それが人事を尽くすということだ

2:56
誠凛 秀徳
74 78





観「残り3分!!」



誠凛ボール。
雪乃は伊月からもらったパスを水戸部にタップパスをする。



高「(いつの間にあんなとこに…!?もうワケがわかんねー!!)」



水戸部がゴール下でシュートを決め、とうとう2点ビハインドになった。



観「おおお、来たぁ!!残り2分」

観「誠凛ついに1ゴール差まで…」

オフィシャル「秀徳高校タイムアウトです!!」



とうとう誠凛の勢いに耐え切れず、中谷はタイムアウトをとる。



岩「最後のT・Оか…流れは今、誠凛だ。気を抜けばいつ追いつかれてもおかしくない」

笠「秀徳が突き放すか、それとも誠凛がおいすがるか。分かれ道のT・Oだ」



秀徳のメンバーはベンチに座り、中谷の話を待つ。



中「残り2分、ここからはすべて緑間でいく。向こうの10番(火神)は完全にガス欠だ。3Pでねじふせろ」



今回の中谷の指示にはだれも異議はない様子だった。



中「行け」



それだけ言って秀徳のメンバーを送り出した。



秀「監督…この場面で一年にやらせるのは…大坪さん達だって…」

中「緑間が入る時に言ったはずだよ。大坪達上級生が血のにじむような努力をしてきたことなど、百も承知だ…それでもこれから3年間、全ての中心は緑間だ。『キセキの世代』を獲得するとはそういうことだ」



タイムアウト明け、秀徳ボールから試合は始まる。
木村が火神にスクリーンをかけ、緑間をフリーにさせた。



火「……っ」

降「やばい緑間だ!!火神はもう限界なのに!」



宮地が緑間にパスを出す。
しかし、リコは怪しげに微笑んでいた。



リ「そうくると思ったわ!雪乃ちゃんが機能した時の凄さは、チームの攻撃力アップの他にもう一つある…」



しかし宮地のパスは緑間に届く手前で、雪乃にカットされた。
それに緑間も宮地も目を見開いた。



宮「(いつの間に…てか今までどこいたんだ、オマエ!!)」

リ「スティールも増えるのよ(火神君のハッタリがばれれば緑間君にパスは集中する…パスの場所を教えてるようなもんよ!!)」



雪乃から伊月、そして日向にパスが通る。



観「うわぁあ誠凛カウンターだ!!」



日向の前にはだれにもいなく、誠凛ゴールがあるのみだった。



日「もら…」



そのまま日向はフリーでレイアップシュートのた制に入ろうとする。





実力が全てなのはわかっている

それでも最後に頼るのが一年坊主というものは、気分がいいとは言えんな…



オレ達上級生にもプライドはある

宮地も木村も人一倍練習を積んできた



だがそれ以上にオレ達レギュラーは

努力が実らず、ベンチに入れなかったあいつらの代表だ









大坪は日向のレイアップをブロックした。



日「うぉっ!?」





王者に最も必要なプライドは…



勝つことだ!!





中「緑間でいくってのはね、つまり同時に残りの四人はとにかく守れってことだ。11番(雪乃)が高尾を破り、さらに10番(火神)のダンクで息を吹き返した。誠凛の勢いはあなどれん。ムキになって点の取り合い(ランガンゲーム)をしては、向こうのペースに巻き込まれる恐れがある。
溜めて溜めて…一瞬のスキに緑間の3Pで首を落とす」




外では再び大雨が降りだした。



モ「あれー、また雨だ。しかもどしゃ降り」

モ「さっきやんだのにな…」



試合は均衡状態に入ってしまっていた。



黄「なんか…ブキミっスね。残り3分、もっと激しくなるかと思ったんスけど…」

笠「あぁ…秀徳がペースを落としてから急にスコアが凍りついちまった。残り1分…おそらく」



残り1分を切った。



笠「動き始めたら一気だ…!!」



とうとう緑間にパスが届いてしまった。



火「あっ!!」



そして緑間の3Pシュートは決まってしまう。



観「うわぁあ緑間!!」





0:38
誠凛 秀徳
76 81





リ「5点差!!一気に苦しくなったぞ誠凛!!」

火「くそっ…」





『それが人事を尽くすということだ』