第22話

『ジンベエさん!』



後ろから声が聞こえ振り向くと、そこにはジンベイザメの魚人が立っていた。
名前はジンベエ。タイヨウの海賊団の船長であり、王下七武海の一人である。

ユキノは嬉しそうにジンベエに泳ぎ寄る。



『お久しぶりです、お元気でしたか?』

ジ「あぁ。おぬしも変わらぬようじゃな」

『はい』

ジ「オトヒメ王妃の墓参りか」



ユキノは俯きながら頷く。



ジ「今でも悔やんでおるのか。オトヒメ王妃の傍におらなかったことを」

『はい、あの日私がお傍にいれば…』

ジ「お主はもうあの時は嫁に行っていたじゃろうが。それに酷な事をいうようじゃが、お主がいたとしても何も変わらんかった」

『重々承知です。ただ看取りたかったんです。それにしらほし様のお傍にいたかった」



ユキノは涙を流した。



ジ「そんなことを言うたら旦那が悲しむぞ」

『!』



ユキノはカタクリを思い出して、ハッと顔を上げた。



ジ「悔やんでいてもしょうがない。前を向いて進め。オトヒメ王妃もきっとそれを望んでおる」



ジンベエはユキノの頬に流れる涙を、親指でぬぐい取る。



『ジンベエさん。そうですね、私まで泣いていたらオトヒメ様に怒られてしまいます』



ユキノは泣くのをやめて、笑った。
そして二人は近くにある岩場に腰を掛けた。



ジ「どうじゃ、旦那との関係は変わらぬか?」

『えぇ、相変わらずよくして頂いています。ママや義理の兄妹達とも仲良くさせてもらってますし、とても楽しいです』

ジ「そうか、それはよかった」

『ジンベエさんはどうです?アラディンさんもお元気ですか?』

ジ「あぁ、元気にやっとるよ」

『また皆さんにお会いしたいですね』

ジ「あぁ、あいつらもお主に会いたがっとる。また航海したいとな」

『もう10年前ですものね』

ジ「あぁ」



二人は昔を思い出した。





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