獅子座だよ

オフィシャル「第2Qは終了です。これより10分間のインターバルに入ります」



試合は前半が終わり、インターバルに入る。
外では雲行きが怪しく、とうとう地面に雨粒が落ちるようになっていた。



観「結局ズルズル離されて前半終了かよー」

観「てか終わりだろ。もう帰ろーぜー」



観客の言葉に不機嫌になる黄瀬。



黄「っも〜…根性見せろよ誠凛〜!!」

笠「見せてるよバカ。あんだけ力の差見せつけられてまだギリギリでもテンションつないでんだ。むしろ褒めるぜ」





誠凛 秀徳
27 45



いつの間にか点差は18点ビハインドにまで開いていた。



津「つかこんな差つけられたらウチも弱いと思われんじゃん!!」

岩「だがウチがやっても勝てたかどうか…たった一人の加入がここまでチームを変えるのか…手のつけようのない恐ろしい事だ…『キセキの世代』緑間真太郎」



その時黄瀬のipodが落ちて、電源が入った。



≪…は朝占−い!!≫



その拍子に今朝録画したおは朝占いが流れる。



≪みずがめ座のアナタは今日はおとなしく過ごしましょう。一位のかに座のアナタは絶好調!!ラッキーアイテム狸の信楽焼きを持てば、向かう所敵なし!!…≫



外はこれからの出来事を表しているかのように、大降りの雨が降っていた。





秀徳控え室―――



中「うん…んー、55…いや、んー…まいっか、おまけだ。60点、かな。実力通りの展開だ。悪くない。が、よくもない。走って帰るか!」

高「ゲ!!」



点差が開いているのに酷評の中谷。



中「とりあえず向こうはまだ諦めていない。後半は大坪も積極的に攻めろ。とどめを刺す。以上!」



そんな中、緑間は自分の左手の爪をやすりで削っていた。



高「オーイ、監督の話聞いてたか?てか何してんの?」

緑「見たままなのだよ。ツメを整えている。オレのシュートタッチはツメのかかり具合がキモなのだよ。聞いていたさ、とどめを刺すのだろう?」

高「(そのためにさらに普段はテーピングで保護…こだわり通り越して執念すら感じるね。オマエのシュートは落ちねーよ)」





木「いてっ」



木村が何かに躓いた。



木「ずっと思ってたけどなんなんだよこの狸!!」

緑「ラッキーアイテムです。おは朝の占いは外れたことがない。運勢ラッキーアイテ、その日の他の星座との相性…」

木「知ってどーすんだよ!!」

宮「もう割れば?割ろう!」



木村と宮地は怒りを堪えていた。





誠凛控え室―――



秀徳の控え室とは打って変わって、誰も口を利かない。



リ「………(誰も喋ろうとしない…どうしよう…何か言ってみんなを鼓舞しないと…何か…この前の試とかなんて……正邦…チュー……チュー!?)」



そこでリコは正邦の試合前に自分で言った言葉を思い出した。



リ「(チュー!?するって言っちゃったわつい!そういえば!!どうしよう。もし同じパターンはないよね…?……いや逆に!?でもそしたらチュー以上!?バカな!!……だが…)…みんなあのね…」

日「カントクいいよ!」

リ「え?」

日「どうせなんかバカなこと言うだろ」

リ「う」

日「(元気づけようとしてくれるのは嬉しいけど、正直…勝てるイメージがねーよ…)」



雪乃は一人、ビデオカメラを見ていた。



伊「雪乃何してんの?」

『前半ビデオ撮っといてくれたそうなので高尾君を』

伊「!なんか勝算あるのか?」

『え?さぁ?』

伊「は?」

『『勝ちたい』とは考えます。けど『勝てるかどうか』とは考えたことないです』



雪乃の答えに火神はじっと見つめていた。



『てゆーかもし100点差で負けたとしても、残り1秒で隕石が相手ベンチを直撃するかもしれないじゃないですか。だから試合終了のブザーが鳴るまではとにかく自分の出来ることを全てやりたいです』



一瞬の沈黙が流れる。



日「…いや落ちねぇよ!!!」

『え?』

日「隕石は落ちない!!てかすごいなその発想!!」

土「いや…でも全員腹痛とかは…」

伊「つられるな!それもない!!」

小金「まーねー、それに比べたら後半逆転するなんて…全然現実的じゃん!!」

日「とにかく最後まで走って…結果は出てから考えりゃいーか!!いくぞ!!」

誠「おお!!」



外の雨は激しさを増す一方だった。





『獅子座だよ』