そんなもんじゃねえだろ
緑間の最期のシュートに会場は騒めいていた。
オフィシャル「第1Q終わりです。インターバル2分入ります」
誠凛 秀徳
14 21
誠凛のベンチは精神的にも身体的にも疲労困憊している様子だった。
リ「(あんなの決めるフツー!?点差以上にキッツイのもらったわね…)雪乃ちゃん…あれ…昔から?」
『いえ、私の知ってる彼の距離はハーフラインまでです。あんな所から打てるのは初めて知りました』
伊「レブロンが練習で決めてる映像は見たことあるけど、試合中に狙ってとかありえないぞ」
日「冗談きっついぜ…『キセキの世代』」
小金「てかあんなん…どーやって止めんの?」
それぞれ緑間のシュートに困惑していた。
リ「…確かにとんでもないシュートだけど、打つ手がないわけじゃないわ!とにかく緑間君を止めるわよ!雪乃ちゃん!しんどいかもだけど、もう少しヨロシク!」
中「まぁ…たぶんねー、あちらさんはまずなんとか緑間止めにくるよね、うん…」
誠凛側と違い、秀徳側は落ち着いていた。
中「まぁいくつかパターンあるけど…どーしよっかな、ふーん…んー」
緑「監督…第2Q全部、オレにボールください」
緑間の言葉に大坪の額に青筋が浮かぶ。
宮「カントクー、コイツ轢いていーい?」
木「宮地…軽トラ貸すぞ」
宮地と木村もご立腹の様子だ。
高「ギャッハッ、どんだけ唯我独尊だよ」
ただ一人、高尾だけは大笑いしていた。
緑「どんな手でこようが、全てオレが叩き潰す」
中「ふーん…うん、よし今日のワガママ3回分で手を打とう!」
高「マジすか、監督!?」
大「オマエ…分かってんだろーな…」
キレている大坪の様子に、さすがの緑間もたじろぐ。
大「…監督が言うならしょうがねぇ…前半は好きにしろ。ただし…負けたらただじゃおかんぞ」
その時インターバル終了のブザーが鳴る。
オフィシャル「インターバル終了です」
中「あっ…と、高尾!」
コートに戻ろうとする高尾を中谷は呼び止めた。
第2Qが始まり、今は秀徳ボール。
ボールは緑間に渡った。
緑間はディフェンスの相手を見て、目を見開いた。
緑「!!」
ディフェンスの相手は火神ではなく、雪乃だったのだ。
春「はぁっ!?」
それには試合を見ていた正邦も驚く。
緑「…フン、この程度の奇策でひるむと思うか」
緑間はあっさり雪乃を抜き去る。
黄「(本当の狙いはこの後っスよ、緑間っち!)」
練習試合で経験がある黄瀬は気づいていた。
狙い通り雪乃は後ろから緑間のドリブルをカットしようとしたが、高尾が雪乃を止めた。
『!!』
高「オイオ〜イ、後ろからとかヤボなことしなさんない」
リ「高尾君のスクリーン!?(読まれてる…!!)」
小金「ダメだ、雪乃が引き剥がされた!?」
『そんなもんじゃねえだろ』