第39話

8年前を思い出していたカタクリは目が覚める。
いつの間にか椅子に座りながら眠っていたようだ。



ベッドの上を見ると、未だに眠り続けているユキノ。
椅子から立ち上がり、ベッドに近づくとユキノの左手を取る。
薬指には8年経っても未だに嵌められている指輪。

カタクリは今は手袋が嵌められていない自分の左手を見ると、同じく指輪が嵌められている。



カ「(この指輪に一生お前を護ると誓った。すまねぇ、誓いを破った)」



その時、カタクリの手の中でユキノの指がピクリと動いた。



カ「ユキノ!?」



ユキノの閉じられていた瞼が少しずつ開いていく。
ユキノは、ここがどこか確認をしているようだ。



カ「ユキノ…」



カタクリの声に気が付いたユキノは、カタクリを瞳に映す。
そして力なく笑った。



カ「ユキノ!」



カタクリはユキノを覆いかぶさるように抱きしめた。
ユキノはポンポンとカタクリの優しく叩いた。









落ち着いたカタクリは医者を呼びに行き、ユキノを診察をしてもらった。
ユキノが目を覚ましたという知らせを聞いた義兄妹達も部屋にいる。



医「もう大丈夫です。特に後遺症などはないようですし、明日からは通常通りになれるでしょう」

『ありがとうございます』

プ「よかったぁ〜」



医者の言葉に義兄妹は涙を浮かべているものも多かった。



プ「氷漬けにされたって聞いたときは心臓が止まるかと思ったわ」

ク「お前が心臓が止まってどうする!まあとにもかくにも」

ス「無事で何よりだ」



診察が終わり、医者が部屋を出て行ったあと、ユキノは義兄妹達にもみくちゃにされる。



『ご心配をおかけしました』



ユキノは苦笑いを浮かべる。
その時、パンパンパンという乾いた音が聞こえた。



ペ「はいはい、そこまでだお前ら。ペロリン♪ユキノは病み上がりだろう?今日はゆっくり休ませてやれ。なぁ、カタクリ」



手を叩いたのはヘペロスペローだった。
最後にカタクリに目配せした。



カ「(ありがとう、ペロス兄)」



みんなはユキノとカタクリを残して、渋々部屋を出て行った。





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