第11話

カタクリside―――



ユキノを横抱きにしたまま甲板へと出てくると、兄弟達やチェスの戎兵がざわついた。

まずはママの前にユキノを連れてくる。



マ「カタクリ、誰だい?この小娘は。敵か?」



ママの威圧にユキノは体を震わしている。



カ「敵じゃねぇ。この船に捕らえられていたみたいだ」

マ「捕らえられてただぁ?」



ママの視線はユキノの首輪と、まだある手足の枷に行く。



マ「名前は」

ユキノ「は、はい!ユキノと言います」

マ「なんでお前はこの海賊船に捕らえられてたんだ?」

ユキノ「……私の特異体質のせいです」

マ「特異体質だ?」




ユキノは重い口を開き、自分のことを全部話した。
特異体質のことを話すと、ママの目はどんどん輝いていく。



マ「ママママ!人間になれる半人魚とはね!だが言葉だけじゃ信用ならねぇ。証拠を見せな」



証拠を見せろと言われ、困り果てるユキノ。

海に飛び込めば人魚の姿になることができるが、逃げられては困る。

俺を含め、この中の大半が能力者のため泳げないのだ。

俺は近くにいた戎兵に大きなバケツに水を入れ、持ってくるように指示をした。

すぐに大きなバケツが運ばれてきた。



カ「ユキノ、この中へ入れ」



ユキノはバケツに両足を入れる。



マ「ほぉっ」



するとユキノの足は純白の鱗に覆われるヒレになった。

その姿を見たママは感嘆の声を上げる。



マ「なんて美しいんだい。それにこの容姿。気に入った!お前は俺の国に連れていく!」

『!』



ユキノは驚愕と絶望が入り混じった表情になったのを俺はただ見つめていた。

隠れている俺の口が弧を描いていたのを誰も知らない。





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