百戦錬磨だ
火「どーゆーつもりだ?高尾がいくら速ぇかってそーゆー問題じゃねーぞ、雪乃は」
緑「雪乃の力など百も承知だ。…すぐに分かるのだよ」
高尾はニッと笑う。
高「しかしまさかこんな早く対決できるとはねー。初めて会った時から思ってたんだよ。俺とお前は同じ人種だって。同じ一年だし?パスさばくのがスタイルっつーか、生業の選手としてさ。だからねー、ぶっちゃけなんつーの?アレ…同族嫌悪?まぁ顔は嫌いじゃねーけど。
お前には負けたくねーんだわ!なんか。ってか今まで、こんな感覚になったことねーんだけどな。お前がたぶんどっか他と違うからじゃね?」
『すいません、そーゆーこと言われたの初めてで…困ります』
高「えー」
雪乃は高尾の言葉に困った表情を浮かべる。
『…けど私にも似た感覚はちょっとあります』
高「いーね、マンマンじゃん。やる気……て、んがっっ!!?」
先ほどまで高尾と喋っていた雪乃は、高尾の目の前から消えた。
高「(ちょっと待て〜い!!いきなり姿くらますってどんだけ礼儀知らずだおまー!!)」
高尾を振り切った雪乃は、フリーになった日向にパスを出そうと腕を振りかぶる。
小金「日向フリー!!いけー!!」
緑「残念だな雪乃」
高「なーんてな*」
雪乃を見失ったと思われた高尾は、雪乃の目の前に現れ日向のパスをカットした。
雪乃は目を見開く。
火「!!(……マジかよ!!?)」
日「雪乃のパスが……!?」
水「………」
リ「失敗!?」
雪乃だけでなく、誠凛側も驚愕する。
その隙に秀徳は速攻でシュートを決めた。
日「アイツの失敗なんて初めてじゃ…」
伊「いや、たぶん失敗じゃない…アイツも持ってるんだ。オレの鷲の目(イーグルアイ)と同じ…いや、視野の広さはオレより上の鷹の目(ホークアイ)を」
日「なっ…!!」
伊「雪乃の使うミスディレクションは雪乃を見ようとする視線をそらす。だが、ホークアイは全体を見る能力。雪乃一人を見ようとしていない。
つまり高尾には、雪乃のミスディレクションが効かない」
3:44
誠凛 秀徳
8 11
オフィシャル「誠凛、タイムアウトです」
たまらず誠凛側はタイムアウトをとったが、初めての経験のため誰も口を開こうとしない。
日「(まさか雪乃をとらえるなんて……)」
リ「(まさかあんな天敵がいるとはね…ぶっちゃけ…ピンチだわ)」
そんな誠凛ベンチを高尾とは見ていた。
高「あーらら、誠凛困っちゃったねー」
緑「気を抜くな。アイツはこれで終わるような奴じゃない」
高「大丈夫だって!カゲの薄さとったらただの女の子だろ?」
緑「……オレが雪乃のことをなぜ気にくわないか分かるか?」
高「え?それは好きな子ほどなんチャラとかじゃなくて?」
緑「違う!!」
緑間は慌てて否定をする。
緑「それは雪乃のことを……認めているからだ。身体能力で優れている所は一つもない。一人では何もできない。にもかかわらず、帝光でオレ達と同じユニフォームを着てチームを勝利に導いた。
アイツの強さはオレ達とはまったく違う。異質の強さなのだよ」
緑間は珍しく饒舌に語る。
緑「だから気にくわん。オレの認めた女が力を活かしきれないチームで望んで埋もれようとしているのだから。だがオレも負けるわけにはいかないのだよ。このTO後からは本気で行く」
火「カントク、このまま行かせてくれ…ださい」
誰も口を開かなかった誠凛ベンチでは火神が沈黙を破った。
火「オイまさかオマエ、このままやられっぱなしじゃねーだろーな」
火神は隣に座っている雪乃の頭をつかむ。
『まぁ…やられっぱなしはちょっとやです』
火「…ハッ、じゃーひとまず高尾は任せた。こっちもアイサツしよーか。新技もあるしな」
緑「目を覚ましてやろう。雪乃の知らない新しい能力(ちから)で」
(名前)VS高尾
火神VS緑間
『百戦錬磨だ』完