笑わせんなよ

―――翌々日





リ「みんなー、決勝リーグ出場校全部でたわよ!!」



練習の休憩中にみんなを集め、リコは決勝リーグの対戦表の紙をみんなに渡す。



リ「Aブロックは誠凛(ウチ)、Bブロックは桐皇学園、Cブロックは鳴成、Dブロックは泉真館。この4校で代表を争うことになるわ」

日「桐皇と鳴成は…初めて聞くな」

伊「鳴成は知ってる、古豪じゃん」

土「なんか新鮮なリーグ表だなー」

日「去年までずっと東京代表は三大王者で決まりだったからな」



日向の言葉に小金井は気づいた。



小金「…思ったんだけどさー、その王者2校も倒したわけじゃん。今年はもしかして…行けちゃうんでないっ!!?」

伊「あ、コイツ言いやがった!!」

小金「だって桃井ちゃんと青峰がいる王者に負けても残り勝てば…」

リ「…泉真館じゃないわ。あの二人が行ったのは桐皇学園よ」



リコの言葉が静かに響く。



誠「ええ!?」

小金「『キセキの世代』ってみんな有名なトコ行ったんじゃないの?てっきり緑間みたいに王者の所かと…」

リ「桃井ってコの制服見て調べたし確かよ」

日「聞いたことねーよ正直!!」

リ「過去の実績は殆どないけど、最近スカウトに力を入れるようになって、全国から有望な選手を集めてるそうよ。ここ数年で急激に力をつけてきてるみたいね。特に今年のメンツは秀徳と比べてもなんら遜色ないわ」

福「そんな…」

降「センパイ!泉真館はどうなんですか?」

日「当然強い。正邦・秀徳と並ぶ王者だぞ。正邦・秀徳に勝ったとは言え、あくまで実力はこっちが格下だ」



日向の言葉に降旗と福田はショックを受けた。
その時、体育館の扉が開き、火神が入ってきた。



火「ウォース!!」

小金「あ、火神!」

日「おせーよ」

火「すっません、ちょっと掃除長びいて……」

日「ったく…ホラ、リーグ表コピー!」

リ「……ちょいまち」

火「え?」



リコは火神を見て何かに気づき、足の数値を視る。



リ「…火神君、バスケした?」

火「え…いや」

リ「悪化してない…?」

火「いや…その……ちょっと」



火神の言葉にリコがキレた。





リ「こんのっ…バカガミがぁあっっ!!!」

火「すんまっだだだっ!!」



リコはすごい力で火神の頭をつかみ、締め上げていく。



リ「あっれっほっど!言ったろーが!!その耳は飾りか!空いてんのは穴か!?ただの!!」

火「いててて」

リ「とりあえず保健室でシップもらってこい!!今日は見学!!ダッシュ…はムリだから!逆立ちで行け!」

火「えっ!!」



火神は保健室に行くため、体育館を後にした。
それを雪乃は静かに見つめていた。



『…すいません、ちょっとお手洗い行ってきていいですか』

伊「あぁ…早くな」



伊月に一言断りを入れて、雪乃も体育館を後にした。
しかし雪乃が向かったのはトイレではなく、火神の後を追った。
火神はリコに言われた通り、本当に逆立ちをして保健室に向かっていた。



『…火神君』

火「黒子…」



火神は雪乃に気づくと、足を下す。



『何かあったんですか?火神君はバカですけど』

火「オイ!!」

『なんの理由もなくムチャするとは思えません』

火「………」



火神は雪乃の言葉に一瞬黙る。



火「青峰とやった」

『!』



青峰という名前に雪乃は目を見開いた。









リ「ったくもー」

日「まあまあカントク…話し戻そうぜ。とにかく初戦は?」

リ「火神君が不可欠だから怒ってんのよ。『キセキの世代』に対抗できるのは彼だけだからね…つまり


初戦は桐皇学園!!いきなり大一番よ!!」





火「そん時アイツはオマエの昔の光だと言ってた。ただ同じチームってだけの言い方には聞こえねー」





青「覚えておけ。アイツは俺のもんだ手ぇ出すんじゃねえぞ」





青峰が最後に行った一言が、火神の脳裏に焼き付いていた。





火「オマエら中学の時…何があったんだよ?」



雪乃の表情は少しの変化ではあるが悲しげに歪んでいた。





『笑わせんなよ』完