『勝利』ってなんですか

火「うるせーよ!!この程度で負けてたまるか!!」



火神は自分ひとりでゴールにドリブルで迫る。



日「(強引すぎる!!…ってか、まだ早ーよバカ!!)火神待て!!」



火神の前には味方がだれもおらず、日向が止めに入るが遅かった。
火神のシュートは緑間にブロックされる。
そして一気に秀徳のカウンターにあう。



観「うわぁあカウンター」

観「いくらなんでもムチャしすぎだよアイツ」



木村がレイアップシュートを決める。



火「くそっ」



火神の行動に雪乃は怪訝そうな顔をしていた。



そこでタイマーのブザーが鳴り響く。



オフィシャル「第3Q終了です」



誠凛メンバーはベンチに戻る。
火神は苛立っている様子だった。



火「くそ」

伊「火神、熱くなりすぎだ。もっと周りを見ろよ」

日「そうだ、それにさっきのは行くとこじゃねーだろ!一度戻して…」

火「戻してパス回してどうすんだよ」

日「あ?」



火神の言葉に日向も疲労もあり苛立ってくる。



火「現状秀徳と渡り合えるのはオレだけだろ。今必要なのはチームプレーじゃねー。オレが点を取ることだ」

日「オイ、なんだそれ。それと自己中は違うだろ」



日向がとうとう怒りが頂点に達し、立ち上がる。
すると火神の前に雪乃が立った。
そして、火神の頬を思いっきり拳でぶん殴る。

突然殴られたことに火神は目を見開いた。
もちろんほかの誠凛メンバーも驚愕する。



リ「雪乃ちゃん!?」



さらに怒りに火が付いた火神は雪乃の胸倉をつかんだ。






火「雪乃テメェ!!」

『バスケは一人でやるものじゃないでしょう』

火「みんなで仲良くがんばりゃ負けてもいいのかよ!?勝たなきゃ何のイミもねぇよ」

『一人で勝ってもイミなんかないだろ。『キセキの世代』を倒すって言ってたのに、彼らと同じ考えでどうすんだ」



雪乃は珍しく強い口調と眼差しで火神を見る。



降「(今の…雪乃!?)



いつもと違う雰囲気の雪乃に圧倒されている降旗。



『今のお互いを信頼できない状態で仮に習得を倒せたとしても、きっと誰も嬉しくないです』



雪乃の言葉に火神は雪乃を殴る。


火「甘っちょろいこと言ってんなよ!そんなん勝てなきゃただのキレイ事だろーが!!」

『…じゃあ『勝利』ってなんですか』

火「なんっ…!?」



火神は言い返そうとしたが、言葉に詰まる。
なぜなら雪乃の目から一筋の涙が流れていたからだった。



『試合終了した時、どんなに相手より多く点を取っていても、嬉しくなければそれは『勝利』じゃない…!』



雪乃の涙と言葉に火神は目を見開いた。



小金「…別に負けたいわけじゃないって!ただ一人できばることはねーってことだよ!」

日「つかなんか異論…あるか?」

火「そんなん…ねぇ…いや…悪かった。勝った時、嬉しい方がいいに決まってるわ」



そう言った火神は、いつもの火神の表情に戻っていた。
それに誠凛メンバーの表情も和らぐ。



日「さーて、雪乃のおかげで火神の頭が冷えたのはいいとして、ピンチは変わってねーけど…どうする?」



誠凛 秀徳
47 61





スコアは14点ビハインド。

雪乃は涙をぬぐい、Tシャツを脱ぎユニフォーム姿になる。



『すいません、一つ…今なら使えるかもしれません。私にできるのはボールをまわすだけです…けど、もう一段階上がります』








あなたが変わってしまったとき、光(あなた)と影(私)がちぎれてしまったとき…

火神君とおなじようにちゃんと向き合っていれば、あなたは変わらなかったんですか?

あの時私はみんなが…あなたがこれ以上離れていってほしくなくて

変わってほしくなくて…

逃げ続けていた。





でももう逃げない

もう後悔はしたくないから…





『『勝利』ってなんですか』完