黒子は私です
それからも雪乃は次々とパスで味方をアシストしていく。
一「どーなってんだ一体!!?」
一「気がつくとパス通って決まってる!?」
リ「(存在感のなさを利用してパスの中継役に!?しかもボールに触ってる時間が極端に短い!!…じゃ彼女はまさか…元のカゲの薄さを…もっと薄めたってことー!?」
『ミスディレクション』
手品などに使われる人の意識を誘導するテクニック
ミスディレクションによって自分ではなくボールや他のプレイヤーなどに相手の意識を誘導する。
つまり―――
彼女は試合中『カゲが薄い』と言うより、もっと正確に表現すると自分以外を見るように仕向けている。
火「(これが黒子の…!!)」
リ「(元帝光中のレギュラーでパス回しに特化した見えない選手…!!噂は知ってたけど女の子でしかも実在するなんて……!!『キセキの世代』幻の6人目!!)」
全員が雪乃に気を取られてる中、火神にパスが渡った。
土「あっ!!」
日「(しまっ…黒子のパスに気をとられすぎた…!!)火神!!」
火神はジャンプシュートを決める。
一年ー二年
36−37
一「うわぁ!!信じらんねェ!!1点差!?」
日「ったくどっちか片方でもシンドイのに…(二人組んだ時のこの獰猛さは手がつけらんねーな)」
雪乃と火神に二年生は手を焼いていた。
小「っち!!」
日「バッ…」
小「しまっ」
小金井は苦し紛れにパスを出したが、雪乃にカットされた。
一「うぉお」
一「いけぇ黒子!!」
雪乃はドリブルで運び、レイアップシュートを打った。
一「勝っ…」
しかしそのシュートは外れてしまった。
一年は愕然とする。
火「……だから弱ぇ奴はムカツクんだよ。ちゃんと決めろタコ!!!」
その後ろから走って来た火神がリバウンドを取りそのままダンクを決めた。
雪乃は小さく微笑んでいた。
一「うわぁあああ!!」
一「一年チームが勝ったぁ!!?」
体育館には驚きの声が響いた。
日「ははっ(まあ…味方なら頼もしい限りってことか…)」
一年対二年の試合は一年チームが勝利をし、幕を閉じた。
一年対二年の試合後―――
また火神はマジバで大量のハンバーガーをもって席に座っていた。
火「…なんでまたいんだよ…」
『私が座ってる所にキミが来るんです。好きだからです、ここのバニラシェイク』
さらに目の前には雪乃が座っている。
火「どっか違う席行けよ」
『いやです』
火「仲いいと思われんだろが…」
『だって先座ってたの私ですもん』
火神はイラついていたが、ふと気づく。
雪乃はバニラシェイクを咥えながら火神を見ているため、若干上目遣いだった。
あまりの可愛さに火神は顔を真っ赤にさせてそっぽを向く。
『?どうしました?』
火「(なんで俺胸を高鳴らせてんだ?顔が熱い…)」
ぶんぶんと頭を振ると火神はハンバーガーを口に含み雪乃を見る。
火「…ホラよ」
『?』
火「一個やる」
火神は雪乃にハンバーガーを一個投げ渡した。
火「バスケ弱い奴に興味はねー。が、オマエのことそれ一個分は認めてやる」
『…どうも』
雪乃は何とも言えない表情になった。
火神がハンバーガーをすべて食べ終わると、二人でマジバを出る。
火「………『キセキの世代』ってのはどんぐらい強−んだよ?」
『?』
火「じゃあオレが今やったらどうなる?」
『…瞬殺されます』
火「もっと違う言い方ねーのかよ…」
雪乃は静かに語り始めた。
『ただでさえ天才の5人が今年それぞれ違う強豪校に進学しました。まず間違いなくその中のどこかが頂点に立ちます』
火「…ハッハハハ。いいね火ぃつくぜそーゆーの…決めた!そいつら全員ぶっ倒して日本一になってやる」
火神の言葉に雪乃は目を見開く。
『ムリだと思います』
火「ぅおい!!!」
『潜在能力だけならわかりません。でも今の完成度では彼らの足元にも及ばない。一人ではムリです』
『一人では』という部分を強めに言う雪乃。
『…私も決めました。私は脇役(影)だ。…でも影は光が強いほど濃くなり、光の白さを際立たせる。主役(光)の影として私も主役(キミ)を日本一にする』
火「…ハッ、言うね。勝手にしろよ」
『頑張ります』
雪乃はニコリと火神に笑った。
火神は雪乃の笑顔に再び顔を真っ赤にした。
火「(なんだこの気持ち…)」
光と影の出会い…
『黒子は私です』完