第25話

ユキノが魚人島に来て3日目の朝―――



し「行ってしまわれるのですか、ユキノ姉さま」

『しらほし様すみません。戻らなくては。ママとの約束ですし』

し「うぅ〜」



しらほしは目に一杯涙を浮かべていた。



『泣かないでください。また寂しくなったらいつでも電伝虫をかけてくださっても構いません。それに1年後ですが、必ず来ます』

し「本当ですか?」

『もちろんです』

し「約束です」



しらほしは小指を差し出す。



『はい』



ユキノはニコッと笑うとしらほしの小指に、はるかに小さい自分の小指を絡ませた。









魚人島を後にして、海王類と共に海面へと急ぐユキノ。



海〈〈ユキノ、また人間の元へいくのか?〉〉



海王類の一匹がユキノに話しかけた。



『はい、大事な人がいますから』

海〈〈昔は人間が怖くて泣いていたお前が、まさか人間と結婚するとはな〉〉

『昔の話を持ってこないでください//』

海〈〈さぁ、もう着くぞ〉〉

海〈〈お前の船はもう着いているはずだ〉〉



海面が見えてくると、一隻の船が浮いているのがわかる。



『あ、あれですね』

海〈〈俺たちはここまでだ〉〉

海〈〈ユキノ元気でね〉〉

『皆さんも』



海王類と別れ、水面に顔を出した。
船の上を見ると、甲板の淵にカタクリの姿があった。
向こうもユキノを見つけると、戎兵達に指示をしてユキノを甲板に上げた。



カ「おかえり」

『ただいま!』



人間の足になったユキノはカタクリに走り寄り、勢いよく抱き着いた。
カタクリはよろめきもせずに受け止め、抱きしめ返した。



カ「大事ないか」

『はい、大丈夫です』

カ「そうか、帰るぞ」

『はい!』





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