第10番

鎖がなくなったことで女は綺麗なヒレを動かし上へと上がり、顔を水面から出した。

その動作すらも美しい。

女は水槽の淵に両手をかけ、体を出そうとするが動きが止まった。



カ「(どうした)」



カタクリは女の行動に疑問をもち、見聞色の覇気を使い5秒先の未来を視ると、信じ難い光景が映った。

女は俺に横抱きされており、徐々に女の魚のヒレが二股になり人間の足になっていく映像だった。、



カ「!お前どういう事だ、人間にもなれるのか?」

?「!」



女は大きな瞳をさらに大きく見開き、下にいる俺を見た。



?「な、何でその事を」

カ「俺は少し先の未来を視ることができる」



女は少し考えるように眉を顰めた後、決心したのか水槽から体を乗り出し落ちてきた。

未来を視て予測していた俺は、難なく女を横抱きにキャッチする。



カ「(軽いな)」



そう思っていた矢先、女の足は魚のヒレから人間の足へと徐々に変わっていく。

未来を視ていたが改めて眼前で見せられると、表情には出さないが驚く。



?「ありがとうございました、降ろしてください」



女にそう言われ、俺はゆっくりと女を床に降ろす。



『私は父が人間で母が人魚の半人魚なんです。しかも見ての通り陸上と水中では足が変わる特異体質を持っています』



声を震わしながらも女は自分のことを話した。



カ「この事はママに話す。いいな」

?「…はい」

カ「行くぞ」



俺は部屋の出口へと歩き出したが、後ろからドタンという大きな音が聞こえた。

後ろを振り向くと、女が倒れこんでいた。



『あ』



その後も女は何度も立ち上がろうとするが、足に力が入らないのか中々立ち上がれないようだ。

その姿を見て、先ほどと同じように横炊きをして抱き上げ、部屋の出口へと再び歩き出す。

女の体が強張り、あまりこういう経験がないのか女は顔を赤らめてそらした。



カ「(かわいいな)」



初々しい女の姿に俺の胸は高鳴った。



?「…あの、貴方の名前は?」



女が恐る恐る俺の名前を聞いてきた。



カ「(俺の名前を知らないとはな)」



俺は10憶5700万べりーの賞金首で、ビッグマム海賊団の中でも四将星と呼ばれ、名前を知らないものはいないと思っていたが。



カ「カタクリ。シャーロット・カタクリだ」

?「カタクリさん…」



俺の名前を小さな声で繰り返す女。



カ「お前の名前は」

『ユキノです』



これが俺とユキノの出会いだった。





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