第4話

ドガーン



しばらくして大きな音ともに船が揺れた。



『何!?』



ユキノは大きな声を出し、身じろぎをするが手足の鎖のせいで身動きがうまく取れない。
そのあとも、大きな声と衝撃音が甲板のほうから聞こえる。
ユキノはじっと騒ぎが治まるまで耐えるしかなかった。



暫くすると、騒ぎは治まったのか甲板のほうが静かになる。



『(何だったんでしょうか?)』



すると突然部屋の扉が勢いよく破られ、無残にも折れ曲がった扉がユキノの近くまで転がってくる。
ユキノはビクッと肩を震わせた。
カツカツという靴音だけが薄暗い部屋に響き、徐々に靴音が近づいてくる。



?「誰かいるのか」

『……だ、誰ですか?』



低い声が薄暗い部屋に響き渡る。
ユキノは海賊とは違う声に恐る恐る尋ねた。
影の部分から足が見え、徐々に声の主の全体が見えてくる。



?「人魚か」



現れたのは短髪に黒いジャケットを羽織っており、肌蹴た上半身は逞しい胸筋と腹筋が見え、口元は襟巻で隠している男だった。
男はユキノの目の前に来ると何故か目を見開き何も喋らなくなる。

ユキノも男の姿に目を見開く。
男の顔や体には暗くても分かるくらい多くの血がついており、持っている武器にも血がついていた。



『な、なにがあったんですか?』



恐怖に体を震わせながらも男に尋ねた。
男はハッとすると首を軽く振る。



?「今、ここの海賊たちと一戦やった。まあこの船の海賊達は全員タヒんだが」



男の言葉に冷や汗を流すユキノ。



『私も○されるんですか?』



涙を必死に堪えながら男に問いかけた。
男は黙ってユキノを見る。



?「見る限りお前はここに捕らえられてるようだが、どうなんだ」

『はい、人間オークションに売られるところでした』

?「…甲板にママがいる。ママに指示を仰ぐ」



どうやら今ここで○されるわけではないことにユキノはひとまずホッとした。
男は水槽の外に繋がっているユキノの手足の鎖を武器でたたき割った。





*