前座や

試合当日の朝―――





デジタル時計は7:23と刻まれている。
桃井宅では、シャワー音が部屋に響き渡っていた。

シャワーを浴びていた桃井は、タオルで体を包み、お風呂場から上がる。





『約束します、青峰君に勝つと』




桃井の頭をよぎるのは、雪乃の言葉。
その言葉を桃井は思い出すと、悲しそうにほほ笑んだ。









日向はランニングを行っていた。
息を整えるため、ゆっくり歩きのペースまで落とす。



日「…フーッ(いよいよだな…)」









伊母「決勝リーグ」

伊「え」

伊母「今日からでしょ、すごいわねー」



伊月は自宅で朝食を食べているとき、母から声をかけられた。



伊母「応援行くわね!決勝リーグだからお化粧して!」

伊「…母さん」



伊月はため息をつく。



伊「それ、いただき」









水家「「「いただきまーす」」」

水家「ちょ…それオレの玉子ー!!」

水家「あーもうウインナーねー」

水家「ああ〜〜ん」

水家「みそ汁多い、そっちがいい!!」



大家族の水戸部家では、今朝も朝から大騒ぎだった。
水戸部本人は、家族の朝食をお盆で運ぶ。



水妹「凛兄、いーよー食べな。もうそろそろ行かないと…」









小金姉「遅刻するよバカたれ!」

小金「もーちょい…てか試合は夕方から…夕方からぁ〜」

小金姉「その前に学校あんだろ!!」





小金井家ではまだ寝ていた小金井が姉にたたき起こされていた。









リ父「おい、もう朝だぞ、学校は…て、熱心だな」



リコ家では試合の作戦を練っていたリコの部屋に突然、父が現れリコは肩をビクつかせる。



リ「ちょっ…パパ、ノックしてよ」

リ父「もしかして徹夜か!?いかんぞ美容によくない!!」

リ「でも今日の相手はすごい強いのよ。やりすぎってことは…」



リコはそう言いながらも眠そうに欠伸をする。



リ「…でもさすがにちょっと疲れたも…とりあえずシャワー浴びてくるわ」

リ父「おいリコ!パンツ!忘れとるぞ!!」

リ「はよ出てけ、このエ ロ親父!!」



いつの間にかリコの父の手にはリコのパンツが握られており、リコの鉄拳が父の顔面にヒットする。





土「…忘れ物なし!行ってきまーんっ」



学校へ行こうと家を出た土田は近くにいた猫を見つけ、撫でようと手を知被ける。
が、その伸ばした手を猫にかまれてしまった。



土「いったぁ――――」









ストリートバスケットコートでは、火神が自主練をしている。
火神のジャンプシュートはゴールに吸い込まれていった。



火「(…くねぇ!!痛くねぇぞ!!)」



火神はジャンプをする衝撃でも、痛めている足が痛むことがないことに安心をする。



火「…っし(首洗って待ったやがれ青峰…絶対勝つ!!)」



火神は強く拳を握る。









電車に乗って学校へ向かっている雪乃は、握っている拳を静かに見つめる。
そして拳を下すと、一度目を閉じる。
もう一度目を開くと、そこには強い決心がにじみ出ていた。









学校も終わり、夕方。
決勝リーグ初戦ということもあり、試合会場には多くの人だかりが会場に向かっていた。
そこには秀徳の姿もあった。



高「おーおー、さすがに決勝リーグともなると人の数も違いますなー」

大「高尾、チョロチョロするな」

高「へーい」

宮「あれ?緑間は?」



秀徳の中には緑間の姿はいない。



高「来たくねーらしーっす」

宮「あははーブッ〇ス」

木「悪いウチ、軽トラ壊れたから」

大「まあ今日は見る試合は主に片方だけだからな。C・Dブロックの泉真館対鳴成は正直、まず間違いなく泉真館だろう。鳴成もいいチームだが、王者との差は未だ大きい。決勝リーグの行方を左右するのはまず誠凛対桐皇学園!!」









桐皇学園控え室―――





桃「えー!?青峰君がまだ来てない!?」僕が

桐皇の控室では桃井が顔を青くして叫んでいた。



今「何度かけても電話にも出んのや」

若「…っのやろう…」

桜「スイマセンスイマセン、ボクがふがいないばっかりに…」

桃「ちょっと…私かけてみます!!」



桃井はいったん控え室を出て、青峰に電話をかけ始める。



青〈〈あい?〉〉

桃「出た!!」



電話に出た青峰の声は掠れており、寝起きだということがわかる。





『前座や』