第35話
カ「(ユキノがいねぇ)」
よほど深く考えていたのか、ユキノがいなくなっていることに気付くのが遅れた。
しかし、難なくカタクリはユキノを見つけた。
ユキノを見つけた場所は、雑貨屋だった。
カ「(何を見てるんだ?)」
ユキノが何かを手に取り、見ているのに気が付いた。
ユキノの後ろに来ると、ユキノの見ているものはネックレスだった。
装飾の部分は雫の形をしており、ユキノの瞳と同じ海の色をしていた。
カ「それが欲しいのか?」
『!!』
カタクリが話しかけるとユキノはビクッと肩を震わせた。
『カタクリさん』
カ「欲しいのなら買ってやる」
『いえ、大丈夫です!ただ綺麗だなと思いまして』
ユキノはネックレスを元に戻すと慌てて行ってしまった。
カ「おい」
店「へ、へい!」
カ「これを包んでくれ」
カタクリはユキノが見ていたネックレスを手に取り、年配の店主に渡した。
店「あの、お二人はお付き合いをされてるんですかい?」
カ「妻だ」
店「そうですか。それもいいですが、ちょうどいいやつがありますが見ますかい?」
カ「あぁ」
雑貨屋を出ると、ユキノと合流ししばらく町を周った。
カ「そろそろ帰るか」
夕暮れ間近になり、カタクリがそう切り出した。
『あっ、ちょっと待ってください』
カ「海辺に行きたいのか」
『はい』
二人は船から少し離れた浜に来た。
『最後のお願いがあるんですが…』
カ「泳ぎたいのか?」
『あなたが見えるところにいますから。必ず戻ってきます!だから…』
カ「少しだけだぞ」
『はいっ!』
ユキノは勢いよく海に飛び込んだ。
カタクリはユキノが泳ぐ様子をじっと見ていた。
ユキノは約束通り、深くは潜らずカタクリが見える範囲で泳いでいる。
カ「(生き生きとしているな。笑顔を見せないのも当然か…。今の状態では幽閉も同じだからな)」
その時ユキノが海から上がってきた。
*