第2話
するとママは顔をずいっとユキノに寄せた。
マ「相変わらず、綺麗な顔してるねぇ。カタクリも惚れるわけだ」
『//』
自分の夫の名前が出てユキノは顔を赤くする。
マ「その様子じゃ夫婦間はいいみたいだね」
『お陰様で//』
マ「子供はまだかい?」
『!』
ママの言葉にユキノは固まった。
『…はい』
マ「オレは早くオマエ達の子供が見たいんだ(人魚のクォーターほど珍しいものはない)」
『………』
ユキノは暗い顔をしていた。
ママの部屋を出たユキノは、まだ暗い顔をしながら部屋の扉の前まで来た。
顔をうつ向かせたまま扉を開ける。
?「どうした、ユキノ」
『!』
名前を呼ばれ、俯かせていた顔を上げるとそこにはヴィジュアル系の服装に身を包み、口元を襟もとで隠した男が部屋の椅子に座っていた。
『カタクリさん』
そう、部屋の中にいる男はシャーロット家次男でユキノの夫であるカタクリだった。
『なんで…任務は明日までじゃなかったんですか?』
カ「思いの外早く片が付いた。何だ、そんな暗い顔して」
カタクリはユキノに近づくと頬に手を当て、優しく撫でる。
『………』
カ「気にするな」
『未来を見たんですか?』
カ「見なくてもお前のことは大方分かる」
『…ママに子供はまだできないのかって言われました。もう10年になるのに』
カ「ハーフといえど、種族が半分違うんだ。出来にくいのも仕方がないと思うが」
『でも…』
言葉を続けようとしたが、言葉を遮られてしまう。
カタクリがユキノの唇にキスをし、言葉を遮ったからだ。
ゆっくりと唇が離れるとユキノの顔は真っ赤に染まっていた。
『///』
カ「俺はお前だけがいればいいと思っている。お前だけがいればママも兄弟たちもいらない。子供も何年後でも何十年後でもいい。だからそう気に病むな」
『カタクリさん…ありがとうございます』
ユキノの表情が綻んだ。
カ「やっと笑ったな」
『あ、遅くなりましたけどお帰りなさい』
カ「あぁ、ただいま」
*