第3話

プ「へぇ、カタクリ兄さんって意外に優しいのね」 

『意外なんですかね?』



次の日、ユキノは35女のプリンとチョコを食べながらお茶をしていた。
プリンは兄弟の誰よりもユキノに懐いており、本当の姉のように慕っている。



『でも確かに初めてお会いした時は正直怖かったですね。初対面があれでしたから』

プ「あれ?」

『もう10年も前ですが、私は海賊船に捕らえられてたんです』

プ「え?でも義姉さんは自然系だから普通の海賊じゃ負けないんじゃないの?」

『実は、悪魔の実を食べたのはここに来てからなの』









10年前―――



海「げへへっ、珍しいな。魚の足から人間の足になるなんてな」

海「あぁ、ラッキーだったぜ。たまたま人間の姿になる所を見れて」

海「このまま人間オークションに出せば結構な値が張る」

『(しくじりましたね…隠れてるつもりが、あの姿を見られてたなんて)』



久しぶりに休暇をいただいたので、内緒でいつものシャボンディ諸島ではなく少し遠出をして買い物をしようと思ったユキノは近くの島に上陸をしようとした。

人魚の姿から人間の姿を見られると大変なので、隠れて陸に上がったつもりが運悪く海賊に見られてしまう。
海賊にユキノは薬をかがされ、気を失ったところに海賊船に連れ去られてしまった。



薄暗い部屋にある今は大きな水槽に入れられ、首には天竜人が使う爆弾式の首輪をつけられ、手足は鎖で繋がれていた。
水槽はライトアップされている。
ユキノは自分の失態に唇を噛みしめる。



海「しかもこの美しさだ。顔立ちといい純白の鱗。天竜人が喜んで買いそうだな」

海「なあ最初に俺たちが味見しようぜ」



海賊たちは卑しい目でユキノの身体を上から下まで見る。
その言葉にユキノは背筋が凍りついた。



海「まあお楽しみは夜までだ」

海「あぁそうだな。夜が楽しみだ!」



そう言って海賊たちは笑いながら部屋を出て行った。
ユキノは静かに涙を流す。



『(もう魚人島には帰れないんですね…ネプチューン様、オトヒメ様、魚人島のみんな…すみません)』





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