまた来た!!」

観「誠凛の魔法のパス!!!」

岩「(…どうなってる!?確かにあのパスは脅威だ…!!が、もらう方もDFをかわせるようになってきている!?)」



正邦のオフェンスになり、大村が春日にパスを出す。
しかし、日向がパスカットをした。



岩「なんだと!?(パスカット…!!?まさかコイツら…)」



ターンオーバーになり、雪乃が水戸部にパスを出し、シュートが決まった。



火「(そういえばベンチから雪乃見るのは初めてだな…あんな細ぇ体で動き回ってんだな)すげ…え」



火神は雪乃のプレーに呆気に取られていた。
それ見たリコはにやりと笑った。





リ「何今頃言ってんのよ!いつもこんなもんよ!」



また雪乃を見失った津川は焦っている。



津「なんだよコレ…」

大室「く…!?なんでだ…!?コイツら…ウチの動きを完全にとらえてる…」



監督の秋元は床に胡坐をかき、考えている。



秋「やられたぜ……ここまでウチを研究してきたトコは初めてだわ」

日「おかげさまでDVDデッキ一個オシャカにしたんで……」

岩「……!!」

春「まいったね、どーも」



正邦の選手全員は驚いていた。



笠「古武術ってのはその名の通り、古の技。現代のスポーツ科学とは考え方が全く違う。それをバスケに応用した特殊の動きが正邦の強さだ…が」

リ「特殊ってことはクセがあるってことよ!そのクセから次の動作を予測するために、今までの試合全てDVDがすり切れるぐらいみたからね」



二年生はスカウティングをした時に、徹底的に正邦を研究していたのだ。



日「つっても対応できるようになったのは後半からだけどな…」

伊「実際クセっていうほどあからさまなもんざねーし。クセに苦戦…」

土「……だよな〜」



試合は流れ、土田のシュートが入った。



観「逆転…!!?マジか誠凛…追いついた…!!」





誠凛 正邦
70−69





残り25秒



笠「けど…時間ねぇ…ここは是隊とられるわけにはいかねーぞ」



正邦のディフェンス。
誠凛は点を取られまいと必死にディフェンスをする。
しかし、岩村が水戸部と日向の上からダンクを決めた。



残り15秒





誠凛 正邦
70−71



日「ぐっ…!!」

岩「王者をなめるなよ!!キサマらごときが勝つのは10年早い!!!」



正邦はコートの前線でディフェンスをして、誠凛にプレッシャーをかけてきた。



リ「なっ…!?オールコートマンツーマン!?」

笠「守るどころかもう1ゴール獲る気だ…!!」





『オシャカにしたんで』